デンマーク図書館、知恵は誰にも無料で与えられるべきである、というこの国の考え

15年にオープンしたDOKKIは、国際図書連盟が世界最高の公共図書館と評した欧州最大の図書館

2040年までに再生エネルギーへの完全移行、国内農業のオーガニック化、ベーシックインカムと週30時間労働制の導入、国の成長を図る指標としてのGDPの廃止、2013年11月にデンマークに設立された「The Alternative」は、これらの政策によってサステナブルな社会へのトランジションを目指す政党。

13年の政党設立時には政網を100%クラウドソーシングによってつくるという実験を行った。

1813年、ナポレオン戦争を経て国家財政が破綻したデンマークは、その翌年に世界初となる義務教育制度を導入、資源の乏しい北欧の小国にとって、国を復興させるためには、人の育成、がキーになることを彼らは知っていた。

所得税は約50%と世界の中でも最高水準だが、その代わりにすべての人が無料で教育と医療を受けることが出来る。高い税金を不満に感じていると答えた人はいなかった。

超福祉国家を築いたがゆえの課題に、完璧な福祉システムにより、人々は生き残ることに必死だった時代には生まれなかった問い-何のために生きているのか？を抱き始めている。

デンマーク・デザイン・センター（DDC）とは、デンマークの国家機関で、デザインを様々な分野に活用することを目的に1978年に設立。

前例のないことに注目すること

LEGOは、子供は何故遊ぶのか、という問いを考えることから経営立て直しプロジェクトを始めた。MRIで彼らの遊んでいるときの脳の働きも見たという。

Jante Law（ヤンテ・ロー/ヤンテの掟）、自分を特別だと思ってはいけない、という教訓。欧州社会に根強く、個人よりも集団を優先しなければいけない価値観、日本で言う出る杭は打たれる。一人一人が高い税金を負担することで社会システムを支える現在の福祉国家が築かれた背景には、少なからずこうした価値観が影響しているといわれている。

デンマークの若本たちもお金以上の意義を働くに求めている。セーフティーネットの充実した社会とは、安心して挑戦が出来る社会でもある。

年間一人当たりの平均労働時間を見ると、デンマークは日本よりも約300時間少なく、法定労働時間は週37時間と定められている。一人当たりの名目GDPランキングで日本は22位、デンマークは9位。

志の高い人はイギリスやアメリカへ出て言っている。逆に外国人が仕事を探すハードルは高く、デンマークの教育（最低でも修士課程）を受けていることやデンマーク語が話せることが就業の必須条件。小さな国なので、ほとんどが縁故採用ともいわれている。この国では、医療でもゴミ収集の仕事でも生涯賃金はほとんど変わらない。

仮にリーダーになっても、素質が無ければ降格もいとわない。未だ年功序列を重視する日本と大きく異なる点だ。目標や数字という言葉を口にしないデンマーク人、日々の暮らしや人間関係の充実が仕事の成功につながると考えているからだ。

森の幼稚園、幼稚園の種類の一つとして1950年代から設立されるようになり、現在デンマークでは数十の機関が森の幼稚園として存在している。森の幼稚園では、雨の日も、雪の日も関係なく、一年中森へ出ていき、そこで一日の大半を過ごす。すぐには助けない、ただ見守ってやるだけだ。

自由高校Det Frieは1970年に開校、この高校の最大の特徴は、民主主義制。校則は無く、校長も、学校運営方針も、すべて先生と生徒の投票で決める。もちろん一票の重みは生徒も先生も同じ。

デンマークの教育制度、エフタスコーレとは1年間の私立の全寮制学校のこと。対象年齢は14歳から16歳で、多くの生徒はギャップイヤーと呼ばれる中学校卒業から高校に入るまでの一年間に通う。なぜならデンマークでは高校段階から、普通科高校と職業別専門学校に分かれることになり、ここでの選択がその後の人生を大きく左右するから。その時期に、音楽やスポーツ、美術、メディアなどあらゆる分野のカリキュラムをそろえたエフタスコーレに通い、立ち止まって自分の人生について自問する時間を設ける。

10代後半の人格形成期に、デンマークのティーンエイジャーたちは、自分の人生は自分で決める、ということを叩き込まれる。

デンマークには、フォルケホイスコーレと呼ばれる成人教育機関がある。入学資格は18歳以上であること。デンマークの10%の人々が、フォルケホイスコーレに通っているといわれている

コペンハーゲン・ノアブロ地区に2012年に完成したSuperkilenは、多様な人々を受け入れるために作られた公園。もともと安価な集合住宅のあったこの地区には、外国からの移民が多く暮らしていた。地域住民たちの国籍は60以上、文化の違いから生じるトラブルもしばしば起こっていた。07年、市がその対策として鉄道車庫の跡地に公園を創ると発表。受託コンサルチームが先ず行ったのが、住民たちへのヒアリング。その結果、公園には約60ヵ国からの100種類を超える記憶が設置されることになった。

デンマークを読み解くうえで、最も重要な年といえるのが、1968年「学生の蜂起」。日本の学生運動期と同じ。大学側は学生たちの主張に理解を示していく。この時期を境にデンマークはより自由で開かれた社会へと変わった。それはあくまでも、自分の主張を伝える為に行動したからで、社会的問題が大きすぎて過激化した日本の学生運動との大きな違い。

コペンハーゲンにあるクリスチャニアという地区、広さは34haもあり、もともと海軍の倉庫ととして使われていましたが、1969年に使われなくなると、学生たちがそこを占拠し、社会的に行き場のない人たちが生きられる社会を作ろうと、1971年に自由都市を宣言。それに対しデンマーク政府は彼らの要望を聞く態度を取り、1973年に社会実験としてその存続を認めます。

こうした自由と寛容のルーツをたどると1905年に都市部の知識人や農民層を支持基盤として結党された急進左翼党に行きつきます。デンマークは高福祉高負担の国として知られていますが、歴史的背景にはこの急進左翼党の存在があります。同党がたびたび連立政権に参加したことにより、どの政党が第一党を担っても、平等に根拠を置く社会福祉に至る方向性が継続されてきました。

古くから伝わる「ヤンテお掟」という10カ条があります。みんな平等という考え方。このような考え方は、気候の厳しいデンマークなどの北欧の人々の間で自然と身についたものです。元々貧しい社会であり、その中の一人ひとりのパイは決まっています。ですから、出来るだけ同じように分配し、人の分を取らない、という考え方。

1人当たりのGDPが日本を上回るデンマーク、その雇用政策は労働市場の柔軟性と失業時の保護を両立させているから。双方の言葉を組み合わせてフレキシキュリティーと呼ばれる。次の3つの要素の連携によって実現。①雇用の規制が比較的緩く、解雇の自由度が高い。②失業給付等の社会保障が手厚い（給付額は低所得層で最大9割に上がる）、③職業紹介や職業訓練などの積極的労働市場政策が充実している。

背景には、中小企業の占める割合の高さや、労働組合の組織率の高さ、税・社会保険などの国民負担率の高さなどが挙げられます。

デンマークでは、複数の領域にわたりスキルを発揮し成果を生み出すΠ（パイ）型人材がどこにでも当たり前に存在する。

ヨーロッパは多様な価値観や背景を持っている人達が暮らしているので、物事の捉え方や真実は複数あるという考え方が根底にある。だからこそ、デンマークでは国が掲げるゴールが、人にひらめきを与えるような大胆かつ本質的なテーマで明確に示されています。

デンマークへの訪問で見えてきた特徴は、人材育成のビジョン、学習のプロセス、活躍のフィールドの３つだ。

223.WORK MILL - THE DANISH WAY デンマーク「働く」のユートピアを求