高校生らしい青春と、生きることと死ぬことが、

独特のストーリーの流れの中で活き活きと描かれています。


好きなひとから名前で呼んでもらえない不安、

好きなひとを名前で呼べない弱さ、

最初から最後までお互いに好意をいだいていることは読者には透けて見えるから、とても切ない気持ちになりました。


そして、他者を認めないことを選び、他者から認められないことを選び続けてきた主人公が向き合わなければならない現実は、

本当に厳しいものだったと思います。


だけど咲良と出会い、

少しずつ心をひらくことや他者を認めること、お互いを尊重することなどを経験して、

自分の気持ちを素直に自分の言葉で表現することを学んでいきます。

その過程に歯がゆい思いをしながらも、

自身も心が溶けていくような錯覚を感じます。


"君の膵臓をたべたい"

これがお互いへの気持ちの本心だと思うとやるせないけれど、

本当にきれいな物語でした。