ノンフィクション「冷血」で
一世を風靡した作家
トルーマン・カポーティ
(1924-1984)。
以前のブログ記事↑でも
書いたように
「冷血」はカポーティの最高傑作だと
思っています。
2006年に公開されたこの映画は
カポーティが
「冷血」を書くべく
事件にかかわっていく
一連の出来事を
再現しています。
巧みな話術と持ち前の魅力で
世界中のあらゆる有力者を
「友人」とする
カポーティ
(トビー・ジョーンズ)が
ある日カンサスで起った
一家4人殺人事件の
ことを知ります。
幼なじみで「アラバマ物語」を
書き終えたばかりの作家
ハーパー・リー
(サンドラ・ブロック)と
事件の起こった田舎へ
取材をすべく
向かったカポーティ。
彼独特の奇抜な服装や声に
土地の人々は
最初戸惑いますが、
巧みな話術と
有名人とのコネクションを使って
担当捜査官とも知り合いになり、
更には
刑務所に連行された
殺人犯人の二人にも
面会できるようになります。
殺人犯の 一人は
ディック・ヒコック
(リー・ペイス)
そしてもう一人は
ペリー・スミス
(ダニエル・クレイグ)。
独房の中にまで入って
二人の話をきく程
彼らの信頼を得た
カポーティは
ペリーの悲惨な生い立ちの話を
聞くうちに
自分自身の生い立ちと
重ね合わせて
ペリーと
切っても切れない絆を
築いていきます。
しかしながら
ペリー達は最後に絞首刑となり
この世を去って行きます。
ペリーは自分の遺品を
全てカポーティに託します。
「冷血」で
多大な富と名声をものにした
カポーティですが、
ペリーが処刑された後
彼は
変わってしまいました。
ハーパー・リーが
劇中で
「絞首台で死んだのは
2人ではなくて
実は(カポーティも含めて)
3人だった。」
と述べたごとく、
この後のカポーティは
まるで作家としての人生の
終わりを迎えたかのように
作家活動が目に見えて
衰えていきます。
「冷血(1965)」を書いた
15年後に
"Music for Chameleons(1980)"
一作のみを
出版したのみで、
あとは
新聞の三面記事を騒がせるだけの
存在になってしまいました。
映画の冒頭と最後に
出てきたタイトル
"Answered Prayers(1986) " は
カポーティの死後に
発行されます。
この映画は
同じくカポーティを扱った映画
「カポーティ(2005)」より
1年遅れて作られたことにより、
かなり「カポーティ」の
重複にならないよう
配慮されて作られた感がします。
あと、実在した人物を
忠実に再現しようとする努力が
俳優陣の演技にも
表れていました。
カポーティ1人の人物をとっても
俳優のトビー・ジョーンズは
実際のカポーティを
とてもリアルに演じていた
と思います。
サンドラ・ブロックも
ハーパー・リーが
がにまたに歩いたり、
カポーティと堂々と議論する
男前さを
素晴らしく演じていたと思います。
特筆すべきは
ダニエル・クレイグの
驚くべき演技力。
BooBooが想像していた
ペリー・スミス像に
ピッタリでした。
もう一つ
愉しめたのは
カポーティが著作中に
書いた自分の体験談が
映画の中に
挿入されていた事かな?
(下ネタなので
内容は控えておきますが)
カポーティの驚くべき
果てしない人脈
(世界中の芸能人・芸術家
はもちろん、
世界中の皇室から
政界のトップまで)の
一片を垣間見ることも
できるのも
楽しみのひとつ❣️
もう一つの映画
「カポーティ」と比べるよりは
この「インファマス」と
両方を観てみれば
もっと楽しめると
思いました。
機会があれば、
ドキュメンタリー映画
”The Capote Tapes (2019)”
(邦題:「トルーマン・カポーティ
真実のテープ」)も
観てみたいと思っています。
(画像はお借りしました)