晴れの日メメの日

晴れの日メメの日

元ノラ猫のメメやその仲間たち、、、他について綴る予定のブログです。

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その日、のんびりと陽だまりランチを楽しもうと通りのパン屋でパンとアイスコーヒーを買った私は福岡城跡のお濠のそばに自転車を止めた。その時、座るのに良い場所を探して歩く私の目にふと留まったもの。

それは傷を負った一羽の瀕死の鳩の姿。

うっ、、、。血だらけで一瞬目を逸らしたくなる程、鳩は大きな傷を負ってるように私には見えた。

可哀想だけどどうする事もできないよ。そう思ってその場を立ち去ろうとした時、鳩が急にバタバタと羽を動かした。

(待って!!!生きたい!)全身の力を振り絞って、鳩がそう訴えてるように感じた。

だけどどうしたらいいか分からない私は、ただその場に立ち尽くすだけ。

そこに一人の中年男性が通りかかって近くのドラッグストアで消毒薬と水を買って来てくれた。

おじさんは鳩の傷口を水で洗いスプレー状の消毒薬で消毒してくれ、「この鳩は助かるかもしれんよ」と言った。

「ほんとに?!良かった!!」、私が思った程鳩の傷は深くなかったのかもしれない。少しほっとした。

そこに今度は散歩のおばあさんが通りかかり、しばらく3人で鳩の様子を見守った。

これ以上できる事も無いしそろそろ帰ろうとした私だったが、このまま放っておくと犬やカラスにやられてしまうというおばあさん達の意見によって結局私が鳩を連れて帰る事となった。

今も余裕は無いけど当時はもっとお金が無かった私。少ない所持金でタクシーに乗り鳩を連れ帰ろうとしたのだが、その時手に持ってたアイスコーヒーをタクシーの後部座席のカバーにぶちまけてしまった。

真っ白だったカバーは見る見るコーヒー色に、、、。

謝る私にタクシーの運転士さんは嫌な顔一つせず洗濯すればいいからとカバーを外し椅子を拭いてくれて、鳩を入れておく段ボールをもらおうと途中スーパーの前にタクシーを止めて待っててくれた。

そしてスーパーに入ると、段ボール箱いっぱいに入ってる玉ネギを丁度今から売り場に並べるところだった店員さんが事情を聞いてその場ですぐに箱を空にして持たせてくれた。

こういう不思議な連携プレーを経て鳩を自分の家まで無事連れ帰った私は、なるべく身体を冷やさないよう電気ストーブの傍に段ボールを置いて翌日まで見守った。そして元気ではないけど翌日も生きていた鳩を野生の鳥も治療してくれるという福岡市動物園へ連れて行った。

治療する動物のその後については問い合わせないというのが最初の約束だったが、やっぱり気になった私は数週間後にあの鳩はどうなったのか動物園へ電話してみた。

すると「あの鳩は以外に傷が浅くて回復したから元居た場所に放しました。」との返事だった。

その返事が本当の事なのかそれとも私を安心させる為の優しい嘘だったのかは分からないけど、とにかくそれを聞いて私はとても安心して嬉しかった。

あの日出会った優しい人達、鳩を救おうとみんながちょっとづつアクションを起こしてそれが繋がって見事な連携プレーになって。

あの日鳩が羽をバタバタと動かして訴えかけなかったら私はその場を立ち去ってたし、あの時あのおじさんが薬を買って来てくれなかったら、あのおばあさんが鳩を保護した方がいいと言わなかったら、あのタクシーの運転士さんや野菜売り場の店員さんが親切な人でなかったら。でもあの日は不思議な程全てが良い方向に繋がってた。

多分それは全部あの鳩の生きたいという強い願いとエネルギー、生命力が起こした奇跡だと思っている。