「変則授乳ってどうやるの?」「みんなどうやっているの?」
というご相談が最近多いので
母乳110番にある変則授乳の情報を掲載することにしました。よかったら読んでみてくださいね。
簡単に言うとこの授乳方法は「お母さんがいる時は飲める」「お母さんがいない時は飲めない」状況に赤ちゃんが慣れて、そのカップルなりの需要と供給、母子のリズムがつくられる授乳方法です。離れている時間が長くても、一緒にいる時間に集中して飲ませることで、全体の総量が足りるようになっていくのです。私自身、やってみるまでは半信半疑だったのですが、実際にやってみると普通にできました。他のお母さんたちも、たくさん体験しています。人間の身体の仕組みってすごいなあとあらためて思います。(『おっぱいとだっこ』竹中恭子著、村上麻里監修、PHP電子より引用)
具体例をいくつかあげてみます。
Aちゃん生後4カ月、フルタイム勤務のママ(勤務中更衣室でおっぱいを搾って冷凍母乳をストックしていたが、最近あまり搾れなくなったので搾らず「圧抜き」で乗り切っている。復職直後は胸が張って苦しかったが、今は大丈夫)
朝7:00 起床、寝室でたっぷりおっぱいを飲む
朝8:30 保育園にパパが車で送っていく。つまり直前授乳ナシでバイバイだが、ママが一緒に乗っていく時は駐車場に到着後、車の中で飲むこともある。
10:00 保育園でお湯をスプーンで与えられる。
15:00 他の子の授乳タイムの時に一応、スプーンで冷凍母乳を与えるが、ほとんど飲まない。足りない時のためにアレルギ―用ミルクの缶も預けてある。保育士さんは、どちらも対応してくれる(が、ミルクを飲むことは滅多にないそうです)
夕18:00 ママが電車と徒歩(スリング)でお迎え。お迎えの際におっぱいをたっぷり飲む。
夜から朝にかけて こまめにおっぱいを飲む。(添い寝で対応している)
土日 一緒にいる時は、ふつうにおっぱいを飲む。
Bくん生後10カ月、在宅ワークのママ(仕事中、張って苦しい時は搾って冷凍母乳を作って自宅の冷蔵庫に入れパパに預けての外出時用にストックしている)
朝6:30 起床、朝起き抜けは飲まず、忙しく支度に突入していることが多い。
朝7:30 保育園に送り(ママのスリングで徒歩とバス)保育園でおっぱいをたっぷり飲んでからバイバイする。
9:30 保育園で他の子たちとおやつタイム。飲まないことが多い。水分補給が心配とのことで保育士さんが麦茶を与えてくれている。
14:00 保育園で他の子たちとミルクタイム。Bくんは哺乳びんでミルク(園の事情で冷凍母乳は扱っていない)を飲む。母乳を続けたいのであまり大量にはあげないようにと頼んである。その後お昼寝。
16:30 お迎え(雨天などおんぶ紐使用の時は園で飲んでから帰宅、授乳服とスリングの時は飲まずに園を出てからスリングの中で授乳しながら帰ることもある)
夕方から夜にかけて、ちょこちょこ飲む。
寝つき際と、夜中目を覚ました時は、特によく飲む。添い寝をしている。
土日 ママが一緒にいる時は、しょっちゅうおっぱいを飲むが、たまにパパと留守番でママが居ない時などは冷凍母乳をコップで飲ませてもらっている。家では哺乳びんは使わない。
Cちゃん生後1才7カ月、時短勤務のママ(勤務中、胸が張って苦しい時は会社のトイレで搾っていたが、開いている会議室を使ってよいことになり、最近はそこでケア。最初から冷凍母乳をストックすることはせず、休憩時間は身体を休めるようにしている)
朝7:00 起床、起きだす前にたっぷりおっぱいを飲む
朝8:00 ママが駅前の保育園に送り(おんぶで自転車)ご機嫌でバイバイする。
9:30 保育園でおやつタイム。食への興味があり、皆と一緒に食べる。
11:00 他の子の離乳食タイム。1才半までほとんど食べなかったが、最近は食べるようになってきた。
12:30~ お昼寝タイム
15:00 おやつタイム
17:00 お迎えの際におっぱいをたっぷり飲む(急なパパのお迎えだとおっぱいが飲めないため、ショックで泣かれるのでおにぎりなどを食べさせてなだめてから連れて帰り、ママの帰宅に授乳。お迎えに行けないと予め分かっている時は「今日はパパのお迎えだからね」と朝から子どもに言い聞かせておくようにしている)
夜から朝にかけてぐっすり眠ることもあるが、こまめにおっぱいを飲むことの方が多い。
土日 一緒にいる時は、年中飲む。休日はふだんと違い、後追いが激しく離れない。
Dくん生後2才4カ月、自営店舗飲食業のママ(2才すぎてからは、お茶代わりに飲みにくる感じの授乳になり、仕事中に胸が張ることはなくなった。以前は張っている時は軽く押して飛ばすように少量搾り、そのあと圧抜きをして乗り切っていた)
朝6:00 起床 2才過ぎてからは朝起きた時飲まないこともある。
朝7:00 ママの車で保育園に送り。保育園が大すきで駐車場から走って園の中に入るが、たまにぐずることがある。
9:30 保育園で他の子たちとおやつタイム。
12:00 保育園で他の子たちとご飯タイム。しっかり食べる時とほとんど食べない時とムラがある。
13:00 お昼寝
15:00 おやつタイム
17:00 父方のおじいちゃんが車で迎えにくる。
18:00 父方のおじいちゃんの家で、おばあちゃんと過ごす。水分補給(甘い物を与えないように頼んである)
母方のおじいちゃんが車で迎えに来る
20:00 母方のおじいちゃんの家で夕食と入浴を済ませる。
21:30 母方のおじいちゃんの家で就寝
23:00すぎ 閉店後にママが車で迎えにくる。布団を敷いた後部座席で眠ったまま家に運ばれる。(翌朝 目が覚めると自宅に居る仕組み)
夜 ママが添い寝で授乳。明け方にかけて1~2回起きて飲む。授乳服の授乳口を開けて勝手に飲む。
平日と土曜は店を開けているため上記のタイムスケジュールで動いているが定休日は、ママと一緒に居られるので、しょっちゅうおっぱいを飲んでいる。日曜日は、保育園が休みのため父方、母方の祖父母の家で順番に預かってもらっている。
このように、いろいろな人がいろいろな働き方と授乳生活を送っています。
復職前に「哺乳びんを受け容れるか、離乳食を早めるかしないと預かってもらえないのでは」「断乳しかないのでは」と悩むお母さんは多いですが、とりあえずこの変則授乳を試してみてから再度考えてもよいのではないかな、と思います。食への興味が早まって離乳食に移行する場合や、あっさりミルクに切り替わる場合もありますしもちろんそれもいいと思いますが、母乳育児を続けられるケースも数多くあるのですから。
またCちゃんの例のように保育園の時だけミルクで、家では母乳の人、園で冷凍母乳を使う人、Aちゃんのようにスプーンで授乳してもらうよう交渉した人、Bくんのように園の方針で哺乳びんにはなってしまったけれど、夜ママのおっぱいをたくさん飲んでもらえるように昼間与えるミルクの量をひかえてもらう人、朝晩だけおっぱいであとはオ―ルミルクの人など、本当に皆さん色々です。
じつは、母乳は不規則授乳や不定量授乳が本来の姿で、定時刻授乳や定量授乳に当てはめるとうまくいかないことが知られています。つまり、バラバラで法則性がない方が母乳育児にとっては自然な姿なのです。その意味では個々の母子のリズムしだいの「変則授乳」は、むしろ単なる授乳の一例と言ってもよいのかもしれません。
相談員 竹中恭子