夫婦一年生/朝倉 かすみ | Bon livre –いつか最良の一冊と出会う–


夫婦一年生 (小学館文庫)


※ネタバレふくみます。

太田青葉は、彼氏の転勤話が出たのを機に結婚をし、札幌へ引っ越した。
専業主婦となった彼女の新生活は、穏やかながら小さな挑戦に溢れている。

同じく夫婦一年生の私たち、この記事がアップされるころに
ちょうど引っ越しを終え、やはり新生活が始まっているでしょう。
結婚して8ヵ月近く経ち、ようやくの同居です。

しかもうちはデキ婚なもので、“夫婦二人きりの生活”という時期がない。
なるほど新婚さんというのはこういう雰囲気なのだなぁ。

序盤では料理が苦手だと言っていた青葉が、
後半になると夫の両親に天ぷらなど振る舞っていて、
ものすごく置いてけぼり感がある。裏切りものぉ!

夫の朔郎にはちょっとイラッとするところもあるけど、
いやけっこうある、私なら結婚しないだろう男だけど(上から目線)、
4品中3品が美味しければ「猛打賞だ」と褒めてくれるところはいいな。

うちの夫なんて、コロッケに添えたキャベツを見て
「うまく百切りできたね」ってイヤミ言いやがったぞ。

うるせー、それでも千切りだよ!自分なりに精いっぱい細かく切ったんだよ!

太田夫妻はぎこちないところもあるけれど、
会話がおもしろく、ところどころの言い回しがすごく好きだ。

「ワイルドなきんぴらごぼう」とか「ハゲのナンパ野郎」とか。

青葉が、札幌に遊びにきた朔郎のご両親をもてなしたとき、
予定どおりにことが進まずに放った言葉なんて笑えるし共感もできる。

「嫁として、ここは一発かましどころだと思いました」
「かましきれずに現在に至っております」

その「忸怩たる思い」、よくわかります!私も一発もかませてません!

そういうのあるわー、それひどいね、うちの場合はね、なんて
ついおしゃべりしたくなる一冊だった。
うちも札幌へ転勤になる可能性がゼロではないので、
そのときはゴミステーションで立ち話でもしましょう。(冬季休業で)