※ネタバレふくみます。
表題作『atHome』は、伊坂幸太郎さん作品に近いノリで読みやすかった。
ポップな犯罪者っぷりに、キャラへの親しみは湧くけれど、
犯罪者ってとこに苛立ちが捨てきれない、自分の真面目さが残念だわ。
素直に楽しめない性格に邪魔をされつつも、ストーリー自体は好き!
『共犯者』も、もっとスマートなやり方はなかったんかい、と聞きたくなるほど
いきなり突拍子もない方法に出てるしな。
でも、とーちゃんかっこいいじゃん。なんだよ、最初は憎んで悪かったよ。
伊坂さんの『オー!ファーザー』もそうだけど、
家族を守ろうとするとーちゃんの姿っていいな。
めちゃくちゃでバカバカしくってもさ。
『日曜日のヤドカリ』も『リバイバル』もそうか。
壊れちゃった家族も、新しくできた家族も、とてもたいせつなもので。
いま自分の隣にいない人も、どうか幸せであってほしいと願う。
前者は、穂積さんの『式の前日』に収録されている
あずさちゃんとパパを思い出したなぁ。
後者は、返さなくてもいい金を返し続けることに依存して生きている中年が、
思わぬできごとに戸惑いつつも父性を垣間見せるところがせつない。
とくに、子供が生まれ、家族が幸せの絶頂にいた頃を回顧するシーンね!
だって自分がまさにいまその“絶頂”かもしれないんだもの。
でも、彼らみたいに、ささいなことの積み重ねで失ってしまうかもしれないんだもの。
まぁ、『崩れる』を読んだ時も思ったけど、
年収が低かろうが面白味がなかろうが、
結婚相手に『地道に働いている人』という絶対条件があった私は間違ってなかった。
二人姉妹の父親になって、家庭で肩身が狭いと嘆く上司に、
父と娘の関係ってのも、なかなかいいものですよ、と教えてあげたいな。