<つづき>
↑ しつこい? 「まだ石灰棚のそばにいるよ~!」 とチェブ。
さて前回お話しした石灰棚を眺めながら
緩やかな丘陵をぐんぐん登っていくと
↑山の上に広がる古代都市遺跡と出会うことができます。
↑ヒエラポリスと呼ばれるこの古代都市は 2世紀ごろに栄えたローマ帝国の都市でした。
写真は当時の再現地図。
このヒエラポリス(文化遺産)と石灰棚のパムッカレ(自然遺産)とが合わせて世界遺産
=複合遺産 に指定されているのだけれど
現在900以上登録されている世界遺産の中でも
複合遺産は27か所しかないらしい。
今回の旅行で訪れたこのパムッカレとカッパドキアはこの中の二つ。
貴重な場所なんですねー。
わかりにくいと思うけれど 再現地図をよく見てみると
下部分に白く広がるのが石灰棚で 山の斜面を覆いつくすように広がっているのがわかります。
で その上に大きな都市が広がっていたんだね。
トイレ設備や大きな浴場があり、大きな劇場も数か所。
巨大都市として栄えたこの街は 温泉地、保養地としても人気があったのでしょう。
↑いかにもローマらしい円形の劇場は かなりそのままの形で残されています。
気候のよい時期には 今もここでコンサートや演劇などを行っているようです。
↑「危険!近づくな!」的な標識を無視して 左上の隅のほうに立っているのが私です。
壮大な景色に またまた呆け中!!
いまにも転げ落ちそうな誇大な足元は 安全に作られた遊園地のアトラクションよりもスリリング!!
↑ちなみに、現在残っている広大な遺跡群のの三分の二くらいはお墓です。
これらの墓は作られた年代も形も様式も様々。
神殿のような形から ほっこりと丸いドーム型のもの、いかにもお墓!という形もあれば
お墓の上にお墓が乗っかってるような形のものもあります。
広大な敷地に 無造作に広がっている&警告看板が小さくて分かりにくいので
気がつくと立ち入り禁止の遺体安置スペースに入り込んでしまったりする。。。
ちなみに、この古代都市遺跡の一番の見どころはここ。
↑露天温泉プール!!
しかも
↑温泉水の中には古代遺跡!!
そうなんです、ここは 古代都市遺跡が水中に沈んだ天然温泉があるんです。
ね? ステキでしょう?
温泉好きの私としては 当然、飛びつきたいところ!!!
が
しかーし!!
ここは トルコ。
黒川でもなければ 登別でもありません。
まず、
更衣室がない(吹きっさらしにロッカーが並んでいるだけで ツイタテさえ存在せず)
水温が低い(湯気が出てるのであたたかそうですが。完全にぬるい)
とにかく寒い(ダウン着てるんでね。凍えるくらい)
近くに建物が存在しない(屋根が付いているカフェはあるが。避寒場所なし)
もちろんドライヤーなどあるはずもなく、建物もないので髪を濡らしたら最後・・・(乾くはずがない)
というわけで 誰も入っている人はいません。
ひとり、デモンストレーションで入っている人がいましたが
彼は職員なので ここで浮いていることが仕事・・・
水からでなければ寒くないと思います。
職員ならば 室内にも入れるしね。
というわけで 一生に一度の世界遺産温泉で泳ぐ機会は逃したな~ と
フツーに考えていたら
となりで 『どうしよう』 とかなり本気で悩む人を発見!!
もちろん、私の旦那なんですけれど
そそのかした結果、入りましたよ、あの人は。
そそのかしておいてなんですが
酔狂としか言いようがありません。
↑入る前はさも寒そうに、着込んでマフラーに顔をうずめていたのに・・・
↑いる! ひとり泳いでる人がいる!! うちの旦那だ!!
ちなみにこの時期、 どうせ観光客はプールには入らないだろうとタカを括って営業をしているらしく
彼が入水した途端に係員が飛んできて 作業を開始・・・
(もう、閉園、あであと2時間弱というタイミングなのにも関わらず!)
↑浮いた枯葉やゴミなどを掬いあげています。
そうだよね、まさか誰かが入水するとは思わない気温だものね。
油断してたよね。
↑網でゴミをすく傍ら 旦那はスイスイ。
なんだかものっすごく楽しそうで いい笑顔をしてました。
泳いでる旦那、かわいくって愛しかったです。
そそのかしてよかったよかった。
水なんて (と言ってもここは一応、水ではなくて温泉だけれど)
入ってしまえばあったかいのはわかってるんだけどね~。
かく言う私は どんなに泳いでも欲しかった肩幅だけは付かない、という悲しい現実と共に
元・水泳部だった時代があるのですが
タイ米抱合せ販売が横行した記録的冷夏の年(覚えてますか) に最盛期を迎え、
とにかく、みずに入ること自体が ハンパなく辛かったことを思い出します。
続く低温に 学校の夏期プール補講は連日中止。
(たしか、一般の授業向けには気温と水温の和が何度以上・・・という水泳実施規定があったと思う)
いつもの夏であれば タダでたくさん泳げていいね! なんて羨ましがられるところですが
この年の夏はとんでもなかったなぁ・・・
どこのプールも人が来ない、アイスもクーラーも売れないとかで
経済効果もどうのこうのと言われていましたが
そんなことより 苦しかったのはしがない公立学校に通う水泳部員ですから!!
8月に寒水で手足がしびれながらも 2日しか休まずに泳いだ事が忘れられないわ~。
もちろん連日クチビル真っ青、水から出た後は震えっぱなし。肌の感覚もほとんど消失。
当時は痩せていたので なおのこと。
今でもあの日々の事を思うと寒くなってくる・・・
気が付けば 私の寒波恐怖症はあの夏に端を発しているのでは・・・とさえ思えてくる。
と 長くなりましたが
そんな冷夏で常温水プールでも
入ってしまえばけっこうイケる、ということは経験で知っている と言いたかったのですが
単に寒かった過去への恨み辛みになってしまいました。
↑壮大な山景色と、遺跡を背景に 天然遺跡温泉でのびのび。
サイコーですね!
ちなみに 他の観光地と同様、もれなく団体日本人観光客がどっとやって来ては
見まわして帰る、という姿を目撃したのですが
そのうちの一人の日本人女性が
「っきゃ!」 みたいな小さい悲鳴をあげて 旦那さんに駆け寄り、
「信じられない! 入ってる人がいるの~!!」 と耳打ちするようにこっそり話しているのを聞いてしまいました。
あたかも「妖怪か、河童とでも遭いました」くらいのテンションで話してましたけど
うちの旦那ですけど、なにか?
まぁ、彼女が見たのはデモンストレーション中のトルコ人であったとは思うのですが。
↑とってもいい笑顔、気持ち良さそうな表情に 私達も入れば良かったかしらね・・・
と チェブとぼんやり話したり。
私の経験則と違わず、水から上がった時には本当につらそうでしたが
本人はご満悦の様子で本当に良かった。
この後 カフェのおじさんに頼んで 屋外にある小さいストーブを付けてもらいました。
そりゃそうよね、デモンストレーションで泳いでる人しかいないところで
泳いであげたんだから
ストーブくらい付けて労ってくれたっていいよね!
暖をとっていたら 先ほどデモンストレーションで泳いでいたトルコ人も加わって
いろいろ話して楽しかった。
寒中水泳した同士で(いや、同志で)記念撮影してみたり。
私も入りたかった~>< と心から思うけれど
髪の長い私が入ったら この後大変なことになっていたでしょうから
まぁ、旦那の雄姿&いい笑顔が見れられただけでも良かった、ということにしておきましょう。
↑もし次回があるなら 是非 夏で。
↑しっかり遊んで、帰る時に歩いた石灰棚はすっかり夕暮れ。
まるでナイターしにスキー場へ来たみたい。
トルコはイスタンブールの喧騒と、モスクや宮殿もステキだけれど
やっぱり自然がいい。
人も素朴でやさしくて・・・というと多少語弊がある・・・多少ずるがしこくていけ好かない人もいるけれど
親日だとはよく言われることで 日本を好きな人に悪い人はいない(と思いたい)し
実際、あんまりイヤな思いをすることなく過ごすことが出来ます。
イスラム圏独特の異国情緒を十分に漂わせつつ
そんなに緊張して過ごさなくても大丈夫な治安は 保たれているし
男子はイケメンが多いし(好みはあると思うけど)
食べ物も私たち日本人の口に合うし 高くないし
物価もほどほどで イスラム的雑貨もかわいいし
まぁ、とにかくけっこういい国です。
我ながら年に2回も行ったのは
それなりに気に入ったからなのだと、帰ってきてしみじみ思います。
あ~ 楽しかった。