連休の最初の日、僕は祖母の家に行くために電車に乗ってたんだ。



退屈な40分。


単調な音。


窓の外を見てたのは、僕だけじゃなかった。



僕の町の大きな球場にさしかかった時に、白い影が動くのが見えたんだ。



なんだろう、って思うのと昨日会ったばかりの君に見えた気がしたのは同じタイミングだった。


慌てて窓の外を食い入る様に見たよ。


あれは君だったよね?

君に聞いた事はなかったけど、君に間違いないと思ったんだ。


だってあれから毎日僕は同じ時間の同じ車両のあの電車に乗ったんだから。




今になって思えば、あの球場に行けばよかったって思うよ。


でも、あの時はこれが一番いい方法に思えてたんだ。




結局あの時はどこにも行かなかったんだよね。



覚えてる?



連休明けの本田の残念そうな顔。おもしろかったよね。



みんなには言えなかったけど休みの時に一度だけ君を見たんだ。




君は気付かなかったけど、あれは絶対君だった。



だって僕が君を見間違えるわけないだろ?




どれだけ離れても君を見つけれる。



あの日、僕は電車に乗って祖母の住む町に行ってたんだ。



「だから~今度みんなでどっか行こうぜ!ほら、もうすぐ連休じゃん!」



本田の突拍子もない提案。


「いいですね。どこに行きましょうか。」




肯定する君。



「でもどこに行くんだよ。」



こういうタイミングのいい時は部活にいる結城。




居心地がよかった。
すごく。




3人の時とは違う何かがそこにあったんだ。



部活ってこんなに楽しいんだって思ったよ。



君がいるから、僕は楽しいんだ。



そう思ったんだ。


君に会いたい。もっと話したい。もっともっと、君の事知りたい。