簿記一巡

日常の取引については、仕訳して総勘定元帳に転記の作業の繰り返し、そして正しく転記がなされているか確認するために総勘定元帳を元に試算表を作成。そして決算時に仕訳の修正が必要な勘定科目については決算整理仕訳を行い、決算整理後に改めて試算表を作成して正しく転記がされていることを再度確認。 そして最終的に総勘定元帳の残高を報告書に書き入れることで財務諸表が完成する。 


決算振替

総勘定元帳の残高を損益計算書に書き込む過程では、勘定科目が多いほど作業が大変なので、決算振替を行って勘定を一か所に集める処理を行う。 振替は、単に勘定から勘定に金額を移すだけで借方から借方へ動かす、貸方から貸方へ動かすという2つのパターンのみ。


例: A・B・Cの勘定があって、Aの借方残高をBの借方残高に動かし、Cの貸方残高をBの貸方残高に動かす


 まずAの借方残高を移動させるとき、反対の貸方残高に同じ金額をいれて残高ゼロとしたうえで、Bの借方残高へその金額を移動させる。 この時の振替仕訳が 貸方A○○  借方B○○ となる。 そしてCの移動も同様に、反対の借方に同じ金額を入れて残高ゼロにしてから、Bの貸方に移動させる。この時の振替仕訳が借方C○○  貸方B○○となる。


損益計算書の作成

収益・費用の勘定を集めるために上記の振替仕訳を行うが、この時勘定科目を集めるための集合勘定として損益勘定を新たに設ける。(上の例でいえばBの勘定)


●収益の振替

例: 売上勘定について500円の貸方残高がある時の振替仕訳


⇒  売上500   損益500


 売上という収益の勘定について損益勘定に集めるため、貸方側にあらわれている残高と同じ額を借方側にも入れて残高ゼロとしたうえで貸方損益500と移動させる。


●費用の振替

例: 仕入・減価償却費・支払利息それぞれの勘定について300円、200円、100円の借方残高がある時の振替仕訳


⇒  損益600    仕入     300

             減価償却費 200

               支払利息 100


費用で借方残高となっているので、貸方側に同じ金額を入れて残高ゼロとしたうえで借方側に損益勘定をもってくる。 そして収益と費用の差額が当期純利益となりそれは純資産を意味することにもなる。



貸借対照表の作成

貸借対照表は、財産の状態を示すもので当期末の数字は次期首に反映される。そこで決算整理によって、勘定残高をゼロにして当期と次期の区切りをつけつために締め切り手続きを行う必要がある。


例: 現金勘定が借方500 貸方300 で200の借方残高のとき、次期繰越200※を貸方側に加えて、左右の残高をゼロにしたうえで新しい年度に借方200が前期繰越としてあらわれる 


※次期繰越は左右の残高をゼロにするために記入されるが、本来の残高とは反対側にあらわれるので、注意の意味で朱書きされる。


貸借対照表の勘定科目について繰越記入を行い、最後に繰越試算表を作成して、左右の合計が一致したことをもって繰越記入が正しく行われたことを確認できる。  損益計算書については損益勘定、貸借対照表については繰越試算表の数字が最終的な数字として報告される。



 

 


繰延べ・見越し

次期に計上すべき費用・収益が期中に記帳されていたり、逆に当期に計上すべき費用・収益が、それが行われていないために記帳されていないことがある。そのため決算時に繰延べ・見越しを行って、当期と次期の費用・収益を正しく区別する必要がある。


●費用の繰延べ

当期の費用に次期以降の分が含まれている時、これを繰延べにより当期の費用から取り除く必要がある。


例: 決算につき、当期の6月1日に支払った向こう1年分の保険料120円のうち、未経過分を繰り延べる。


⇒ 前払保険料50    支払保険料50


 今年度は7カ月分の使用で残り5カ月分は来年度分に繰り延べることができる。そこで、今年度、来年度分として多めに支払っている50円を 支払保険料という費用の勘定で貸方に減らし、代わりに来年度受けられる権利として前払保険料という資産を借方側にてくる。 これを清算表で表すと、試算表欄には費用として、貸方支払保険料120、修正記入欄には借方、払保険料50 貸方、支払保険料50となり、損益計算書には支払保険料70、貸借対照表には前払保険料50と記入される。


⇒ 支払保険料50    前払保険料50


 次年度の期首に、元の勘定に振り替える(逆の仕訳をする)。この仕訳を再振替仕訳という。これによって支払いの仕訳をしなくても自動的に支払保険料という費用が発生し、前払保険料という資産は相殺されて消えることになる。


●収益の繰延べ

当期の収益に次期以降の分が含まれている時、これを繰延べにより当期の収益から取り除く必要がある。


例: 決算につき、当期の6月1日に受け取った向こう一年分の地代240円のうち、未経過分を繰り延べる。


⇒ 受取地代100     前受地代100


 本来次期以降に受け取るべき収益の受取地代を借方側に減らし、それに伴い後で土地を提供する義務を表す負債の勘定、前受地代が貸方側にくる。 これを清算表に表すと、試算表欄には貸方、受取地代240  修正記入欄には借方、受取地代100 貸方前受地代100となり、損益計算書には収益の受取地代140 貸借対照表には負債の前受地代100が表わされる。


⇒ 前受地代100    受取地代100


 再振替仕訳を行うと上のようになり、サービスの提供がなされた時に受取地代という収益が増えるとともに、前受地代という負債がなくなる。


●費用の見越し

当期に既に費用として発生しているが、契約により次期以降に支払うことになっている場合、費用の見越しを行う


例: 当期の6月1日に、建物の賃貸借契約を結び、家賃は契約期間終了後に全額支払うことにした。決算につき経過分を見越計上する。


⇒ 支払家賃70    未払家賃70


 契約により翌期にまとめて支払うことになってはいるが、すでに使用した分の費用を当期の決算時に計上するために借方支払家賃とし、翌期分を負債の未払家賃として貸方側にもってくる。 これを清算表にあらわすと、試算表欄には、仕訳なしで、修正記入欄に借方、支払家賃70 貸方、未払家賃70となり、これがそのまま損益計算書の借方側に費用の支払家賃70 貸借対照表の貸方側に負債の未払家賃70があらわされる。


⇒ 未払家賃70    支払家賃70


再振替仕訳により、家賃の支払い時に未払家賃という負債が消えるとともに、今期分の支払家賃50が費用として発生する。


●収益の見越し

当期においてすでに収益として発生しているが、契約により実際には受け取っていない収益が含まれているときは、当期の収益として見越しを行う必要がある。


例: 当期の6月1日に土地の賃貸借契約を結び、地代は契約期間終了時に全額受け取ることにした。本日決算につき経過分を見越し計上する。


⇒ 未収地代140    受取地代140


まだ受け取ってはいないが、実際には今期分として発生している地代を収益として貸方受取地代として、借方側にはそれを受け取る権利を表す資産の勘定未収地代をもってくる。 これを清算表に表すと、試算表欄には仕訳なし、修正記入欄には貸方受取地代140、借方未収地代140となり、損益計算書には、収益の受取地代140、貸借対照表には資産の未収地代140があらわされる。


⇒ 受取地代140    未収地代140


再振り分仕訳により、地代を受け取った時に全体の地代240円から、前期の140円が差し引かれ、残りの100円が収益として計上されるとともに未収地代という資産も消える。

 





固定資産の減価償却

減価償却とは、固定資産の価値の減少を記録する手続きで、決算時に行われるもの。減価償却を考えるにあたり、取得原価、耐用年数、残存価額の意味を理解しておく必要がある。

●取得原価: 資産を手に入れて使用できるまでにかかった金額

●耐用年数: 取得時の性能を維持できる年数

●残存価額: 耐用年数を経過したときの予想売却価額


減価償却の際の仕訳で、金額については定額法、勘定科目については、直接法間接法の2つの方法がある。


定額法(金額処理の方法)

毎年一定額ずつ資産の価値が落ちると仮定して減価償却費を計算する方法。


例:取得原価5000円、耐用年数5年、残存価格:取得原価の10%

⇒取得原価から残存価額分を引いてそれを耐用年数で割ると4500÷5=900という減価償却費が求まる


 一般的に残存価額は取得原価の10%と考えると1年分の減価償却費は次の式で求められる

⇒ 一年分の減価償却費=取得原価×0.9÷耐用年数


 直接法

例:決算に際し、当期首に取得した備品(取得原価5000円、耐用年数5年、残存価格:取得原価の10%)の減価償却をおこなう


⇒減価償却費900    備品900



 ●間接法

直接法では資産の取得原価から直接控除したのに対し、間接法では減価償却費と減価償却累計額という2つの勘定を用いて処理を行う。減価償却累計額は資産のマイナス勘定で、資産の減少を間接的に表すので、最初の資産価格と、価値の減少分という内訳を表すことができるのに対し、直接法では資産から直接控除するので資産の現在の価値しか表せない。 このことから固定資産については間接法を用いることが多い。 上記の例を間接法で処理すると


⇒ 減価償却費900  減価償却累計額900


借方側は直接法と同様減価償却費として処理し、貸方側は資産のマイナス勘定として減価償却累計額を用いる

 これを清算表に反映させると、試算表欄では借方備品5000、修正記入欄では借方減価償却費900 貸方減価償却累計額900となり、損益計算書の借方側に 減価償却費900、 貸借対照表の借方側には備品5000、貸方側に減価償却累計費2700がくる。 このように間接法では資産の元の金額と価値の減少分という内訳が表わされることが特徴。


固定資産の売却(期中取引)

売却についても決算整理時と同様に直接法と間接法があり、その特徴が反映されている。


●直接法


例: 備品(取得原価5000円、既償却額1800円)を3000円で売却した


⇒    現金    3000       備品3200

  固定資産売却損200


 直接法なので、備品の簿価(取得原価-減価償却累計額)を直接減らし 貸方側には現金に加え損失分を費用勘定の固定資産売却損で処理する。売却で逆に利益が生まれた時は収益の勘定、固定資産売却益を用いる。


●間接法


⇒  現金       3000         備品5000

  減価償却累計額 1800

 固定資産売却損  200


 間接法では、資産を直接減らさずに、減価償却累計額を用いるので、これを貸方へ移動して減らし後は直接法と同様、固定資産売却損勘定で処理。




 







借方側に費用として減価償却費勘定をもってきて、貸方側で、資産の勘定を直接控除する。このように資産の取得原価から直接控除するので直接法と呼ばれる。これを清算表で表すと、試算表欄では借方備品5000、修正記入欄で借方減価償却費900、貸方備品900となり、損益計算書の借方に減価償却費の費用900、貸借対照表の借方側に備品という資産4100が入る。この貸借対照表の数字が簿価(帳簿価格)で取得原価-減価償却累計額によって求められる。