谷川俊太郎。
中学校1年生の春。入学してすぐに教科書が配られた。
先生が教科書について説明をしているなか、私はその一式の中から、
国語の教科書を手に取り、ページを捲った。
大人の世界を覗くような気分だったのを覚えている。
その第一話目の作品が、日本を代表する詩人、谷川俊太郎「朝のリレー」だった。
「朝のリレー」
カムチャッカの若者が
きりんの夢をみているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝返りをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交代で地球を守る
寝る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルがなってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
はじめて「ことば」で、その表現する「世界」に引き込まれた。
心が「ことば」に”持って行かれた”。
地球が繋がっているのを確かに感じたし、今日の朝は、まだ見ぬ外国の、誰かの朝が
終わったあとに自分のところにやってきている。
そして、また、知らない外国の誰かのところ渡っていく。
小さいながらに知らない外国は別世界ではなく、連続する「世界」であるということ。
おおげさにいってしまえば人類の連帯感と、たったひとつの地球の共有性みたいな物を
感覚的に感じたのを覚えている。
まだ白いブリーフパンツを履いて、毛も生えていないクソガキが。
とにかく、この詩のおかげで、私は国語が好きになったし、唯一の得意科目にもなった。
***
糸井重里。
私の心はまた「ことば」に”持っていかれる”。
「新潮文庫の100冊」フェアにつけたキャッチコピーだ。
「想像力と数百円」
こちらも日本を代表するコピライターだ。
「日本のコピーベスト500(出版:宣伝会議)」という本の第2位にも掲載された。
(ちなみに第1位も糸井である)
想像力と数百円さえあれば、文庫本を買って、どんな世界にでも飛び込み、体験できる。
本の世界に飛び込むことの快感を知っている人にとっては、言い得て妙であり、
本好きのプライドを絶妙にくすぐる。
また、そうでない人にとっては本を読むことへの好奇心、つまりワクワク感を抱かせる。
文庫数百円でいいのだと、文庫本を再認識する素晴らしいキャッチコピーである。
***
この私の大好きな「ことば」のプロフェッショナル2人は、私の大好きな映画で共演する。
疲れちゃったので今日はここまで。
次回はその話を詳しく。
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