ムーンライト 鑑賞。

 

 

日本公開日:2017年3月31日 R-15指定映画

製作費:150万ドル(約1億6400万円)

 

さぁ…….頑張って語っていきますww

今回は捻くれた感想は無しです。

(正直この作品は、語るべきものでは無いのかなぁ〜と思いつつも…(^▽^;))

意外にも嬉しかったのは、日本での評価が思っていた以上に悪くなく、寧ろ高評価な点が目立つ所。

そもそも映画好きぐらいしか観ないかもしれない作品だけど、そういう方にも受け入れられているのは、単純に嬉しく思います。

 

とりあえず、この映画に関しては、

「語る前に観て。」と言いたい。

ただ面白いかは全く別物。

本作はハリウッド映画にしては、かなりの低予算。

資金集めに苦労した「この世界の片隅に」ですら2億5千万円。の更にその下の資金で見事一つの愛の映画を為し得ています。

第89回アカデミー賞 8部門ノミネート。

作品賞、助演男優賞、脚色賞 を受賞。

 

 

◆個人的評価:★8

低予算でここまでの作品に仕上げれたのは、素直に賞賛。

そして何よりも、これほど心にくる黒人映画を観たのは初めてだった。

 

◆映画料金に見合っているか

う〜ん…話に集中したい人は…って感じです。そこは低予算なので派手な演出等々はありません。

DVDでも損なわれること無い面白さ。

ただ、銅像の様に美しい黒人を観たい方は、映画館でしか味わえないのかも。

 

◆オススメできるターゲット層

男友達と観たい方:★0

(↑ただし、お互いに映画の内容を知っていて、そういうことにも決してハッテンしないのであればw、★8)

恋愛に限らず、愛の映画を観たい方:★10

黒人が好きな方:★10

一人ぼっちで俯いてた頃があった方:★10

 

 

◆以下、ネタバレなし感想。

・主要キャスト全員黒人。

この映画に出てくるのは、ほぼ黒人しかいない。まさに黒人が主役の映画。

監督も黒人、脚本家も黒人。

(製作会社にプランBエンターテイメント が関わっているので、製作総指揮には、ブラッドピット がいたりしますがw)

そんな黒人ばかりのスタッフ達で、アカデミー賞作品賞受賞は、なんと史上初!

一昨年は白すぎるオスカーとなってしまった反動もあってか、第89回のアカデミー賞は多様的な結果となり、大変面白かったのを思い出します。

 

・出だしの撮影はイマイチ。

唯一目に見える形で駄目出しがあるとすると、冒頭のシーン。

二人の黒人が立ち話をするシーンなのだが、カメラがずっとその二人の周りをぐるぐると回りながら撮るシーンがあるのだが……長い(^▽^;)

まだ主人公も出てきていないシーンで、特に意味のない撮影演出としか思えず…

そして、途中でカメラを意識してしまったのが運の尽きでした…正直ちょっと気持ち悪くなっちゃいましたww

(ハードコアで気持ち悪くならなかったのに不思議です…)

これで撮影賞ノミネートしてるってのが…ちょっとしんどいかと…

他のシーンの撮影は、問題無く楽しめました。

 

・助演男優賞受賞に文句なし!!

フアン役の#マハーシャラアリ の存在感。

個人的には1番オススメできる見どころキャラだと思います。

 

 

◆以下、ネタバレあり感想。

・映画ポスターで伝えたいこととは…

この映画のポスターは、映画を観た人には分かる特徴が施されているのが分かります。

それは「変わらない目」です。

主人公の少年期、青年期、成人期で構成されている顔なのだが、

目以外は、バランスがあっていない。

しかし目だけは、完全に一つの目として形を成立させており、

「主人公がどれだけ歳を取っても、変わらないものがある。」

ということを目で訴えてきている極めて面白いポスターです。

目というのは、今作では大変重要な要素でもあるので、実に効果的です。

 

 

・ブロンズの様に肌が輝く黒人…カラーリストの存在とは。

実はこの映画では、黒人がかなり美しく撮られている。日光でのテカり具合が半端ない。

それは、カラーリストという担当が映像に色彩編集を行なっているからである。

例えば日光だと、余分な光の反射を抜いて、光源レベルを強くしたりしている。

個人的には、素の美しさと思っていた反面残念で仕方ない。

この作品では、ストーリーが良い分そんな加工を施さなくても良かったと思う。

寧ろ、素の黒人を観れなかった点としては嬉しくない。

ただ、海辺の青黒い肌の反射は大変印象的で最高に美しい。

 

 

・フアンの複雑な立ち位置は絶妙。2章から居なくなった時の絶望感ハンパない…

この作品は、3章に分かれていて主人公の少年期、青年期、成人期で構成されているのだが、

フアンが出てくるのが少年期のみ。

僅か30分も出ないキャラクターだが、その存在感は圧倒的だ。

正に助演男優賞受賞に相応しいかった。👏

主人公の唯一無二の「希望」的な存在でもありつつ、薬物売買人という顔も持つ。

しかも、その薬物は主人公の母親にも売買されているのだから、

それを知ったフアンの心境は大変複雑なものだ。

マハーシャラアリは、見事にこの複雑な心境を映像に移す出すことに成功して、観客の心に突き刺してくる。

そして…第2章に話が変わったときに、フアンが既になくなっているという…そのことを知った時……

「うわぁぁぁ…シャロンの唯一の支えが……シャロンヲワタ…」

って内心穏やかではなかったです。

邦画で例えると、劇中の途中で、

ある子供の面倒を見ていた寅さん が、突如として居なくなる。ぐらいです。

もう心の中では、

「俺たちの希望がぁぁぁ!!!」

(ジョジョのスピードワゴン風w)

って叫んでました。

もしフアンが生きていたら、色々と救いがまだあったことでしょう。

第3章の道も変わっていたかもしれません…

でも現実は非情です。非情さから逃げずに世界を描くことに徹底している今作。と考えたら、

これからのシャロンは……

って考えてしまいました。

 

 

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・一番好きなシーンは、もちろん海で泳ぎ方を教えるフアンと教えてもらってるシャロン

このシーンは凄く良い。

誰でも撮れる様なシーンだけど、説得力は抜群。無駄がない。

カメラレンズの位置も見事。

カメラレンズの下半分は、

海の中に入れ、上半分はシャロンやフアンを映している。

シャロンは、フアンに泳ぎ方を教わりながら、必死に波に逆らって泳ぐ。

波は完全に「世の中、社会」を表しており、

社会での生き方をフアンが教えている様に見える。

完全に父親とかしているフアンとそれに応えようとするシャロンの関係が実に微笑ましく、ついシャロンを応援してしまう。

だからこそフアンの存在感(マハーシャラアリの存在力)は絶大だったことあり、絶望感は大きかった。

 

 

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・第2章のシャロン、エロシーンが……そして、ボコられた後の呆れ笑いがなんとも言えない…

第2章は、エロシーン(夢の出来事)の解釈に変なことを考えてしまって笑ってしまった。

最初は、「シャロンも年頃だから仕方ないわな。#ケヴィン (友人)にあんな話しされちゃ〜。」って思ってたら、「逆かよ!ww 刺したい方じゃなくて、刺されたい方がお望みだったのか!?ww」

と考えてしまった時には、

心の中では、半分笑って半分深刻な状況で、どうしようか…と悩みながら観てました。

自分は、子供なんかいないから完全に妄想になるんですが…

もし自分の息子が「好きな子ができた。同級生の男性だ。」

と言われた時の親の気分を体験した気分です。もしそういう子供を持っている親は、どんな気持ちで子供と接しなければならないのだろう…

答えがない分、どうしようもなさそう…

自分が親だったら、確実に「その男と一緒になるのは構わないが、出て行け。名前も変えろ。」と言いそう…

そんな要らぬことを考えていたら、

海辺のシーンだ…

旧エヴァの冒頭碇シンジ君なんて甘っちょろいぐらいの展開がなされる…

描写としては、一番キツイ。

そんな描写に慣れていないのもあるから余計にキツイ。

だが、悪いことをしているとは言えない。誰が言えようか…

 

その後、その友人にボコられ、弁護士?みたいな方から質疑応答されるのだが、その時のシャロンのボロボロ顔になりながら呆れた笑いをするのがなんとも印象的。

体もボロボロ…

心もボロボロ…

「もう何も支えなんてない…」ある種の世の中が嫌になった悟りに近い笑い方が…もう辛過ぎた…

 

 

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・第3章ゴリゴリマッチョで帰ってきたシャロン、まさにブラック…表向きは…

第3章には2点ほど驚かされた。

一つ、シャロンがゴリゴリマッチョになったことだwww(°▽°)

あまりにもゴリゴリになり過ぎてシャロンなのかどうなのか分からなかったぐらいでした。

もう一つは、麻薬売買を生業にしていたこと。

何となく分からなくもなったけど…第2章で特に辛かった展開があった分、個人的には自殺するより良かったと思ってホッとしている自分がいました。

その後、ケヴィンに会うことになるのですが……

目線が下向き……

もうね。

ゴリゴリのマッチョなのに…

金歯をするぐらい金持ちなのに…

心は第1章、第2章と変わらない「繊細さ」を持ってました。

 

 

・パンフレットの内容が濃くて面白い。

記念程度に買ったパンフレットだが、

意外にもパンフレットの内容が当たりだった。

(ムーンライトのパンフレット買うなんて俺ぐらいしかいなかった時の空気感やばかったw)

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というのも、日本での公開が遅れたおかげもあって、第89回アカデミー賞 のことについてのコメントもある。その中で、作品賞がLALALAND受賞と間違ったハプニングについてのコメントが、

監督とマラーシャラアリからあるというww

しかし彼らは、

「ララランド受賞に何の違和感も無かった。ノミネートに上がっている作品は全て受賞する可能性がある。」

「逆にその後、ララランドのプロデューサージョーダンホロウィッツから訂正のスピーチ。さらにオスカーまで渡してもらえた。

こちらとしては、申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、彼らはとても寛大に対応してくれた。

自分がもし逆の立場なら、あのような対応が出来るか分からない。

ムーンライト受賞ということを教えてくれたララランドのチームの優しさには、言葉を失った。」と

この言葉が読めるだけでもパンフレットの買う価値はあります。

その他、現代社会問題とトランプ政権に対するコメントまであり、

中々俳優さんに聞くのも珍しい質問がありましたが、皆さん真剣に応答しており、素晴らしいインタビューばかりでした。

主人公シャロンの母親役ポーラ(ナオミハリス)も撮影期間たった3日リハーサル無し、で全3章出演。ほんと素晴らしい演技でした。

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・ビデオゲーム GTAのディープビューティフルストーリー

登場人物が黒人しか出てこないことや、マイアミが舞台などを考えると…凄く雰囲気がGTAに近い感じがしました。

ただGTAにここまで深いストーリーは無く。基本銃ぶっ放しなどで解決してしまう軽いストーリーが多いです。

故に、もしGTAにもこの様なディープストーリーを盛り込むことが出来るのなら、きっとGTAは違う意味で新しい進化を遂げることが出来るのでは?と考えました。

「銃で全てを解決する」GTAが、

「自ら銃を否定して進む」GTAに進化とかしたら最高にクールだ。とか考えてしまった。

少なくとも次回作のGTA6に影響があれば、面白いと思いました。

 

書ききれなかったので、次回に続きます。

 

 
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