湯を沸かすほどの熱い愛 鑑賞。
泣ける!泣ける!!泣いた!!!
……けど…クドい。
そこが勿体無いと感じた。(そんな事考えるの自分くらいだと思いますが(^▽^;))
普段映画を観ない方や、映画観て泣きたい方には非常にオススメですが、
表現の面白さに対して、奥深さや追求する方(映画ヲタクや映画に隠れている意図を見つけるのが好きな人など)にとっては、まぁつまらん。と思います。
なぜかというと、
「分かりやすい感動」と
「展開の結果を全て説明してくれる丁寧さ」が、
お客さんに「奥深さ」を考える余地を与えない作品となっているように感じ、
「見えない美しさ」、
「見せない美しさ」の存在を皆無としていると思いました。
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10分に1回ぐらいの割合で泣かしにくる。しかも俳優さんの泣き顔が毎回映る。
泣かしにくるのは別に構わないが、そればっかりなのだ。
「さあ、泣けるシーンだ!演者さんの渾身の泣き顔だ!泣けよ、ほらほら。」と言わんばかりの演出が余りにも多く感じた。
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演者の涙を見せて、観客を泣かす方法は、安い感動でしかないと思ってますし、誰だって思いつく方法。
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そういう意味では、
俳優の演技を観る為の作品だと思います。
僕はむしろストーリーに泣かされたというより俳優の演技に打ち負かされ、泣かされました。
久しぶりに俳優の名演技を堪能出来るます。
故に、そこが万人の方にオススメ出来る要素だと思います。
(映画料金分の価値は充分にあります。)
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特に杉咲花さんや宮沢りえさんの演技は、観客全員が飲み込まれる力を持ってました。
(数々の賞の中で、女優賞を殆ど持っていった事には納得出来ます。)
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以下、ネタバレ感想。
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1番好きだったシーン:
末期ガンで告げられた後の真っ暗な風呂屋で、娘からの電話により差し込む携帯電話の光です。
絶望していた幸野双葉の真っ暗な世界に娘から発せられる光は、
幸野双葉の心の中に一筋の光が差し込んだ様な演出表現は、実に印象的であり、アニメ的な手法だな。と面白かった。
(個人的には、電話が終わった後で幸野双葉の顔が映るシーンがあるが、あれは映さない方が良かったし、
代わりに携帯を閉じても、光が絶えない(携帯電話の一時的なバックライト)演出を観せた方がさらにグッとくると思いました。)
後は、カーテンの合間から光が漏れる感じをワザワザ画面全体で映したのも、印象的だった。
1番泣かされた所:
幸野双葉と幸野安澄がベットで喧嘩するシーン。
お互いに思うところがあるけど、互いに真実を口に出せないやるせないケンカ。
安澄が「何にも分かってない!分かってないよ!お母ちゃん…」と言う所が、1番の泣き所ピークだった。
(その後、「学校行くんかい!」って思わず思ってしまったが、その後のイジメに対する対抗手段が凄く良かった。)
悪い点:
よくあるストーリー。他にもよく似た作品ならあると思し、俳優さんの演技力が高過ぎて、監督の力量が見えなかった。
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幸野双葉が入院した後や死んだ後でも、顔を画面に出し、お客さんを無理矢理泣かせにくる手法に、ちゃちさを感じた。
敢えて見えない、見せない、からこそのお客さんが幸野双葉というキャラクターを考え、どの様な容姿になってしまったのか、という恐怖や悲しみを想像させる演出出来ていたのに、
全部画面に表示しているのが、勿体無く感じた。
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感動演出のワンパターンが顕著であった。125分もあるのだから、もっと色々な感動をお届けできたのでは?とも思いました。
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数学の先生の台詞が良くなかった。というか少し滑稽に描いている様に見えた。
体操服で幸野安澄が教室に入ってくるシーンで、同じクラスの生徒が笑うのは分かるが、それに対して、
数学の先生から発せられるであろう
「お前ら静かにしろ。」的な台詞がなかったのが悔やまれる。
幸野安澄がイジメられていることは、絵の具事件で判明している。
そのことを担任の教師は、先生同士で情報共有しているべきだと思ったが、そんな描写がなかったので、
単に情報共有されていないのか。
それとも数学の先生の性格自体に問題があるのか。
それとも演出意図で教師を馬鹿者キャラにしたのか。
いずれにしても、教師という職業の描写が少し可哀想でもあった。
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エンディングでタイトルが出るのは、構わなかったが、それと便乗して激しいエンディング曲が流れるのが、なんか違う…感が否めなかった。
その後、銭湯の煙突から赤い煙が出てくるんだけど……演出意図は分かる!凄く分かるけど!分かるんだけど……実際に起きたら近所迷惑だよね…って最後の締めの演出が浅はかな感じがした。