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人間の命というモノはちっぽけなモノで
それをヒトの力で、どうこうできるモノではない
勢いよく燃えている命を無理に消そうとすると
必ず神の制裁を受けることになる
また、消えゆく炎を再び燃え上がらせようと
薪をくべ
息を吹いても
消えてしまう運命の炎は
二度とボクらを明るく照らすことは無い
やがて焼けぼっくいの弾ける音を聴きながら
そんな命を見守ることしか
ボクにできることはない
時には、そんな炎を見かねて水をかけたくなるかもしれない
踏みつぶして消し去ってしまいたくなることもある
でも
最後まで
炎がすべて消え去り
立ち登る白い煙が透き通った空気と同化するまで
ただ眺めていることしかできない無力な自分に
耐え続けることが
消えゆく炎への誠実な態度なのだと思う
真っ直ぐに向き合うことは
きっと
ボク自身の終演の時まで
心の拠り所となってくれることだろう
命の消えゆく景色は、線香花火のようだ
線香花火のショウタイムは短いけれど
その余韻によって永遠の時間を得ることができる
パチパチと優しい閃光を発してボクらを楽しませてくれたあと
こよりにぶら下がった楕円形の赤い玉を
いつまでも、いつまでも、、、、眺め続ける
命の時間割は誰にも知らされていない
幕は突然引かれることもある
また、それを予感することもある
いつ終わるかわからない人生劇場を
精一杯演じるのもよい
思う存分観賞するのもよいだろう
肝心なのは全力で生きることなのだと思う
目を閉じて
命の余韻に浸ることができる日が
いつか来るのだろうか
もっと、もっと
ずっと、ずっと
名残惜しいボクの気をよそに
…命はそっと消えゆく
つづら折りになった坂道をゆっくりとのぼる。
いっぽ、いっぽ、丁寧に足を運ぶ。
歩いては休み、休んではまた歩き始める。
朝靄の残る木々の間から鳥のさえずりが木霊する。
昨日から降り続いた雨のせいで、
まわりの景色がかすんで見える。
どんよりとした雲の模様はあたかもぬかるんでいるようだ。
やがて、
カーテンの隙間から薫風が差し込むように
雑木林におおわれた景色が開ける。
コンクリートが剥がれ落ちた石段を登り切ると、
そこにいしぶみがある。
ねずみ色にくすんだ御影の飛び石のひとつに腰を下ろすと、
しばらく息を整えながら空を眺めた。
胸の動悸が収まり、
シャツの胸ポケットからたばこを取り出し火をつけた。
……。
目の前に広がる景色は穏やかで、
ボクの心の中を映し出しているように思えた。
高架になった幹線道路と平行して横たわる水流。
それを家来のように引き連れ、全軍を指揮する雄々しい城山。
そんな景色の中に繰り返される歴史の狭間が見え隠れする。
かつてこの地で御家再興を誓った源頼朝。
鎌倉幕府を影で操った北条氏。
すべてがこの地から始まっている。
…そんな風景を見下ろす場所に、
母の墓石がある。
もう一年にもなるのだ。
ついこの間まで、、、
たしかに、
ボクの目の前で笑い、話していたのに…
母が逝ったとき、一粒の涙さえ流すことができなかった。
そして、それは今でも変わらない。
いつか、いつか母を思い出し、
袖に時雨ることができるのだろうか。
……。
しばらくそんな思いを巡らせていると、
ひとひらの薫風が頬をなでていった。
その優しい感触に誘われ振り返った。
「お母さん?」
ボクはほくそ笑んで自分の頬に手をあてた。
Mac Proをスリープさせる。
そして電気を消して書斎を出る。
ここからボクの長い時間が始まる。
七種類の睡眠導入剤を、バナジュウムで一気にの飲み干す。
ダウンライトに照らされた薄暗い部屋で、
NUDAのペットボトルを冷蔵庫から取出し、
これから起こりうる時間の恐怖におびえながら、フタをひねる。
冷蔵庫の明かりに照らされると、
昨日見た夢が呼び起こされてくる。
ペットボトルをラッパでひとくち、口に含むと、
淡い炭酸の刺激が口の中でやんわりと弾ける。
冷蔵庫のドアを閉めると、、、、
そこは行灯の明かりに照らされたような、
奇妙な空間に支配されている。
ボクは、この空間を何時まで彷徨い続けなくてはならないのか?
リビングのこたつに潜り込むと、マルボロライトに火をつけ、
しばらくジッポーの、小気味よい音を何度か楽しむ…
というより、これから起こるいつものイベントに、
緊張しているのだ。
ゆっくり目をつぶりBOSEのヘッドホンを耳にかぶせ、
iPodで曲を選択する…。
いつも決まった曲だ。
タバコを吸い終わり、
ペットボトルの炭酸水を飲み干すと、
やっとベッドに横になる。
これがボクの毎晩の儀式だ。。。。
二時頃の時もあれば、明け方の時もある。
そして、浅い眠りの中さまざまな時空を漂い続けなくてはならない。
学生の頃の自分、昨日の夢、明日の夢、将来の自分。。。
時空の中には、さまざまな出来事が封印されている。
そんな時空をを毎晩毎晩、歩き続けている。
思い出したくない過去、懐かしい過去、不安な未来、、、
そこにいるボクは、いつも静かに佇んでいるだけだ。
今日はどんな自分に出会うのだろう?
明日見た夢…
それは、時空の隙間に忘れ去られた、
ボク自身の後悔なのかもしれない。
おやすみなさい。
過去のボク…
娘がボクの顔をクンクンしながら言った。
「おとうさんの顔って、ラリーのシャンプーの匂いがするね (^^)」
ラリーというのは、、、
愛犬のミニチュアシュナウザーのことなのだが…。
お風呂でヒゲを剃ったから、
シェイビングジェルの香りがするのかな???(?_?)
ぼんやりと考えているボクを気にせずに娘は続けた。
「す・な・わ・ち、、、」
…すなわち、、、なんて言葉どこで覚えたんだぁ?
「おとうさんはラリーの匂いってことだよ (^o^)」
なるほど、なるほど、、、
ボクの体臭は犬臭いのかぁ? ぢゃない。(^_^;
「す、すっごいなぁ」
「いま言ったのって三段論法じゃないか (@_@;)」
ボクが犬くさいか否かは別にして、、、
小1にして三段論法を使いこなすとは素晴らしい。。。。(。)カンド-
「それってなぁ~に? (∩.∩)」
父の驚く様子が気になり訊ねる娘にボクは答えた。
「AはBである」
「BはCである」
「すなわち、AはCであるっ、、、、て感じ(^◇^;)」
…。
「…(=_=)」
しばらくなにやら考えていた娘が、
得意満面な表情でしゃべりだした。
「それって、肉まんみたいのだよね (*^_^*)」
…。
…。。
…。。。(-。-;)
そりゃ、小籠包だろ。。。。。。(-_-#)