昨夜は「劣化ウラン被爆者からのメッセージ イラク戦争帰還兵元米軍曹ハーバート・リードさんは語る」に行って参りました。

彼は2003年のイラク戦争の退役軍人で、サマワに2ヶ月442警察隊の一員として従軍する中、劣化ウラン弾で被爆しました。ドラコビッチ博士のDU汚染尿検査で陽性反応が出ており、20062月には甲状腺腫瘍摘出手術を受けました。現在同隊の8名と共に米政府に対して賠償請求をしています。

講演で、リードさんは自分の体験を淡々と語り、その低音の重厚な声は私達の心を癒してくれましたが、一方で彼の苦しみが如何ばかりかと沈痛な想いがしました。私には、講演の後食事会に参加し別れる時、彼を思い切りハグして、祈る事しか出来ませんでした。

劣化ウラン弾の放射能障害に就いては、諸説があります。本来なら徹底究明すべき事柄なのに、米国に配慮してか置き去りにされています。丁度、最近判決の出た予防接種の注射針の付回しによる肝炎の発症と同様に、この問題に触れる事はタブー視されているようです。

今回の講演で、リードさんは自分の体調に就いて詳しくは述べられませんでしたが、「階段を3段登ったら息切れし、7歳の息子を抱える事も出来ない。」と言うお話を聞いたり、一つ一つの動作を見たり、してその苦労の一部を感じる事が出来ました。

以前湾岸戦争での放射能障害に就いて他のホームページに書き込みをした時、集中砲火を浴びた事があります。今回のリードさんの体験談はイラク戦争に関するものであり、それも自衛隊の駐留したサマワでの出来事です。自衛隊の人々はサマワで医療支援をしたと聞きますが、その詳しい内容は公開されていません。また、帰国後の自衛隊員の劣化ウラン汚染の検査も行われていないようです。

私は、リードさんの「ベトナム戦争で米軍によって使われた枯葉剤の健康や環境汚染が明らかに30年掛かったが、劣化ウランの問題はそんなに待ってはいけない。直ぐに解明すべきである。」と言う考えに賛同し、「広島・長崎での被爆経験から、放射能障害医療で最も進んでいる日本はこの問題の徹底究明を行うべきだ」という強い思いを再確認しました。

自衛隊の人々が被爆していないことを心から祈りますが、リードさんは「自分はサマワに2ヶ月駐留して被爆した、自衛隊員の被爆の可能性は大きい。直ぐに検査を受けるべきだ」と訴えていました。

 劣化ウランの問題は、直ぐにでも徹底究明すべきだと考えますし、放射能障害を起こす武器の使用は即時禁止すべきであると考えます。一方で、現在イスラエル軍がこの武器を使用している可能性が高いと聞いて、いたたまれない気持ちになりました。

山口実