下記のCNNの記事が目に留まった。
「11日付の米紙USAトゥデー紙は、米通信大手AT&Tなど3社が01年の米同時多発テロ直後から、国家安全保障局(NSA)に国内電話の通話記録を提供していると報じた。」http://cnn.co.jp/usa/CNN200605120016.html
皆さん既にご存知だとは思うが、ブッシュ政権は更に窮地に立たされている。
日本の共謀罪の国会論議もそうだが、権力の横暴で監視社会が作られれば、権力に対抗する国民は何時でも抑圧される。大学時代訪れた軍政下のギリシャが正にそれであった。コミュニティー全てスパイになる。そんな世の中は、絶対に願い下げだ。
また、別の記事でCNNの委託調査機関のクリントン元大統領とブッシュ現大統領の比較世論調査の結果が出ている。圧倒的にクリントンの方が優勢である。今更ながら、ゴアが前々回の選挙で大統領に選ばれていたら、世界は違った状況だったのではないかと考える。
http://cnn.co.jp/usa/CNN200605130003.html
後3年も残して、ブッシュ政権はlame duck状態、これに付き従う日本政府はどうなるのか。
一方、今週のサンデー毎日に元NHKワシントン市局長手嶋龍一氏の「日米同盟は機能不全に陥っている」と言う記事が載っている。小泉首相は「日米関係が良いからこそ、中国、韓国などの全ての国との良い関係が維持されている。」と強調するが、手嶋氏は「しかし、実態はと言えば、皮肉な事にその前提部分がそもそも存在しないわけです。」と日米外交現場の没交渉状態に言及する。また「外国的視点から見れば、小泉首相の靖国参拝は日本を東アジアで孤立に追い込んでいる。-中略-さらに困るのは、日本もさることながら、今の米国には『東アジア戦略』と言うものが存在していないことです。」とも指摘している。
私の経験から言えば、欧米社会でも相手に追従する人間は、(表面上好関係に見えても)相手に尊敬されない。米国政府は日本の立場を尊重しているとは言えない。それは、国連安保理の常任理事国入りキャンペーンや今回の在日米軍再編問題に関する対応を見ても分かる。
何れにしても、日本の外交はアジアだけでなく、米国とも非常に悪い状況にあるようだ。イラン問題が混迷を深めれば更に問題は深刻化するであろうし、将来的に米国が民主党政権が樹立された時ブッシュ政権への追従がマイナスに働きかねない。
やはり、日本は一国だけを偏重することなく、地道な全方位外交を続けるべきだと考える。もちろん、米国との対等な好関係を構築することも、東アジア諸国との関係を改善する事も、同時並行的に行われなければならない。それが、日本国民が平和で心安らかに暮らすための最善の方法であると思量する。
山口実