聖徳太子の十七条憲法の第一条に「和(やわら)ぐを以て貴(たっと)しとし、忤(さか)ふること無きを宗とせよ。(略)」と書かれてあるが、歴史的に日本は和を重んじて来た。馴れ合いや弱腰外交の原因であると言う批判もあるが、私は和を貴しとする姿勢は基本的に正しいと思う。
もちろん、国際化の中で、はっきり言うべきことは言わなければならないが、相手を慮ることで和が形成できる。私は武器を振り回して、逆らいあうことや諍いは日本人には合わない。それは、農耕民族と言う歴史的な民族性からも言えるし、個の力よりも組織の力で発展してきた歴史からも言える。
国内で和を貴ぶことができるのであれば、当然隣国との和も尊ぶことができるであろう。
以前にも書いたが、ユダヤ人や華僑との交友の中で、彼らの優秀さや勇敢さを十分思い知らされてきた。一方、彼らは彼らで、日本人としての私の「人の和」に敬意を表してきた。個を磨くことは大切であり、各個がしっかりした智恵を持つことは大切である。しかし、残念ながら個の力で彼らを圧倒することは出来ない。私は、日本人がこの国際化の中で、生き残るためには「和を貴し」とする智恵が不可欠であると思う。
若者の中に、日米安保の強化(米国追従)、或いは核を持つことでしか、日本が守れないと言う意見もあるが、私は「和らぎの輪」を広げることで国を守ることが出来ると思う。武器は使ったらおしまい。特に核を使ったら、結局自分が破滅してしまう。使えない武器を持とうと言う発想はきっぱり捨てたほうがよいし、核の保持や開発を推し進める他国には断固反対するがよい。(もちろん、やり方には充分智恵を絞る必要はあるが。)私達は広島・長崎での被爆でどれだけの人が苦しみ、死んでいっているかを一番良く知っている民族なのだから。
山口実
P.S.昨夜のニュース23にドイツのヴィム・ベンダーズ監督夫妻が出て、日本の良さは思いやりや古いものと新しいものの調和だと言っていた。外から見るほうがやはり良く見えるらしい。若者には海外に出て生活し、外から日本を見ることを勧める。そうすれば、自分にとって何が大切で、何を守らなければならないかが良く分かるだろうから。