中国の胡錦濤国家主席が18日午前(日本時間19日未明)、5カ国歴訪の最初の訪問先である米ワシントン州シアトルに特別機で到着した。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/detail/20060419/fls_____detail__013.shtml

http://www.asahi.com/international/update/0419/008.html

 日本政府の高官達が日中の政治的対立を煽っている間に、米中の接近が進む可能性が大である。歴史的に海に守られてきた島国の日本と違って、他国の侵略に晒されて来た大陸国家の中国はしたたかである。今後中国はブッシュ政権を懐柔し、またブッシュ後の民主党政権との絆を強化すべく、米中関係改善のいろいろな方策を講じて来るであろう。

 今の状況は、30数年前ニクソン大統領が訪中して、日本の頭越しで米中国交を樹立したことを思い起こさせる。いや、一歩が踏み出せず少し遅れをとった当時の日本政府より、今の日本政府は数段遅れていると言えよう。

 中国の視界から日本が消える前に、日中関係を改善することがわが国を守る為には不可欠である。「国防」は軍備の拡充では成し得ない。わが国にとっては、軍事的対立よりも経済的な対立の方が脅威と言える。わが国を守るために不必要な政治的対立は即刻中止し、共生を目指した外交を展開すべきである。

 そもそも、米国の国益と日本の国益は別のものであり、日本が米国の言いなりになったからと言って、米国は必ずしも日本の思い通りにはならない。それは、昨年の日本の国連安保理常任理事国入り運動においても証明された。

 今後、中国は日本の否応なしに、巨大国家として成長して行くだろう。米中と言う二大国家の狭間で、如何にうまく立ち回って国を守り、国益を守って行くのか、それを政府も国民も一体に成って考え行動することが、真の愛国に繋がるのではなかろうか。私は、他国を敵視することでは、真の愛国は生まれないと考える。

山口実