音楽は国境を越える。その通りだと思います。最近は外で歌うことは少ないのですが、色んな場面で色んな思い出があります。
例えば、20歳の時ナホトカ航路の船の中で「荒城の月」を歌って、ロシア人の金持ちの若奥さんに感激されて迫られたこと、それからイスラエルで「Sukiyaki」を何百回とリクエストされ、大きなキブツの集会で6000人の前で歌い大喝采を浴びたこと、キブツの幼稚園で「中国地方の子守唄」を歌い先生まで眠らせたこと、ロンドンのクラブでビートルズを歌ったこと、赤坂のディスコでアイク&ティナ・ターナーの前座をやりその後ティナから歌と踊りを直接教えてもらったこと、L.A.の大手石油会社のクリスマスパーティで毎年オンステージをやらして貰ったこと、クウェートの日本人会の忘年会でイラク人バンドの演奏でオンステージをやったこと、インドの大富豪の集まるパーティーで歌い絶世の美女に何度もアンコールされたこと、人質仲間を元気付けるため一生懸命歌ったこと、インドネシアの経団連パーティーでトリに「昴」を歌ったら経団連の豊田会長が感激して駆け寄って来てゆっくりお話が出来たこと、エルヴィス生誕祭で歌い湯川れい子先生から褒められたこと、博多のストリートミュージシャンを手弁当で連れて行って、北京・上海でコンサートを行い大好評だったこと等、インド洋大津波の被災児に歌ってあげたこと等、書き尽くせない程の良い経験をしました。
でも、今プロのジャス歌手の旦那になり、また角松ちゃんなどの本物のミュージシャンと付き合って、「上には上がいるもんだ。プロにならなく良かった。」と実感しています。
「何でまた急にこんなことを書き出したのか」と言うと、最近女房のコンサートの紹介をあるジャズ愛好のブログに掲載して、「営利目的や宣伝の為の書き込み」と言うことで削除されボロクソに非難されることがあったからです。そこでコミュニケーションのやり方について「幼い」「ひとりよがり」と指摘されました。そうと言えばそうですですし、個人のブログですからそのオーナーの趣味の問題でもあるのですが、音楽の愛好家と言うのは排他的にならず、もっと寛容で、もっと素直であって良いのではないかと思いました。そして、同じ愛好家が連帯感を持って盛り上がると言うのが、日本で音楽をもっと発展させる道なのではないかと思いました。
ただ、「良いジャズがあるよ。聴いて!」と言うのが本心だったのですが、理解されませんでした。(本当に、コミュニケーションは難しい!)はっきり言って東京でのコンサートは全く儲かりません。と言うより、経費で持ち出しです。でも、「女房の素敵なジャズを出来るだけ多くの人に聞いて欲しい。」と言う気持ちが先に立って、「全面的に支援したい」というのが私の素直な気持ちです。また、今の日本でJAZZは儲かりません。でも、そんなJAZZを愛して、心身を削りながら20年も歌い続け、聴く人々を癒しながら、まだまだ進化していると言うのは素晴らしいことだと思っています。
山口実
国際的なジャズピアニストで、あの有名なボストンのバークリー音楽院の准教授竹中真さんとの近所のイタリア料理店でのコンサート
実は、竹中さんとは大学の先輩後輩の中で大学時代二人で「実と真のコンサート」をやったことがあります。卒業後私はビジネスマンとなり、竹中さんは大学院を経て、バークリーのジャズピアノ科を首席で卒業し、現在に至っています。35年ぶりの出会いがジャズを通してなんて、ロマンチックだと思われませんか。(竹中さんのHPはhttp://takenakajazz.web.infoseek.co.jp/index_jap.htm 、開くと彼の演奏が流れます。)