はじめに

前回(6 月号)の記事では、最新ガイドラインをもとに「物理療法とエクササイズはどこまで効くのか?」を整理しました。そこで分かったのは、痛みを受け身で抑えるだけでは再発を防げず、身体機能そのものを取り戻す段階が欠かせないという事実です。

今回はその続きを深掘りし、次の2点をわかりやすく解説します。

  1. 痛みの陰で“ひそかにサボっている”5 つの身体機能
  2. その機能を安全に呼び戻すステップアップ式エクササイズ
この記事を読むと…
腰痛を「筋力不足」ではなく “身体機能の歯車ずれ” として捉え直す視点が身につき、今日からできるシンプルな動きで再発リスクを減らす方法が分かります。
注意:セルフケアのご利用にあたって
本記事はセルフケアの参考情報としてご活用ください。
強い痛みが突然現れた、痛みが急激に悪化した、脚のしびれ・力が入らない・排尿や排便の異常が起きた──このような場合は、迷わず速やかに医療機関を受診してください。すでに通院中の方は、必ず主治医の指示を最優先してください。

1. 腰痛で低下しやすい 5 つの機能

1-1 インナーユニット(深部体幹筋)の協調性

腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋の同調収縮タイミング遅延は、腰痛のある人でおおよそ 3〜5 倍高いと報告されています1)。腹横筋のタイミングを電気刺激で“学習”させた2022 年の厳密な比較研究では、1 年後の腰痛再発が 27 % から 9 % へと約 3 分の 1 に減りました2)

セルフチェック:仰向け・膝立てで軽く咳払いし、下腹部が内側へ 3-5 mm 凹むかを確認。

1-2 骨盤帯スタビリティ

仙腸関節は靭帯(フォームクロージャー)+筋張力(フォースクロージャー)の“二重ロック”構造。ハムストリングス・大殿筋・腹横筋・内腹斜筋・骨盤底筋の張力ベクトルが合致すると痛みが減少することを示す2024 年の大規模レビューがあります3)
トリビア:ハムストリングスが疲労すると仙腸関節の剪断安定性は平均 18 % 低下4)

1-3 呼吸パターンの乱れ

超音波での横隔膜厚比較では、慢性腰痛群は健常者より平均 0.8 mm 薄く5)、吸気挙上角度も 12° → 7° に減少。2023 年の厳密な比較試験では横隔膜呼吸を 4 週間指導するだけで痛みの自己評価が約 2 ポイント下がり、日常動作の困難度も 1 割ほど軽減しました6)

1-4 分節運動制御の欠如

分節運動とは? 背骨を上から下へ「波打つように」1 節ずつ動かすイメージです。逆に背骨が 1 枚板のように固まって動く状態をブロック運動と呼びます。
三次元モーション研究では、前屈時に L4-S1 の可動域が 21 % 減り、代わりに股関節屈曲が 14 % 増加することが報告されています7)

セルフチェック:壁に背を向け 10 cm 離れて立ち、背骨を 1 段ずつ離すように前屈。腰が一塊で動くなら要注意。

1-5 低閾値・動的安定性の欠如

多裂筋などの“深層筋”はカメラの手ブレ補正のように微調整を担います。MRI で萎縮が確認されたグループでは、最大筋力の約 3 割以下という軽い負荷で最も血流が増え、β-エンドルフィンが多く分泌されました8)

なぜ軽い荷物でギックリ腰? 重い物を持つときは全身を固めますが、軽作業では深層筋だけが頼り。ここがサボると一瞬で椎間板に負荷が集中しやすいのです。


2. エクササイズ設計の 3 原則

  1. 低閾値 → 高閾値へ
    まずは「360°腹圧呼吸」で腹圧を均等に保つ。
  2. 呼吸統合
    4 秒吸気+6 秒呼気で副交感神経を刺激し、痛覚過敏を鎮める。
  3. 分節 → 連動
    • 体幹安定(四つん這いドローイン・90-90 ヒップリフト)
    • 分節運動(スパインストレッチ=屈曲/ペルビックティルト=伸展/ローテーションスティック=回旋/サイドベンド・リーチ=側屈)
    • 連動エクササイズ(バードドッグ・ベアクロール・ハーフニーリングヘイロー)
    進行基準は「呼吸が止まらない」「翌日に痛みが増悪しない」の 2 点。

3. ステップアップ式エクササイズ

STEP 1:気づきと活性化(Awareness)

エクササイズ 主働筋 目安
四つん這いドローイン 腹横筋・多裂筋 10 秒保持 × 8
90-90 ヒップリフト ハムストリングス・腹横筋・内腹斜筋 5 呼吸 × 5

STEP 2:分節運動コントロール(Segment)

エクササイズ 主働筋 目安
ペルビックティルト 腹直筋・腸腰筋 前後 10 回 × 3
スパインストレッチ 脊柱起立筋(遠心)・腹斜筋 5 呼吸 × 5

STEP 3:動的安定 & 全身連動(Dynamic)

エクササイズ 主働筋 目安
デッドバグ 腹横筋・多裂筋 8 回 × 3
ベアクロール 腹横筋・広背筋・大殿筋 10 m × 3
ハーフニーリングヘイロー 中殿筋・腹斜筋 12 回 × 2

4. よくある質問(FAQ)

  • 腹筋を鍛えれば治りますか?
    表層腹筋の強さと痛みの改善は相関しません。まずは腹横筋や多裂筋のタイミング改善が先決です。
  • 片側だけ痛いのは骨盤の歪み?
    最新レビューでは骨盤左右差と腰痛の因果関係は薄いと結論。胸椎・股関節の可動性不足が原因のケースが多いです。
  • 呼吸エクササイズはいつ行う?
    起床直後と就寝前がおすすめ。日中は「4-7-8 呼吸法」でリセットし、その後に分節運動を行うと効果的です。

5. まとめ

  • 腰痛改善の鍵は筋力よりも“機能”。特にインナーユニット協調と分節コントロール。
  • 低閾値 → 分節 → 連動の順に段階を踏むと再発率が下がります。
  • 日常の小さな動き・呼吸の質が背骨の負担を左右します。
  • 痛みが強い場合や神経症状がある場合は医療機関での評価を最優先してください。

参考文献

  1. Hides JA, Stanton WR. Muscle timing of the transverse abdominis in individuals with chronic low back pain. Spine. 2021;46(2):E59-E66.
  2. Smith A, Patel R, Lee S, et al. Neuromuscular electrical stimulation retraining of the transverse abdominis reduces recurrence of low back pain: a randomized controlled trial. Spine. 2022;47(10):768-775.
  3. Jones T, Brown K. Effectiveness of force-closure interventions for sacroiliac joint pain: a systematic review and meta-analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2024;54(4):1-14.
  4. McGill SM. Hamstring fatigue decreases sacroiliac stability: a biomechanical investigation. Clinical Biomechanics. 2020;75:105012.
  5. Komeili A, Kingma I, van Dieën JH. Diaphragm thickness and excursion in individuals with chronic low back pain: an ultrasound study. Ultrasound Med Biol. 2019;45(6):1441-1449.
  6. Wang J, Li Z, Chen Y, et al. Four-week diaphragmatic breathing training reduces pain and disability in chronic low back pain: a controlled clinical trial. J Pain Res. 2023;16:1123-1132.
  7. Danneels L, Cagnie B, Van Wilgen P, et al. Altered lumbopelvic kinematics during forward bending in chronic low back pain: a three-dimensional motion analysis study. The Spine Journal. 2022;22(5):820-829.
  8. Macedo LG, Hodges PW, Stanton WR, et al. Low-load motor-control exercise increases multifidus activation and β-endorphin release in chronic low back pain. Eur Spine J. 2021;30(3):734-743.

はじめに

日本の国民生活基礎調査(2019)では、腰痛は男性で訴えの第1位、女性で第2位を占め、社会的コストは年間約3兆円にのぼると推定されています。
腰痛は多因性であり、エビデンスに基づく治療選択が欠かせません。本稿では「腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)」を中心に、2023年12月に公表されたWHO(世界保健機関:World Health Organization)慢性腰痛ガイドライン、および2020年改訂のNICE(英国国立医療技術評価機構:National Institute for Health and Care Excellence)ガイドライン(NG59)を横断的に参照しながら、物理療法と運動療法の効果と推奨度を整理します。

ガイドラインのエビデンス評価の見かた

エビデンスレベル(腰痛GL2019)
記号 意味
A 強い確信がある
B 中程度の確信がある
C 限定的な確信しかない
D ほとんど確信できない

 

推奨の強さ
数字 意味
1 行うことを強く推奨
2 行うことを弱く推奨(提案)
3 行わないことを弱く推奨(提案)
4 行わないことを強く推奨

 

ポイント: 推奨度は「益と害のバランス」を総合して決定されます。エビデンスが弱くても臨床上メリットが明らかなら「2」となる場合があり、逆に証拠があっても害が大きければ「3」や「4」になります。

物理療法(CQ3)

日本ガイドラインの結論

モダリティ 推奨度 エビデンス 適応の目安
牽引療法 2 C 急性・慢性とも症状軽減は限定的。長期効果は不明。
超音波治療 2 C 表在性筋膜性痛に短期的痛み軽減の報告あり。
TENS(経皮的電気神経刺激法
Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation)
2 C 使用中の鎮痛は期待できるが持続効果乏しい。
温熱療法
ホットパック・赤外線など
2 C 筋緊張型腰痛の一時的緩和に有用。
コルセット・腰椎サポート 2 C 急性期のADL(日常生活動作:Activities of Daily Living)確保に役立つが長期的機能改善は限定的。

国際ガイドラインとの比較

ガイドライン 牽引 TENS 等 装具類
WHO 2023 4(推奨しない) 4 4
NICE 2020 4 4 4(強く非推奨)

臨床ヒント:
・日本GLでは「選択肢として残る」が、WHO・NICEは非推奨。慢性腰痛では“受け身の物理療法”から“能動的アクティビティ”へ移行する国際潮流が明確です。
・温熱やTENSは「痛みの警戒シグナルを一時的に下げて運動を始めやすくする前処理」として位置付けると、エビデンスと臨床ニーズの折り合いが付きやすいでしょう。

運動療法(CQ4)

日本ガイドラインの結論

  • 慢性腰痛: 推奨度 1、エビデンス B ― 強く推奨
  • 急性・亜急性腰痛: 効果不明。過度な「腰痛体操」より通常生活維持が有益

推奨される運動のタイプ

  1. 有酸素運動(ウォーキング・バイク・スイミング)
  2. 体幹安定化トレーニング/モーターコントロール
    例:TA や多裂筋の再教育、ピラティス系
  3. レジスタンストレーニング(フリーウェイト・マシンを用いた全身筋力向上)
  4. マインドボディ系(ヨガ・太極拳)
  5. 水中運動(浮力により疼痛閾値を下げつつ全身運動)

国際ガイドラインとの比較

ガイドライン 推奨内容
WHO 2023 運動+CBT(認知行動療法:Cognitive Behavioral Therapy)を核とする学際的リハビリを推奨(条件付き)。特に中高強度の全身運動と心理教育の併用が有効。
NICE 2020 グループエクササイズ(バイオメカニカル・有酸素・マインドボディの組合せ)をConsider(提供検討)と提案。運動は患者の好みを尊重し継続性を最優先。

どの腰痛にどのアプローチが有効?

分類 急性(<4週) 亜急性(4週〜3ヶ月) 慢性(>3ヶ月)
物理療法 痛みが強くADL支障 → 温熱・TENS・装具を短期補助として可 エビデンス乏しい。痛みが落ち着き次第運動へ移行 推奨度低い。能動的治療へシフト
運動療法 強く推奨ではないが日常活動維持が第一選択 個別性・段階性をもった運動開始で慢性化リスク低減 最重要。多面的プログラム+心理教育を推奨(条件付き)
坐骨神経痛併発 痛みコントロール後に神経モビリティ+体幹強化 同左 同左+持久性向上プログラム

パーソナルトレーナー視点の実践ポイント

  • 受動的×短期/能動的×長期: 物理療法は“ブースター”、運動療法は“エンジン”。
  • エクササイズ選択は「続けられるか」が鍵: 有酸素か筋トレかよりも、患者が楽しめることが予後を分ける。
  • 心理教育をセットに: 痛み回避思考やカタストロフィーを軽減する説明は、運動と同等のエビデンスを持つ。
  • フェーズ管理: 炎症急性期は安全域確保 → 亜急性以降で可動性回復 → 慢性期で筋力・有酸素・耐久を強化。
  • 多職種連携: 医師によるred flag(危険兆候)排除と画像所見の共有、理学療法士・臨床心理士とのチームアップでガイドラインに沿った学際的アプローチを実現。

まとめ

・日本GLでは牽引・TENS・超音波・温熱・装具はすべて「推奨度2(弱く推奨)・エビデンスC」。主に急性期補助として限定的に使用。
運動療法は慢性腰痛で推奨度1(強く推奨)。国際的には運動+心理教育の組合せが第一選択だが、WHO は条件付きで推奨、NICE は “Consider” と表現。
・WHO・NICE は牽引や電気刺激、装具を基本的に強く非推奨し、能動的介入へ重きを置く。
・トレーナーは短期的痛みコントロール → 段階的運動介入 → 自立支援という流れを押さえ、個別最適化と継続性をデザインすることが鍵。

参考文献

  1. 日本整形外科学会・日本腰痛学会編. 腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版). 南江堂, 2019.
  2. World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. 2023.
  3. National Institute for Health and Care Excellence. Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management (NG59). Updated 2020.
  4. 上井浩. 腰痛診療ガイドライン2019の要旨と解説. 日大医誌. 2022;81(3):123-126.

この記事を書いた人

中森允崇|CONNECT御器所店トレーナー/JATI-ATI
 

「食事も運動も頑張っているのに、なかなか痩せない…」
そんな方に見直していただきたいのが【睡眠】です。

 

ダイエットというと、まず「食事制限」や「トレーニング」を思い浮かべがちですが、
実は《睡眠の時間と質》も体重管理に大きな影響を与えることが、近年の研究で明らかになっています。

 

今回は、科学的なエビデンスに基づいて
睡眠とダイエットの関係を、パーソナルトレーナーの視点から解説していきます。

 

 

睡眠時間とダイエット

睡眠不足が続くと、体内のホルモンバランスが乱れ、
特に「食欲」をコントロールするホルモンに影響を与えます。

 

🔸 グレリン(空腹ホルモン)
睡眠不足により増加し、食欲を強く感じやすくなります。

🔸 レプチン(満腹ホルモン)
睡眠不足により減少し、満腹感を得にくくなります。

 

この結果、睡眠時間が4時間程度に制限されると、
なんと1日あたり300〜500kcalも多く摂取してしまうという研究報告もあります(Spiegelら, 2004)。

 

さらに、脳の報酬系が過剰に働くことで
「ジャンクフード」「甘い物」など、欲求が高まりやすくなるのも特徴です。

 

▶️ トレーナーからのポイント
空腹感が強いからといって「意思が弱い」と決めつけないことが大切。
睡眠の乱れが根本原因かもしれません。

 


 

睡眠の質とダイエット

〜代謝・血糖調整・運動パフォーマンスへの影響〜

 

睡眠の「長さ」だけでなく、「質」も非常に重要です。
特に【ノンレム睡眠(深い睡眠)】は代謝と回復のカギを握ります。

 

🔹 成長ホルモンの分泌
深い睡眠中に分泌され、脂肪分解や筋肉修復を促進します。

🔹 インスリン感受性の向上
質の高い睡眠により、血糖調整がスムーズになり、脂肪蓄積を防ぎやすくなります。

🔹 交感神経の沈静化
リラックス状態が作られ、代謝が整いやすくなります。

 

一方で、睡眠の質が悪いと
・運動の意欲が低下
・疲労感が取れない
・間食が増える
など、ダイエットにとってマイナスな影響が現れやすくなります。

 

▶️ トレーナーからのポイント
「寝てるのに疲れが取れない」「やる気が出ない」という方は、
まずは睡眠の【質】を見直してみましょう。

 


 

睡眠の質を高める方法

〜生活習慣の見直しで自然に改善〜

 

薬に頼らず、生活習慣や環境を整えるだけでも
睡眠の質は大きく変わります。

 

① 朝の光と体内時計のリセット

・朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
・日中はなるべく自然光のある場所で過ごす

☀️ 朝の光は、夜のメラトニン(眠気ホルモン)の正常な分泌をサポートします。

 

② 就寝前のルーティンを作る

・寝る1時間前からスマホやPCをオフ
・軽いストレッチや深呼吸を習慣化
・毎日同じ時間に寝る・起きることを意識

📱 ブルーライトはメラトニンの分泌を抑え、寝つきを悪くする原因に。

 

③ カフェイン・アルコールに注意

・カフェインは午後以降は控える(効果は4〜6時間続きます)
・アルコールは一時的な眠気を誘っても、睡眠の質を下げてしまいます
・睡眠に良い栄養素を含む食品(バナナ、納豆、ナッツ類など)を適度に摂るのもおすすめです

 

▶️ トレーナーからのポイント
まずは「環境と習慣」を整えることが大前提。
サプリメントなどを使用する際は、医師・薬剤師など専門家と連携をとりましょう。

 


 

まとめ

〜ダイエット成功のカギは「睡眠」にあり〜

 

ダイエットの基本は、
「栄養」「運動」そして「睡眠」の三本柱です。

 

睡眠を見直すことで、

✅ 食欲のコントロール
✅ 脂肪燃焼の効率化
✅ 運動のパフォーマンス向上

など、全体のバランスが劇的に改善されます。

 

「最近痩せにくいな」「疲れが取れないな」
そんな方は、ぜひ一度“眠り”にも目を向けてみてくださいね!

 


 

参考文献

  1. Spiegel K, et al. (2004). Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite. Ann Intern Med, 141(11), 846–850.

  2. Nedeltcheva AV, et al. (2009). Sleep curtailment is accompanied by increased intake of calories from snacks. Am J Clin Nutr, 89(1), 126–133.

  3. Tasali E, et al. (2008). Slow-wave sleep and the risk of type 2 diabetes in humans. PNAS, 105(3), 1044–1049.

  4. Khalsa SB, et al. (2003). A phase response curve to single bright light pulses in human subjects. J Physiol, 549(Pt 3), 945–952.

 

現代のストレスや不規則な生活習慣の中で、睡眠の質の低下と腸内環境の乱れは大きな健康課題となっています。近年、これらは密接な相互作用を持つことが示唆され、腸脳相関(gut–brain axis)の視点から多くの最新研究が発表されています。本記事では、最新のエビデンスに基づいた論文を引用しながら、腸内細菌叢と睡眠の質の関係について詳しく解説します。


1. 腸脳相関とそのメカニズム

腸脳相関とは?

腸脳相関は、腸内細菌が生成する代謝物や神経伝達物質が脳の機能に影響を及ぼす仕組みで、近年のレビューではその複雑なネットワークが改めて注目されています。

  • 参考論文:

    • Cryan et al. (2019)【参考文献①】は、腸内細菌と脳の双方向性コミュニケーションについて最新の知見をまとめ、腸脳相関のメカニズムを詳細に解説しています。

神経伝達物質と短鎖脂肪酸(SCFA)の役割

腸内細菌は、セロトニンやGABAなどの神経伝達物質の前駆体や、エネルギー代謝や抗炎症作用を持つ短鎖脂肪酸(SCFA)を産生します。

  • セロトニン・GABA:
    腸内で生成されるセロトニンは、腸の運動や分泌に加え、脳内での気分や睡眠調節に影響を与える可能性があります。

  • SCFAの影響:
    Dalile et al. (2019)【参考文献②】は、SCFAが腸–脳間のシグナル伝達にどのように関与しているかを解説しており、その抗炎症作用や神経機能への間接的な影響が示されています。

炎症反応と免疫系の関与

腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)は、炎症性サイトカインの増加をもたらし、これが睡眠の質低下に寄与する可能性があります。

  • 参考論文:

    • Irwin (2019)【参考文献③】は、睡眠と炎症の相互作用を最新の視点から解説し、慢性炎症が睡眠障害にどのように関与するかを示しています。


2. 双方向の影響:腸内細菌と睡眠の相互作用

腸内細菌が睡眠に与える影響

最新の臨床研究では、特定のプロバイオティクスが腸内環境を整えることで、睡眠の質の改善に寄与する可能性が示されています。

  • 代謝産物の効果:
    腸内細菌が産生する物質が中枢神経系に働きかけ、睡眠サイクルの調整に寄与するメカニズムが明らかになりつつあります。

  • 参考論文:

    • Smith et al. (2020)【参考文献④】では、ランダム化比較試験によりプロバイオティクス投与が不眠症患者の睡眠の質向上に有意な効果を示す結果が報告されています。

睡眠が腸内細菌叢に与える影響

また、睡眠不足や不規則な睡眠リズム自体が、腸内細菌の多様性や構成に影響を与えることが明らかになっています。

  • 睡眠の乱れと腸内環境:
    睡眠の質の低下は、腸内細菌叢のバランスを崩し、免疫機能や消化機能にも悪影響を及ぼすと考えられます。

  • 参考論文:

    • Benedict et al. (2019)【参考文献⑤】は、睡眠剥奪が腸内細菌叢の多様性や構成に及ぼす影響を検討し、双方向の関係性を支持するデータを提供しています。


3. 研究の現状と今後の課題

エビデンスの現状

これまでの基礎研究および臨床研究は、腸内細菌叢と睡眠の質に密接な関連があることを示唆していますが、依然として因果関係の解明や介入法の確立には課題が残されています。

  • 今後の課題:

    • 大規模かつ長期的な臨床試験の実施

    • 個々の腸内細菌叢の状態に応じた個別化医療の検討

    • 具体的なメカニズムのさらなる解明

未来への展望

最新の研究成果を踏まえると、腸内細菌叢の改善が睡眠の質向上に寄与する可能性は大いに期待されます。個別の腸内環境に合わせたプロバイオティクス・プレバイオティクスの最適化は、将来的な睡眠障害の新たな治療戦略として注目されるでしょう。


まとめ

最新のエビデンスから、腸内細菌叢と睡眠の質は以下のような双方向の相互作用が示唆されています。

  • 腸内細菌が産生する代謝物や神経伝達物質が、脳の機能や睡眠サイクルに影響を与える【参考文献①、②】

  • 炎症性サイトカインの増加が睡眠の質低下に寄与する【参考文献③】

  • プロバイオティクスによる介入が睡眠改善に寄与する可能性と、睡眠の乱れが腸内細菌叢に及ぼす影響【参考文献④、⑤】

今後のさらなる研究により、腸内環境の改善がどのように睡眠の質向上に具体的な影響を与えるのか、より明確なエビデンスが蓄積されることが期待されます。


参考文献

【参考文献①】
Cryan, J.F., O'Riordan, K.J., Cowan, C.S., et al. (2019). The microbiota-gut-brain axis. Physiological Reviews, 99(4), 1877-2013.

【参考文献②】
Dalile, B., Van Oudenhove, L., Vervliet, B., & Verbeke, K. (2019). The role of short-chain fatty acids in microbiota–gut–brain communication. Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology, 16(8), 461-478.

【参考文献③】
Irwin, M.R. (2019). Sleep and inflammation: partners in sickness and in health. Nature Reviews Immunology, 19(11), 702-715.

【参考文献④】
Smith, A.B., Johnson, K.L., & Lee, H.Y. (2020). Probiotic supplementation improves sleep quality in insomniacs: A randomized controlled trial. Sleep Medicine, 70, 100-105.

【参考文献⑤】
Benedict, C., Stilling, R.M., Moloney, G.M., et al. (2019). Sleep deprivation alters gut microbiota composition. Brain, Behavior, and Immunity, 81, 1-8.

自分なりに食事を減らして ダイエット を
してみたけどダメでパーソナルトレーニングに
来ましたという方は少なくありません!

最初にカウンセリングで現状を聞いていくのですが
そういう方には共通点があります。
それは
「あまり食べてないんです...。」という言葉です!
しかしカウンセリングを進めていくと
「んー、食べてますね!」となります。

今回はダイエットでよくある間違いに
ついて書いていきます!

食べ過ぎをどこで判断しているか?

それはやはり「カロリー」です!
ダイエットの基本は
摂取カロリー<消費カロリーなので
カロリーで食べ過ぎかを判断しています!

しかしダイエット初心者の方の食べ過ぎは
単純な量で判断します!
量が少なくてもカロリーが高いものを食べれば
オーバーカロリーになります!
例えば
スターバックスで
・クッキー&クリームドーナツ
・フラペチーノ
を食べたとします。
ドーナツ1つと飲み物1つなので量としては少ないですよね!

しかしカロリーに変換すると
・クッキー&クリームドーナツ 438kcal
・フラペチーノ 322kcal
合計 760kcal になります!
食べた量とカロリーではこれだけ
ギャップが出てきます!

1食でこのカロリーなので3食同じぐらい取れば
2000kcalを超え体重を落としていくことは
できません!
食べた量が多い少ないという主観的なものより
カロリーという客観的な数値を基準にすることで
ダイエットが失敗するということはほとんど
なくなります。

最初はカロリーを計算することは
めんどくさいですが、慣れてこれば頭の中である
程度のカロリーを予測できるようになり
外食で食事を選ぶのがかなり楽になります!

今はアプリで簡単に計算できますので
是非取り入れてみてください!