1985年に発売を開始した「悪魔VS天使シール」。
その悪魔VS天使シールの1弾から19弾前半までの物語を「次界編」といいます。
次界(じかい)編は、1989年まで展開されます。
この次界編は、ビックリマン悪魔VS天使シリーズで、一番最初に展開された物語です。
次界編のストーリーは、コロコロコミックの特集記事などで丁寧にフォローされていたため、
比較的、ストーリーの輪郭がはっきりしていると言えます。
そんな中、1987年に、次界編を原作としたアニメ「ビックリマン」が放送開始します。
アニメは、シールとは多少異なるストーリーが展開されました。
1989年に次界編が終了し、次界編の続編である「マルコ編」が始まります。
マルコ編は、悪魔VS天使シールの19弾後半から25弾までの物語で、
1990年まで展開されます。
マルコ編のストーリーは、次界編に比べると、曖昧な部分が多いです。
マルコ編開始と同時に、マルコ編を原作としたアニメ「新ビックリマン」が放送開始します。
「新ビックリマン」は、アニメ「ビックリマン」の続きとして描かれ、
シールとは、かなり異なるストーリーが展開されました。
1990年に、マルコ編は未完のまま終了しますが、
「新ビックリマン」は、アニメオリジナルのラストを迎え、終了しました。
次界編からマルコ編に至るストーリーは、
「シール版ストーリー」と「アニメ版ストーリー」があると言えます。
悪魔VS天使シールのストーリーは、マルコ編以降も続きますが、
アニメは、マルコ編にあたる「新ビックリマン」で「完結」します。
つまり、「シール版ストーリー」には続きがあるのに、「アニメ版ストーリー」には続きがありません。
1990年に、マルコ編が終了し、26弾から31弾の物語である「パンゲ編」が始まります。
パンゲ編は、マルコ編の続編というよりは、
マルコ編と同じ時代に、マルコ編とは別の舞台で展開されるストーリーです。
マルコ編と同時進行と言えます。
パンゲ編は、シール以外にほとんどフォローがないため、
ストーリーを理解するには、シールを読み解くしかありません。
パンゲ編が展開されていた中、1991年に「スーパービックリマン」が発売開始します。
スーパービックリマンは、悪魔VS天使シールとは別のシリーズとして発売されました。
スーパービックリマンは、1弾から10弾まであるのですが、
3弾までは、次界編のキャラをSFっぽくリメイクしただけで、
特にストーリーはありませんでした。
ところが、4弾あたりから、ストーリーが描かれるようになりました。
スーパービックリマンは、漫画、アニメと、独自にメディアミックス展開し、
そうしたメディアミックスの影響を受けながら、シールは展開していきました。
そんな中で、パンゲ編(マルコ編)の遥か未来のストーリーなのではないか、
という説が出てきました。
1991年に、パンゲ編が未完のまま終了します。
そして、1993年に、スーパービックリマンも終了します。
スーパービックリマンも、シール、漫画、アニメとそれぞれストーリーが異なります。
「シール版ストーリー」と「漫画版ストーリー」と「アニメ版ストーリー」があると言えます。
シールと漫画は未完のまま打ち切られましたが、アニメだけは「完結」しました。
ちなみに、この時点では、アニメ版スーパービックリマンは、
次界編アニメ「ビックリマン」と、マルコ編アニメ「新ビックリマン」とのつながりはありません。
スーパービックリマンが終了し、
しばらく、ビックリマン悪魔VS天使シリーズの動きが止まります。
そして、1999年に「ビックリマン2000」が発売開始します。
ビックリマン2000は、これまでの悪魔VS天使シリーズと違い、
シールとアニメが連動して、展開しました。
ビックリマン2000は、アニメが公式ストーリーとなっています。
ビックリマン2000は、次界編からマルコ編に至るストーリーの内の、
「アニメ版ストーリー」を引き継いでいます。
簡単に言えば、ビックリマン2000は、
マルコ編アニメ「新ビックリマン」の未来の物語であると言うことです。
ビックリマン2000のアニメは、1弾から5弾途中までの「次界卵編」と、
5弾途中から7弾途中までの「凶悪魔編」が放送されました。
ビックリマン2000の登場によって、悪魔VS天使シリーズは、
「シール世界」と「アニメ世界」の二つが、パラレルワールドのように
存在しているということが、はっきりしました。
ビックリマン2000が始まり、アニメ世界の歴史が動きました。
では、悪魔VS天使シール「パンゲ編」以来動きのない、シール世界はどうでしょうか?
ビックリマン2000展開中、2000年の終わり頃、「超元祖ビックリマン31弾完全編」が発売。
さらに翌年、2001年に「超元祖ビックリマン32弾」が発売されました。
この「超元祖」は、シールの「マルコ編」「パンゲ編」の続編であり、シール世界の物語です。
ここで、シール世界の歴史も動きました。
まさに、「シール世界」と「アニメ世界」が同時進行という様相です。
さて、ビックリマン2000のアニメは、7弾途中で終了し、
それ以降の物語である「集中豪無編」は、小説という形で描かれました。
この「集中豪無編」で、ビックリマン2000の世界は、
アニメ版スーパービックリマンの未来の世界であることが、明らかになりました。
集中豪無編が始まるまでは、マルコ編アニメ「新ビックリマン」の未来と思われていました。
そうではなかったのです。
ここにきて、アニメ版スーパービックリマンが、「アニメ世界」の一員になりました。
それは同時に、アニメ版スーパービックリマンが、
次界編アニメ「ビックリマン」と、マルコ編アニメ「新ビックリマン」とつながったことになります。
つまり、「アニメ世界」は、
「ビックリマン」→「新ビックリマン」→「アニメ版スーパービックリマン」→「ビックリマン2000」
ということです。
しかし、事はそれほど単純ではありません。
「集中豪無編」が明らかにしたことは、これだけではありません。
それは、「シール世界」、「アニメ世界」にとどまらず、
例えば、「次界編」と「マルコ編」の漫画、シールのスーパービックリマン、
漫画版スーパービックリマン、「ビックリマン2000」の漫画など、
その他、様々なメディアで描かれた、異なるストーリーの、あらゆる世界が、
パラレルワールドのように、並行して存在するということです。
悪魔VS天使シリーズには、並行宇宙がいくつも存在するのです。
「ビックリマン2000」は、「アニメ世界」を引き継いでいるのですが、
こうなってくると、全てを「引き継いでいる」ように思えてきます。
「アニメ世界」のビックリマン2000と、「シール世界」の超元祖ビックリマンが並行して存在する。
ということは、「シール世界」のビックリマン2000があってもおかしくないと思います。
2002年、様々なことを明らかにした集中豪無編が終了し、
12弾をもって、ビックリマン2000は幕を閉じました。
僕は、並行して存在する世界、一つひとつの中でも、
ストーリーが分岐しているような気がしています。
例えば、超元祖ビックリマンにおいて、世界が二つの次元に分かれました。
マルコ編までの舞台が「旧次元」、パンゲ編の舞台が「新次元」となりました。
これは、パラレルワールドが一つ生まれたと言えるかも知れません。
旧次元の未来が、シールのスーパービックリマンなのかも知れません。
アニメ版スーパービックリマンが、ビックリマン2000に続いていくのは、はっきりと分かります。
しかし、新ビックリマンと、アニメ版スーパービックリマンの、
ストーリー的なつながりは、はっきりしません。
新ビックリマンとアニメ版スーパービックリマンの間で、世界の分岐が起きている可能性もあります。
2006年に、「ひかり伝シリーズ」が発売開始します。
ひかり伝は、悪魔VS天使シリーズの過去(超古代)を描いたシリーズ。
「シール世界」の次界編よりも以前の物語です。
しかし、ひかり伝シリーズが与えた影響は、「シール世界」だけにとどまらないような気がします。
ひかり伝シリーズは、悪魔VS天使シリーズの、あらゆる世界の過去かも知れません。
ひかり伝2弾の「ひかり伝Ⅱ」と、ひかり伝3弾の「ひかり伝Ⅲ」を
原作としたアニメ「ハビラキ!ビックリマン」も放送されました。
「ハビラキ!ビックリマン」は、「アニメ世界」の過去です。
この「ハビラキ!ビックリマン」によって、
次界編アニメ「ビックリマン」のストーリーが、一部、書き換えられました。
ここでも、パラレルワールドが一つ生まれました。
2009年、ひかり伝7弾の「ルーツ伝」が発売し、ひかり伝シリーズは終了しました。
ひかり伝シリーズは、これまで次界編、マルコ編、パンゲ編で語られてきたストーリーを
覆すような設定が、たくさん出てきました。
ひかり伝シリーズが、いくつものパラレルワールドを生み出した気がしてなりません。
2010年に「聖核伝」、2012年に「聖魔化生伝」、2013年に「武層動伝」が発売されました。
これらは、ひかり伝シリーズと次界編の間の時代の物語だと思われますが、
実際、どの時代なのか、はっきりと分かりません。
※聖核伝、聖魔化生伝、武層動伝は、ひかり伝シリーズの一つとされる場合もありますが、
この三つは、ひかり伝シリーズではないというのが、僕の認識です。
そして、超元祖ビックリマン32弾の続編、
「悪魔VS天使シール・33弾」が2018年に、
「悪魔VS天使シール・34弾」が2019年に、発売されました。
この33弾と34弾は、「シール世界」の「新次元」を舞台とした物語です。
ビックリマン悪魔VS天使シリーズは、ストーリーが展開されていく中で、
いくつものパラレルワールドが誕生したと思います。
しかも、ビックリマン悪魔VS天使シリーズには、過去と未来を行き来できるような、
時間を超越したエリアが登場します。
もう、「無限に」と言ってもいいぐらい、パラレルワールドが増え続けているかも知れません。
こういう、複雑さ、ややこしさは、それぞれのシリーズの展開の仕方や、
発売されるタイミングとかの、産物だと思います。
この、複雑さ、ややこしさが、ビックリマン悪魔VS天使シリーズの
良いところかも知れませんし、悪いところかも知れません。
でも僕は、なんというか、「意図せずこうなった」感じが好きですし、
こういうことを、あれこれ考えるのが楽しいです。
場合によっては、もうちょっと何とかしてくれよ、と思う時も、もちろんあります。
これからも、パラレルワールドが増え続けていくのでしょうか?
増え続けていくでしょう。