永遠の0を観た。
原作に込められた思いだけは守って欲しいと願っていたので、正直こわかった。
だけど期待以上に伝わってくるものがあった。
宮部久蔵を岡田准一が演じたことは、紛れもないキャスティングの成功を意味している。
単に技術だけではない、原作や太平洋戦争や制作側の情熱も一緒に魂を込めて演じているのが伝わる。
生きたいと願い、口にすることなど軍人の恥とされていた時代。
それは同時に死ぬことを常に否が応でも考える時代。
死を思って、生を考えるのは、現代なら終活などという言葉で前向きな選択肢として捉えられる。
ても69年前の日本では、一人ひとりが自由に決められることではなかった。
お国の為に死ぬことは美徳であった。
そんな時代に、生き抜くことを貫こうともがいた人がいる。
宮部久蔵は実在しないけれど、あの戦争のさなか、似た考えの人はいたはず。
今の日本人に原作も読むべきだと言いたいし、映画も観て欲しい。
なぜか?
なんだか分からないうちに始まるのが戦争で、どうして起きるのか知っておかないと無意識に加担してしまうからだ。
二度と起こしてはいけない。
強く心に刻みつけながら。
最後に青空をバックに桑田さんの声が歌う。
生まれ変われたなら 恋もすることでしょう
戦後日本の復興に、必ずや必要となったはずの若者たちへ向けて、鎮魂の祈りを。