Blue wing -3ページ目

#Reunion ~The color of friendship ~

「や~い! おとこ女! 今日も仲良くデートかよ!」


「なんだと!? 待て!! このチビ!!!」


「まぁまぁ、落ち着いてゆーちゃん!」



それはまだ私が魔法学園に入学して数年もたたない頃だった。


ずっと小さい時からずっと一緒にいた由憂[Yu]といつもの帰り道を歩いていると、

同じクラスの男子達にちょっかいを出された。



「ほんとに男の子って嫌だ!」


「まぁまぁまぁ、」


「毎日毎日なんでこんなにお子様なの!!」


「わたしは毎日にぎやかでいいと思うけどなぁ」


「りおは優しすぎるんだよ!」



少し口が悪いけど、元気で明るい由憂ちゃんと私は大親友だった。


けれど、それは私たちが魔法学園幼稚部から初等部になった直後、

彼女は私のとなりからいなくなった。



「りおって杖なしで魔法が使えるんだって~!」


「えー! 怖ーい!」


「いつ何されるか分からないんだぜ?」



私はクラスからのけ者にされ、怖がられた。


でも…由憂ちゃんだけは、

今までと同じようにそばにいてくれるって信じてたのに……。



「ゆーちゃん! 今日も一緒に帰るよね!」



無視された、私の言葉。


何か悪いことでもしてしまったのかと、悩んだけれど。

もう1度、彼女が私の呼びかけに答えることはなかった…。
















「それじゃあね! 春紀くん!」


「おう! また明日な!」



香緒里と純の通う大学の受験に向け、

私と春紀くんは図書館で勉強をしていた。




あのクリスマスの後、私は両親に許しをもらい、

これからはずっと人間界で暮らすことにした。



あの夏。春紀くんと別れ魔界に帰った時、

いつまでも泣いていた私を支えてくれたのは両親だった。


今でも素直になるのは難しいけれど、

前とは違う、何か柔らかな雰囲気が家族にある。



「あれ、新しくお店できてる。」



その可愛らしいお店に入ってみると、

中は若い女の子でにぎわっていた。



「わ~! 可愛い!!」



思わず手に取った、アヒルのストラップ。

そのとなりには…



「ん?? なんだろうこれ…」


「砂時計だよ。知らないの?」


「え? 砂時計って言うのか…」


「こうやってひっくり返して、砂が落ちるので時間が測れるんだよ。」


「ほ~! ありがとう!」


「どういたしまして、」



そう言うと教えてくれた女の子は、

もう1人の女の子に呼ばれ行ってしまう。


あの子…誰かに似てるような…


「見て見て~! このピアス超可愛くない?」


「ほんとだ! いいね似合うと思うよ~!」


「由憂は? 何か買った?」


「私? 私はね~」




「由憂? ……はっ!! 待って! 待って待って! 由憂ちゃん!!!」


「え??」



それは私と由憂ちゃんの、

4年ぶりの再会だった。




「久しぶりだね。」


「そうだね。」


「えっえっと…元気だった?」


「うん。」


なかなか続かない会話に私はうつむき、

公園のベンチで、

由憂ちゃんは空を見上げていた。



「全然変わってないね、里桜は。」

「え?」



複雑な気持ちだった。

由憂ちゃんの目に、昔の私はどう映っていたか分からないから…。



「優しくて、女の子らしくて可愛いの。」


「それは…由憂ちゃんだって変わってないよ!」


「私は変わっちゃったよ…。というか頑張って変わったの。

 ちょっとでも女の子らしくなろうって。」


「そこは変わったけど…笑顔は昔と変わってなかった!」


「あ…ありがとう。」


「うん…」



しばらく2人とも黙っていた。


気まずい…何を話せばいいんだろう…



沈黙に困り果てた私に、

冷たい冬の、桜の花びらが舞い降りた。



「あれ…?」


「雪だ!!」


「…覚えてる? 昔、里桜が私を助けてくれたこと。」


「え? 私が?」


「そうだよ。ちょうどこんな雪の降る日だった。」


「雪の…降る日…」



なかなか思い出せず考え込んでいると、

由憂ちゃんが笑顔で話し始めた。



「私が男の子にからかわれて、泣いちゃったとき……」

















「どうしたのゆーちゃん?」


「あいつらがっわたしのことっ…一生恋人できないって…・おとこ女っだからっ」



泣きじゃくる由憂ちゃんが指差す方向には、

こっちを向いて笑っている男子達がいた。



「アッハハハ! おとこ女のくせに泣いてるぜ!!」


「うえーーーん!!!」


「泣き虫だー! 泣き虫おとこ女ー!!」




『ドサッ!』




「冷てぇ!?」



突然顔に当たった雪玉に、

男の子は目を丸くして驚いていた。



「ゆーちゃんにあやまって!!!!」


「えっりおっ??」



大声を出した私に、

由憂ちゃんまでもが驚き泣くのをぴたりとやめた。



「なっなんだよ! 急に!」


「いくら好きだからって、泣かせちゃだめでしょ!!!」


「は!? すっ好きじゃねえよ!!! そんなやつ!!」



そう言って逃げようとした男子達を、

私は追いかけ腕を掴んで言った。



「あやまって!!! ゆーちゃんにあやまるまではなさないもん!!」


「りお……」





















「びっくりしたよ。あの優しい里桜が急に怒鳴ったりしたから。」


「あぁ、あの時は…私どうしても許せなくって、

 でも最終的には私も男の子達も泣いちゃって大変だったよね…」


「そうそう。でもそれからあんまりからかってこなくなったよね。」


「うん…。」



それはまだ私と由憂ちゃんがずっと一緒にいた頃のこと。

とても懐かしい。


あの日と同じ雪の中、

2人は一緒にいるのに…もうあの頃とは違う。


大人になった…私たち…。



「ありがとね。」


「え?」


「あの時は。それと…」


「うん?」


「……ごめん。」



降り続ける雪は、

2人の空いてしまった空白の時を埋めていくようだった。



「私、里桜のこと大好きだったのに…弱くて…裏切ったりしてごめん…」


「いいの…今その言葉が聞けて、嬉しいから…

 良かった。嫌われちゃったのかと思って…」



2人の頬には、

暖かい一筋の涙がこぼれていた…。








それは、




私の持つ、闇が、悲しみが…



2人の、懐かしい友情に変わった時だった。