#Reunion ~The color of friendship ~
「や~い! おとこ女! 今日も仲良くデートかよ!」
「なんだと!? 待て!! このチビ!!!」
「まぁまぁ、落ち着いてゆーちゃん!」
それはまだ私が魔法学園に入学して数年もたたない頃だった。
ずっと小さい時からずっと一緒にいた由憂[Yu]といつもの帰り道を歩いていると、
同じクラスの男子達にちょっかいを出された。
「ほんとに男の子って嫌だ!」
「まぁまぁまぁ、」
「毎日毎日なんでこんなにお子様なの!!」
「わたしは毎日にぎやかでいいと思うけどなぁ」
「りおは優しすぎるんだよ!」
少し口が悪いけど、元気で明るい由憂ちゃんと私は大親友だった。
けれど、それは私たちが魔法学園幼稚部から初等部になった直後、
彼女は私のとなりからいなくなった。
「りおって杖なしで魔法が使えるんだって~!」
「えー! 怖ーい!」
「いつ何されるか分からないんだぜ?」
私はクラスからのけ者にされ、怖がられた。
でも…由憂ちゃんだけは、
今までと同じようにそばにいてくれるって信じてたのに……。
「ゆーちゃん! 今日も一緒に帰るよね!」
無視された、私の言葉。
何か悪いことでもしてしまったのかと、悩んだけれど。
もう1度、彼女が私の呼びかけに答えることはなかった…。
「それじゃあね! 春紀くん!」
「おう! また明日な!」
香緒里と純の通う大学の受験に向け、
私と春紀くんは図書館で勉強をしていた。
あのクリスマスの後、私は両親に許しをもらい、
これからはずっと人間界で暮らすことにした。
あの夏。春紀くんと別れ魔界に帰った時、
いつまでも泣いていた私を支えてくれたのは両親だった。
今でも素直になるのは難しいけれど、
前とは違う、何か柔らかな雰囲気が家族にある。
「あれ、新しくお店できてる。」
その可愛らしいお店に入ってみると、
中は若い女の子でにぎわっていた。
「わ~! 可愛い!!」
思わず手に取った、アヒルのストラップ。
そのとなりには…
「ん?? なんだろうこれ…」
「砂時計だよ。知らないの?」
「え? 砂時計って言うのか…」
「こうやってひっくり返して、砂が落ちるので時間が測れるんだよ。」
「ほ~! ありがとう!」
「どういたしまして、」
そう言うと教えてくれた女の子は、
もう1人の女の子に呼ばれ行ってしまう。
あの子…誰かに似てるような…
「見て見て~! このピアス超可愛くない?」
「ほんとだ! いいね似合うと思うよ~!」
「由憂は? 何か買った?」
「私? 私はね~」
「由憂? ……はっ!! 待って! 待って待って! 由憂ちゃん!!!」
「え??」
それは私と由憂ちゃんの、
4年ぶりの再会だった。
「久しぶりだね。」
「そうだね。」
「えっえっと…元気だった?」
「うん。」
なかなか続かない会話に私はうつむき、
公園のベンチで、
由憂ちゃんは空を見上げていた。
「全然変わってないね、里桜は。」
「え?」
複雑な気持ちだった。
由憂ちゃんの目に、昔の私はどう映っていたか分からないから…。
「優しくて、女の子らしくて可愛いの。」
「それは…由憂ちゃんだって変わってないよ!」
「私は変わっちゃったよ…。というか頑張って変わったの。
ちょっとでも女の子らしくなろうって。」
「そこは変わったけど…笑顔は昔と変わってなかった!」
「あ…ありがとう。」
「うん…」
しばらく2人とも黙っていた。
気まずい…何を話せばいいんだろう…
沈黙に困り果てた私に、
冷たい冬の、桜の花びらが舞い降りた。
「あれ…?」
「雪だ!!」
「…覚えてる? 昔、里桜が私を助けてくれたこと。」
「え? 私が?」
「そうだよ。ちょうどこんな雪の降る日だった。」
「雪の…降る日…」
なかなか思い出せず考え込んでいると、
由憂ちゃんが笑顔で話し始めた。
「私が男の子にからかわれて、泣いちゃったとき……」
「どうしたのゆーちゃん?」
「あいつらがっわたしのことっ…一生恋人できないって…・おとこ女っだからっ」
泣きじゃくる由憂ちゃんが指差す方向には、
こっちを向いて笑っている男子達がいた。
「アッハハハ! おとこ女のくせに泣いてるぜ!!」
「うえーーーん!!!」
「泣き虫だー! 泣き虫おとこ女ー!!」
『ドサッ!』
「冷てぇ!?」
突然顔に当たった雪玉に、
男の子は目を丸くして驚いていた。
「ゆーちゃんにあやまって!!!!」
「えっりおっ??」
大声を出した私に、
由憂ちゃんまでもが驚き泣くのをぴたりとやめた。
「なっなんだよ! 急に!」
「いくら好きだからって、泣かせちゃだめでしょ!!!」
「は!? すっ好きじゃねえよ!!! そんなやつ!!」
そう言って逃げようとした男子達を、
私は追いかけ腕を掴んで言った。
「あやまって!!! ゆーちゃんにあやまるまではなさないもん!!」
「りお……」
「びっくりしたよ。あの優しい里桜が急に怒鳴ったりしたから。」
「あぁ、あの時は…私どうしても許せなくって、
でも最終的には私も男の子達も泣いちゃって大変だったよね…」
「そうそう。でもそれからあんまりからかってこなくなったよね。」
「うん…。」
それはまだ私と由憂ちゃんがずっと一緒にいた頃のこと。
とても懐かしい。
あの日と同じ雪の中、
2人は一緒にいるのに…もうあの頃とは違う。
大人になった…私たち…。
「ありがとね。」
「え?」
「あの時は。それと…」
「うん?」
「……ごめん。」
降り続ける雪は、
2人の空いてしまった空白の時を埋めていくようだった。
「私、里桜のこと大好きだったのに…弱くて…裏切ったりしてごめん…」
「いいの…今その言葉が聞けて、嬉しいから…
良かった。嫌われちゃったのかと思って…」
2人の頬には、
暖かい一筋の涙がこぼれていた…。
それは、
私の持つ、闇が、悲しみが…
2人の、懐かしい友情に変わった時だった。