『愛』という名は、風俗嬢になって初めての名前だ。
愛されたいだとか愛が欲しいだとか、残念ながらそんな意味も特にない。



初めての裸の仕事はデリバリーヘルスだった。
それまでにおじさん達に買われたことは幾度となくあるが、仕事としては初めてである。
当時は運転免許を持たなかったため、ありがたいことに面接と講習は送迎付きだった。


面接を終え、そのまま講習に入る。
ひと通りの説明を受け、自宅に戻る軽自動車の中で源氏名は何にするか問われる。後部座席でぼんやりと外を眺めていた私は、たまたま通りかかった『愛』という名の小料理屋の看板が目に入った。


「…あぁ。愛でいいです。」


外を眺めながら私は力無く答えた。
『愛』という名の風俗嬢の誕生だった。