ぶるーす33 HELP THE POOR!

一息入れて、お茶でも飲んで。




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飛行機に乗っていた。

プロペラエンジン四基の小さい飛行機。

恐らく国内移動のつもりだったのだろう。

搭乗して窓側の席につく。

乗客は定員を二割ほど下回るほどしかいない。

エンジンが唸り機体が滑走路に向かって動き始めた。

シートベルトの確認をするCAが俺にそっと囁いた。

「実は今、谷川機長が管制塔と協議中なんですけど、まだどの滑走路を使うかで意見が分かれているんです」

俺はそれにこう応えている。

「普通はCだよね、ここのコンディションなら」

CAも俺の言葉に頷いた。

ABは滑走路が長く主にジェットエンジン機用に使用される。

それに対してC滑走路は短く、機体の小さなプロペラエンジンの場合、通常ならCを指示される。

それがまだ協議中ということは、考えられるのはただひとつ。

何らかのアクシデントがC滑走路に起こっている。

「管制塔は何て言ってるの」

俺はどうやらこの航空会社の関係者らしい。

俺の問いにCAは眉を顰めた。

ABを使えと」

「タイミングが難しいね。ジェット機がバンバン離着陸している中じゃね」

結局機長の判断で俺たち乗客は一度降ろされターミナルに戻ることになった。

安全を最優先すればそれが妥当なところだろう。

俺は気持ちを切り替えて、ターミナルにあるうどん屋に向かった。

軽く何か腹に入れておこう。

そう思い、きつねうどんを注文した。

出されたうどんは明らかに乾麺を湯戻ししたらしきもので、しかも茹で過ぎたせいか柔らかかった。

出汁はインスタントの味がした。

食べ終えてレジに向かうと、店員が俺にこう言った。

「有り難うございます。三千七百円になります」

耳を疑いながら五千円札を出したが、やっぱりお釣りは千三百円であった。

「これ、間違ってないか。俺が食ったのはきつねうどんだよ」

そう言うと店員は怪訝そうな顔をして一度店の奥に入り、店長らしき男を伴って現れた。

「お客様、どうされましたか」

「別にどうもしてないさ。茹でた乾麺のきつねうどん一杯が三千七百円って、おかしくないかなと思っただけだ」

驚いた顔でレシートを睨みつけた店長は俺にこう言った。

「お客様、誠に申し訳ございません。金額が間違っておりました」

「だろうね。で、本当はいくらなの」

「はい、三万七千円になりなります」

驚愕のあまり何も言えない俺の代わりに店員が言った。

「店長、どう考えてもこの店は価格設定がおかしいですよ。うどん一杯が三万七千円なんて、そりゃお客様も驚かれますよ。だから私、勝手に一桁下げたんですよ」

俺は店内に貼り付けてある値段表を指差した。

「あそこ、三百七十って書いてあるんだけど」

そう言うと店長は満面の笑顔でこう応えた。

「はい、確かにそう書いてあります。三百七十、ドルと」

このやり取りを聞いていた他の客が仰け反っている。

彼は天ぷらうどん定食を注文しており、その値段は千五百。

つまり十五万円。 

「こんな法外な値段つけやがって。必ず問題にしてやるからな」

そう言いながら俺は渋々クレジットカードを出した。


そして目覚まし時計が鳴り、夜中の三時に俺はこの悪夢から解き放された。

夢で良かった。

きつねうどん一杯で三万七千円もふんだくられるなんて、例え夢でも許せない。

しかしどこかでは、いずれそんな日が来るのかも知れないという不安を感じている。


さ、サッカー見ようっと。

次に担当者が連れて来たのはカブトムシだった。

カブトムシは俺の腕に掴まってごわごわ動いている。

「虫かいっ。井嶽っ、コイツじゃ越冬出来んやろがいっ」

その次はハムスター。

「どこの世界にハムスター頼りに歩くヤツがおるんじゃっ」

「いや、この子はもし危険が迫ったら、先に犠牲になってくれます」

「そんなん、秒単位でこっちも後追いせにゃならんわっ」

「そうですか。では、次のが最後になりますけど、いいですか」

「ああ。ワニとゾウとアナコンダとカンガルーと虫とネズミ以外のものを連れて来いっ」

井嶽はもうこれで最後と念押ししながら、俺にその盲導動物を引き合わせた。

俺は恐々その得体の知れない生き物に手を伸ばし触れてみた。

ワニのような硬さもなく、ゾウのような重量感もない。

まさにちょうどいいサイズ感。

「いいんじゃないの」

「お気に召しましたか」

「ああ。こういうのを最初に出してくれたら、俺もあんなにエキサイトしなかったんだ。ごめんな、井嶽さん」

「いいえ、お客様に満足頂けるなら本望です。ただ、ひとつだけ肝心なお話をしなければなりません」

レンタル料金のことだと思った。

ここ、日本盲導動物連盟はボランティア団体ではないのだ。

「いくらなの」

「はい。月額十万円になります」

「そりゃ高いな」

「図賀様、私も大事な娘をご奉公に差し出すからにはそれくらい頂きませんと」

大事な、娘。

「ちょっと確認したいんだが、あんたまさか実の娘を連れて来たんじゃないよな」

「末の娘でございます」

俺はもう呆れて物が言えなくなった。

「娘はまだ小学生ですので、誠にお手数ですが毎朝夕には小学校まで送り迎えをして頂くことになります。昼食は給食が出ますのでご心配には及びませんが、夕食の世話はお願いすることになります」

この野郎、俺を何だと思ってやがる。

「あのな、朝はこの子と一緒に学校へ行くわな。じゃ、帰りはどうすんだっ。夕方この子を迎えに行く時も、俺はどうやって行けばいいんだよっ。そもそもこの子、何年生だっ」

「はい、一年生でございます」

「い、一年生っ」

つまり俺はこれから六年間、他人の娘を送り迎えし、メシを食わせてやらなきゃならないということになる。

「そりゃ、無理だ」

井嶽は楽しそうに笑いながらこう言った。 

「そこはちゃんとアフターケアが行き届いております。この子をレンタルして頂いたお客様には、もれなくワニのロコちゃんをお付けしております」

「アホかっ、いらんわっ。

ってか、それなら最初っからワニをレンタルしとるわっ」

「では、娘はキャンセルで、ロコちゃんだけということでよろしいですか」

何だか壮大な詐欺に引っかかった気がするが、結局俺はワニに導かれて家に戻ることになった。

ワニのレンタル料金は月二万円、餌代が三万円ほどかかるそうだが、娘のレンタル料に比べればまだ安いと思ってしまった。

何だか世知辛い世の中になってしまったと、俺は見えない目でクロコダイルのロコちゃんを見つめた。

あ、そうか。

クロコダイルだから、ロコちゃんか。

どうでもいいけど。




「済みません図賀耕作様、今ほとんど出払っておりまして、お貸し出来るのはこの子くらいなんですよ」

日本盲導動物連盟の担当者、井嶽高幸はそう言いながら俺に手綱を渡した。

ちなみに図賀耕作は俺の本名で、この名前のせいでずいぶんいじめられて来た苦い経験がある。

「慣れれば可愛いもんです、犬と変わりません」

連盟の人がそう言うなら問題はないだろう。

「それで、この子は、何なんですかね」

「は」

「いや、だから。犬じゃないんですよね」

「違います、犬ではありません」

「じゃ、何なんですか。まさか、アナコンダってことは」

「あはほ、そんな訳ないじゃないですか。大丈夫、子供の頃から人に飼われて、すっかり人懐こくなっていますから。名前は、ロコちゃん。女の子ですから優しいですよ」

試しに一緒に歩いてみると、なかなかしっかり誘導してくれる。

これなら安心して行動出来る。

「この子、どのくらいの大きさなんですか」

「まだ子供ですから、体長は一メートル弱、体高は二十センチほどですかね」

えらいはいつくばっている。

俺は腰を屈めてロコに触れてみた。

「これからよろしくな、ロコ」

その時俺の指先に冷たく硬い革の感覚が伝わった。

さらに頭から尻尾まで触る。

そしてようやくロコの正体が判明した。

「コイツ、アリゲーターじゃないかっ」

担当者は俺を宥めるように応えた。

「ち、違いますよっ。ロコはアリゲーターなんかじゃありませんっ」

「だったら何なんだっ。この皮膚感は確実にワニじゃねぇかっ」

「でも、ロコはアリゲーターなんかじゃありませんっ。クロコダイルですっ」

クロコダイル。

「アリゲーターよりもっと凶暴じゃねぇかよっ。しかもコイツ、めちゃくちゃデカくなるんじゃないのかよっ」

「そうですね、だいたい五メートルくらい」

冗談じゃない、そんな怪獣連れて街を歩こうものなら世間は大パニックになる。

ましてや電車に乗ろうものなら、そこはロコちゃんの餌場と化すだろう。

「爬虫類とは意志の疎通が出来ない。違うのにしてくれ」

野郎、こっちが見えないと思って無茶しやがる。

担当者は俺から手綱を受け取るといかにも残念そうに遠ざかって行った。

そして、いかにも重量感満点の足音と共に戻って来た。

「お待たせしました。この子はいかがでしょう。断っておきますが、間違いなく哺乳類です」

「どうせ、ゾウでも連れて来たんだろ」

「あなた、見えるんですかっ」

「アホかっ。足音で察しはつくわっ。あのな、ゾウなんかどうやって家に入れるんだっ。放し飼いすんのかっ。大草原かっ」

「お気に召しませんか」

「当たり前じゃっ、もっとコンパクトなヤツを連れて来いっ」


マリーがウチにやって来て二週間が経った。

俺はすでに白杖がなければ外に出られなくなっていた。

ずっと家の中にいてもつまらないので、俺はほぼ毎日マリーを肩に乗せて近所を散歩し始めた。

まだ少しは見えている。

今の内に歩く練習をしなければ、やがて全く見えなくなった時に俺は生きていけなくなる。

しかし白杖に慣れていない間は電柱にぶつかったり溝にはまったり、段差を踏み外して転んだりと、日々生傷が絶えなかった。

その度にマリーは驚いたように羽根をばたつかせ、俺を心配そうに見つめていた。

「マリー、驚かせてごめん。でも、見えないんだよ」

そんな日が続いたある日、いつものようにマリーを肩に乗せて散歩をしていると、突然左肩に乗っていたマリーが右の羽根を広げて俺の左頬をペシペシと叩いていることに気がついた。

「まさか、マリー。もっと右へ寄れって教えてくれているのか」

白杖で確かめると、そこには溝があった。

もう一、二歩で溝にはまるところだった。

しかしスズメにそんなコミュニケーション能力があるとは思えない。

きっと偶然だろうと思っていたが、それは偶然ではなかった。

右側に障害物があって、このまま歩けばぶつかるという時には、マリーは俺の右肩に移って左の羽根で俺の右頬を叩く。

前方に段差や階段がある時は、それを啼き方で教えてくれる。


もはやマリーなしでは外出もままならないし、出ようとも思わなかった。

そんなある日、マリーは突然姿を消した。

昨夜までは残っいたコメや水はすっかりなくなっていた。

マリー、仲間のところへ戻ったのかな。

どこへ行くのも彼女の自由だし、俺には引き止める権利はない。

どうか幸せにな、マリー。

恋人に突然別れを告げられた哀れな男のような心境だった。

それから二週間、俺は一歩も外に出なかった。

毎朝夕、ドアを開けて外の様子を見るだけだった。

マリーがいつ帰って来てもいいように、コメと水は玄関前に置いておいた。

ある時、ドアチャイムが鳴った。

誰か来たのかと思い、手探りでドアのロックを外す。

ドアを開けると僅かに開いた隙間から、マリーが飛び込んで来た。

「マリー、帰って来てくれたのか、有り難う。そして、お帰り、マリー」

『ごめんなぁ、黙って留守して。そやけどもう大丈夫やで。ウチはもう死ぬまでどこにも行かへんから』

「マリー」

マリーが人間だったら絶対に抱きしめていた。


ある夜、俺はマリーの夢を見た。

マリーは夢の中では標準語で喋っていた。

「あのね、私もあなたに話さなきゃならないことがあるの」

「何、改まって」

「実は私、もう長くないの。小柄でキュートだから若く見えるだろうけど、本当はもう人間で言う白寿、来年百歳になるのよ」

「嘘っ。まだ九十五くらいだと思ってた」

「たいして変わらんや、ないかぁぁあいっ」

マリー、ツッコむ時は関西弁になるようだ。

「だから私がいつ死んでも悲しまないで。いつかはお別れする時が来るのよ。あなたに助けられてからの日々は夢のようだった。幸せだったしこんなに長生き出来た。何よりあなたが傍にいてくれた」

「マリー、それは俺のセリフだよ。君が来てくれて俺の人生はやっと明るく楽しくなった。マリー、今まで世話になったね、有り難う」

マリーはまたスズメの涙を流しながら消えてしまった。


翌朝、マリーが冷たくなっていた。

お気に入りの寝床で毛布に包まるように、目を閉じていた。

俺はもう二度と動くことのなくなったマリーの小さな体を両手で抱き上げて、庭の片隅に埋めた。

マリー、本当に有り難う。

俺の頬にも涙の筋が光っていた。

その時俺の肩に一羽のスズメが飛び乗って来た。

驚いたことにそのスズメは日本語を喋った。

「はい、はじまして、私が二代目マリーです。どぞ、よろしく」

「二代目。君、言葉が喋れるのか」

「はい。先代のマリー姐さんにばっちり仕込まれましたから。今日から私があなたの盲導雀です。どうぞよろしくお願いします」

そうか、このためにマリーは留守していたのか。

「他の仲間たちもみんなマリー姐さんの指導を受けましたから、もし私の身に万一のことがあっても大丈夫です。すぐに替わりのスズメが来ますからね」

「それは有り難いけど、どうしてそこまでしてくれるの」

「あなたがマリー姐さんの命の恩人だから。それにマリー姐さんが、あなたをひとりにはしておけないって。私たち、みんなで泣きました。スズメの涙、めっちゃ流しました」

多いんだか少ないんだか、真剣なんだかギャグなんだか。

「じゃ、君のこともマリーって呼べばいいんだね」

「はい、マリー姐さんの名を継げるなんて光栄です」

スズメなのにそこら辺の人間よりしっかり喋る。

「合図もちゃんと習得してますからね」

俺はあと何年生きるのが知らないが、恐らくその間に何羽かのスズメの世話になることだろう。

して俺があの世に行った時、歴代のマリーと一堂に会することが出来るのだ。

そう考えるだけで俺の人生が俄然喜びに満ちたものになった気がした。

俺はあの日、マリーが初めて俺の家に飛び込んで来た時のことを懐かしく思い出していた。

スズメがカラスに追いかけられているのが見えた。

スズメは必死で逃げているが、カラスの速さには敵うべくもない。

あのままでは捕まってしまうと感じた俺は思わずスズメに手を振った。

「おおいっ、こっちへ来いよっ」

スズメに言葉が通じるとは思えなかったが、それでも俺はスズメを助けてやりたくて叫び続けた。

するともう他に助かる道がないと思ったのか、スズメが俺の方に向きを変えた。

「よしっ、そのままこっちへ来いっ」

玄関のドアを開け、スズメが飛び込んだらすぐに閉められるよう間を測る。

スズメとカラスとの距離はもう五メートルもない。

恐怖に慄きながら、スズメが飛んで来た。

そして間一髪スズメはカラスを振り切った。

カラスは俺がドアを閉めることを察したのか、激突することもなく空高く舞い上がった。

「よかったな、何とか逃げ切った。よく頑張ったな」

スズメはもう動く元気もないようで玄関にへたり込んでいる。

俺は小皿に水とコメを入れて転がっているスズメの元に運んでやった。

さらに、使っていない毛布を丸め、仮の住まいを作ってやった。

自分からスズメに触らないよう気をつけながら、俺はスズメに話しかけた。

「怖かったろ。おまえ、心臓は大丈夫か」

死んでるのかと思うくらい動かないスズメが可愛くて、俺は思わず微笑んだ。

スズメはようやく小さな体を起こし、仮の住まいに潜り込んだ。

「しっかり休めよ。水とコメはここに置いておくからな」

そして玄関の電気を消し、スズメの休息の邪魔をしないよう、そっとリビングに向かった。


翌朝スズメの様子を見に行くと、まだ仮の住まいで眠っているようだったが、水とコメはすっかり無くなっていた。

「ちょっと入れ物が小さかったかな、ごめんよ」

小皿を下げて、水はスープ皿に、コメは中皿に盛ってやった。

スズメは目を閉じたままだが、生きている証に時折羽根を動かしている。

よっぽど怖かったのだろう、こんな小さな体で相当無理をしたに違いない。

休みたいだけ休めばいい、元気になったらドアを開けてやるから心配するな。

そんな日が五日も続いたある日、スズメはようやく動き出した。

「お、元気になったか。おはよう」

水とコメを置いてやると嬉しそうに皿に飛び乗った。

「名前、つけたいんだけど、いいかな」

スズメが日本語を理解するはずもなく、名前を呼んだところでそれを自分のことだと認識出来るとは思わないが、それでもいいからこのスズメを他のスズメと区別してやりたかった。

「スズメだから、スズちゃん」

これにはスズメもあからさまに不満の態度を示した。

『ちょっとぉ、安易やん。もっとひねれんかなぁ』

「じゃ、ゴンスケ」

『マジかっ』

「そもそも、おまえはどっちなの」

『え』

「いや、だからさ。オスなの、メスなの」

『そんなん、見て判らんの』

「判るかっ」

『これでも女の子ですけど』

「そうか、そりゃ失礼。じゃ、マリーってのはどう」

『外人かっ。ま、そんでもウチはええけど」

コイツ、関西弁で喋ってる。

最も本当にスズメが喋っている訳ではなく、あくまでも俺の脚色ではあるが。

たっぶりコメを啄ばみ水を飲んだマリーはすっかり俺に心を許したようで、俺の肩や頭に止まってチュンチュン囀るようになった。

外へ散歩に出た時も、そのままどこかへ飛んで行くどころか俺の服のポケットに潜り込む。

カラスに追いかけられたのがトラウマになっているのだろう。

こうして俺はスズメのマリーと同居生活を楽しむようになった。

今ならまだマリーのことが見えている。

「マリー、実は俺の目、そろそろ危ないんだ」

『どゆこと』

「近い内に見えなくなる」

『そらエライことやん。何でそんなことになったん』

「遺伝性の、網膜の病気だそうだ」

『それって治らんの』

「今はまだ無理かな」

『そやから仕事もせんと毎日家にいて、スズメ相手に遊んでるんか』

「手厳しいな、マリーは。でも、その通りだ」

話が現実的になり、さすがに自分でも虚しくなった。

「こんな話されても困るよな。マリー、ごめんな」

マリーは小首を傾げながら俺を見上げていた。