香港にはマンダリンオリエンタルが二つある。
一つは、昔ながらのマンダリン。もう一つはランドマークというショッピングモールに併設されたマンダリン。
 タクシー運転手に「マンダリンホテルお願いします」というと必ず「OLD or NEW?」と聞かれる。

先日訪れたのは、「オールド」マンダリンホテルのキャプテンズバー。
25階にも新しいバーがあるらしいが、由緒正しい古き良きバーの方に行ってみた。
 
 ここはこのホテルのメインバーのようで、ウエーターさんはみなさん白いジャケットを着ている。コースターやナプキンも全部リネンで統一され、全て銀の器。食器にはすべてマンダリンの刻印が押されている。

 ここでビールを頼むと、銀のジョッキに入ったビールが運ばれてくる。お値段約80HKD。そして、カクテルは、大体130HKDぐらい。Captain's orderというオリジナルカクテルが、なかなかトロピカルな感じでよい。(ただし、ジョッキに入ってくるのでかわいらしさはないが。)

 このカクテル、おそらく夏のあっつい日にのんだらかなりおいしんじゃないかとおもうぐらい氷がたくさん入っている。寒い冬にはお勧めできない。

 日本のホテルバーのようにメニューは分厚くなく、5ページほど。
ただし、メニューに載っていないカクテルももちろん作ってもらえる。
コスモポリタンを頼んだら、まあまあいい感じのが出てきた。オレンジの皮が乗っていて、シトラスは強いが、悪くはない。

 夜9時からは、ジャズの生演奏。ベース(ギターの方)ピアノとヴォーカルのトリオだが、なかなかレベルが高い。スタンダードな聞きやすいジャズを聴きながら、カクテルやビールを楽しめる。

 お値段は、香港の物価からすると破格な値段だと思うが、(カクテル一杯で、そこそこオシャレなレストランのランチは食べられる。でもよく考えると、東京の高級ホテルでカクテル飲んでも同じぐらいか…。)東京のホテルと比較すれば、かなり格安で、とても雰囲気が良く、音楽もよく、おいしいお酒を飲めると思うと、非常に良心的ではないかと思う。

 この間、シンフォニーオブライツを見てみようと思い、ペニンシュラホテルの新しい方のバーに行ってみたが、そちらの雰囲気は、何というか新しい、モダンなバー。おそらくマンダリンの25階のバーもそんな感じなのかなと思う。

 でも、窓もなく、夜景も楽しめない、この古いバーのほうが、多分、マンダリンオリエンタルの真髄を味わえるのではないかという気もしている…。

 来ている人はウイークエンドだからか、あまりかっちりした感じの人はいなくて、みんなのんびりラフな感じで楽しんでいた。ドレスアップしている人から、ジーンズの人まで。
おそらくウイークデーは、ビジネスマンがたくさんいるのかなという雰囲気。

バーカウンターもあるので、一人でふらっと来て静かに飲むのも可能なバー。カジュアルではあるが、おそらく短パン、ビーサンでは入れてもらえないのかなという雰囲気ではある。

 ごみごみしていて、カオス的な香港の中では、良いサービス、良い音楽、おいしい酒を楽しめるなかなか貴重な場所だと思う。

 でもおそらくカクテルの味は、日本の高級ホテルのバーのほうが、おいしいかなあ。
マンダリンもおいしんだけど、何というか繊細さが若干足りていない気がする。今日のバーテンダーさんがそうだったのかなあ。

やっぱり日本人は何でもこだわるから、世界一のバリスタとか、ソムリエとか誕生する文化的背景があると思う。

香港に引っ越してからはや半年以上が経ち、色々なおいしいと言われる中華料理を食べてみた。
まだ行ったことがないレストランも多いと思うけれども、私の中でのベストワンは、やはり福臨門だ。ただしカオルーンには行ったことがないので、ワンチャイ店のみの評価。

 他にもおいしい店はたくさんあると思うけれども、コストパフォーマンスがいいと思うのはこの店だけである。

 ホテル系の中華料理はおいしいが高かったり、少し西洋風にアレンジされていたり、もしくはオーソドックスすぎる中華で、日本人の口には合わないような香料が使われていたりして、何となく微妙な気分になるが、福臨門は、高いけれども、その値段に見合ったものが出てくると思う。

 値段は大体お昼で最低一人350ドルから400ドル。夜は、大体一人1000ドル以上(上限はないだろう)という高級中華ではあるが、その値段を裏切らない品ばかりである。

 福臨門がおいしい理由は、

1.料理のベースとなる上湯がおいしい。
2.素材の下ごしらえがきちんとしている。
3.海鮮が全般的に美味しい。

からなのではないかと思う。
例えば、イカやエビなどを頼んでも、生臭さを感じたことは今まで一度もない。エビも、蒸したイカ(そういうのも飲茶にあります)もぷりぷりしている。

 ふかひれのお掃除具合は抜群だし、フカヒレを調理する上湯がおいしいので、まずいはずがない。

 お野菜も上湯仕立てでお願いすると、絶妙なバランスの炒め物が出てくる。

特にガイラン(えっと何というのだろうか。青菜?)は、えぐみの出る葉っぱの部分はほぼ切り落として、しゃきしゃき感を楽しむための茎のみが提供される。

 今まで、このような処理をしたガイランにお目にかかったことがなかったので、ほほーと思った。

香港が性に合わず、全体的にこの街になじめない私も、ここの中華だけは、東京の色々ある中華料理屋さんよりもおいしいのではないかと思う。

 ちなみに、今日宴会メニューを見たら、12人で、35万円程のものがあったが、全部美味しそうだった。特級ふかひれ、アワビ、ツバメの巣、ガルーパの蒸し物、子豚の丸焼きなど盛りだくさんでこのお値段。相当お得だと思う。いやもうこれは食べるしかないでしょうという宴会メニュー。

 しかし香港で一人当たり4万円ぐらい払っても中華を食べたいという人を12人集めるのは容易ではないので、この宴席は実現不可能に近い。

 この宴会メニューを全部一気にオーダーしても、4人では食べきれる量ではなさそうだし、やっぱり12人っていうのが絶妙なんだろうなあ。
 
 小出しに全部を食べていくしかないのかもしれないけど、絶対4万円じゃ全部食べられないと思うんだよなあ。多分8万ぐらいかかると思うんだよなあ。全部個別に頼んでいくと…。

 更にポイントが高いのは、ウエイターさんたちの態度が香港にしてはかなりいいのと、トイレがすごくきれいな点。

 みんながそこそこおいしいと言っているLee GardenやSuper Star Seafoodなどは、そこそこのものは出てくるけれども、何というか「うーーん」と唸るような料理が出てこないのが残念。この辺で一人2000円出してランチを食べるなら、2倍出しても福臨門のほうが幸福感がある気がする。
 
 多分、Lee Gardenで食べる北京ダッグとかは、東京でも食べられる気がするのだが、福臨門でのふかひれは、多分お金をいくら出しても東京じゃ食べられないんじゃないかという気がする。(そして東京の福臨門で、何万も出してフカヒレを食べたいという気にはならないし、多分ワンチャイのほうがおいしいのではないかという気がする。)

 イタリアのおいしいレストランで食べるパスタが絶品で、多分東京で1万円出してもあの味は食べられないだろうという、そういう感じ。値段の問題ではなくて、多分料理人の問題だろう。

 ちなみに更に安い飲茶はたいていの場合冷凍の点心が多いみたいで、なんか冷凍っぽい匂いがする。それか、ものすごい化学調味料の味がして、悲しくなる場合が多い。 

 Four Seasonsの中華もおいしいらしいのだが、予約が取りづらいのと、以前行ったことがある友人が「そうでもなかった」と言っているので、何となく行く気になっていない。

 そして、評判のフレンチやイタリアンについては、多分おいしいんだろうけど、何万も出して食べるんだったら、フランスやイタリアで食べたほうがおいしいのだろうと思うと、何となく気が進まない。

 結局、my best restaurant in HKはそういった理由で今のところ福臨門である。
 

先日、ニューヨーク五番街にオープンしたユニクロに行ってみた。

そこで配られていた、ユニクロに関するパンフレットがかなり興味深い。


ユニクロの各製品(ジーンズ、ヒートテック)にかかわった「匠」のインタビューのほかに、今回の五番街の内装を手掛けたデザイナーのインタビュー、それから各デザイナーのインタビュー等盛りだくさん。

まあ、ここまでは理解できる。


中でも非常に興味深かったのは、安藤忠雄氏、ノーベル経済学賞受賞者のインタビュー等ユニクロの企業活動に賛同した(と思われる)著名人が多数掲載され、非常に「インテリジェンス」の感じられるパンフレットになっていた。


で、私がこの「哲学的」なパンフレットを読んで最初に思ったのは、こんなの誰が読むんだろう…という疑問。


おそらくこのパンフレットは、ユニクロの企業理念や哲学、目指す方向性を打ち出すには非常に良い読み物だと思うのだが、ある一定の知識人階層でないと、「何だこれ、わかんない。文字多すぎ」と理解を放棄してしまうようなしろものだった。しかも英語でしか書かれていないから、移民で英語があんまりよくわからない人とか、文字は読めるけど、教育を受けていない人などには、難しい内容なのだ。


このパンフレットが言いたいのは、ユニクロは社会貢献をきっちりしているから、いい企業なんだよ!ってことなんだけど、そういう企業姿勢を評価して洋服を買う人って、どれだけいるんだろう。


そんなコンセプチュアルな服を売っているブランドとは思えないし、安さをアピールするのだったら、あんまり小難しい内容を書いてすかしているより、もう少し感覚的な方向に訴えたほうが、いいんじゃないのかなと思ったりもした。


どうなんだろう。


アメリカにおけるユニクロってどういう位置づけになりたいんだろうって、パンフレットを見て考え込んでしまった。