ある夏の暑い日、朝早く親が家に来ると連絡をしてきた。
親はいつも突然な人だから諦めてはいたけど病気になって以来初めて会うこととなった。
私は、親が来る前に発作の薬をキッチンに隠した。
いざとなったら今日は助けてくれる人がいない…
親に話せばと考えたが心のわだかまりが、それを許さず親にだけ隠し通すと決めていたからだ。
お昼近くに来た親にアイスコーヒーを入れたり、甲斐甲斐しく世話をするフリをして座って話す事を拒んでいたが、さすがに昼食の時には席につかないわけにもいかず一緒にお昼を食べだした。
愚痴やら、世間話やらをしながらご飯を食べていると発作が起きた。
私は、おどけて「足りないからもっと食べようかな」と言いキッチンに行き発作の時に飲む薬を飲んで再び席に着いた。
親は全く気がつかない…そう、パニック発作は本人がいくら苦しくても普通に振舞っていたら気づかれない事が多いと思う。
薬を持っていて飲める状況にあれば少なくとも私は隠し通せた。
案の定、親は何も気づかずに帰って行った。
ホッとした反面、脱力感でソファーで横になって眠ってしまって家族が帰って来たことにも気がつかなかった。
それから数日は、いつもの毎日を送っていたが気持ちは相変わらず不安定なままだった。
それでも、なんとかキッチンには立てていた。
つづく