オレはこのところモヤモヤした気持ちをかかえ、何かに苛立っていた。

飲み会の時の蓮の顔には涙の跡があった。

家まで送ると言うオレの手を払いのけた蓮。

あの時ちゃんと話を聞けばよかったと後悔しても仕方がない。

携帯に連絡しても電源を切っているのか連絡が取れずにいたある日の朝、偶然公園にいる蓮を見かけ、声を掛けようとした時、隣に男が座った。

親しげな様子。蓮の安心しきった顔。蓮の頭をクシャクシャとなでる男の手。すべてにイライラした。平気で触らせる蓮にさえ腹が立った。
蓮はオレじゃなくてもいいんじゃないかとさえ思った。一度そう思ってしまうとつまらないプライドが邪魔をして、それから何度かあった蓮の連絡にも用事があるからと断り続けた。
今のオレでは蓮を壊してしまいそうで怖かった。自分の事しか考えられなかった。

そのうち蓮からの連絡は途絶えたまま。

このままでいいわけじゃない。わかっているけど答えが見つからずにいる。オレってこんなに情ない奴だったのかと自嘲する。

一人で考えたところで蓮の気持ちがわからなければ答えは出ない。

あの涙の訳もわからない。

蓮は一人で抱え込むからもしかしたら何か行き違いがあったのかもしれない。

蓮と離れる?それはイヤだ。オレの中の蓮の存在の大きさにやっと気付く。

今まで付き合ってきた女には感じたことのない独占欲。自分だけのものにしたい。ずっと傍にいて欲しい。

オレは蓮に『好きだ』と何度も言ってきたけど好きだと言うだけだった。

今やっと自分の気持ちに気付く。好きだと言葉にするだけじゃなく、本心をちゃんと伝えなければ意味がない。

言わなけりゃ相手の気持ちなんて伝わらない。聞かなけりゃ蓮の気持ちもわからない。

オレは蓮に会いたくて蓮のマンションに向かった。

携帯で連絡するなんてことさえ思い浮かばす、一刻も早く蓮に会って話をしたかった。