はじめに
┃はじめに――『あ~、楽しかった!』『最高だったな!』『もう一回乗ろう!』こんな言葉はアトラクションキャスト時代には毎日のように耳にした言葉です。『最悪だ』『なんなんだこれ』・・・他が浮かびませんが、こんな言葉はアトラクションキャスト時代に、耳にしたことがない言葉です。他に浮かばないのは、そんな言葉を聞いたことがないので、想像が難しいというのが本音です。もちろん、アトラクション特有の振動などで、体調不良やご気分が優れなくなるゲストはいらっしゃいますが、先ほどのようなネガティブな言葉は、聞くことはありません。では記憶の巻き戻し!エントランス入口!楽しみにしていた念願のアトラクション!待ち時間は・・・120分・・・・・(ヒャ・・・ヒャ・・・ヒャクニ・・・)もう、少なからずこの時点で、多少の心のダメージは負います。多少なりとも・・うん・・・多少・・・きっと・・・。いつも通りのライフスタイルの中で120分もの待ち時間を待つことがあるだろうか!?考えてみよう・・・うん・・・ない・・・ない・・・あったとしてもそれは、きっと何らかのイレギュラーが発生している場合。これが、テーマパークのアトラクションには日常茶飯事であるわけです。┃待ち列で出会う従業員――春休み、ゴールデンウィーク、夏休み、お盆休み、ハロウィン、クリスマス、お正月、冬休み、卒業旅行・・・そして、毎週のように訪れる土日。年中ひっきりなしに、あるこの光景。繁忙期ともなれば毎日のように、敷地内には5万人~8万人のゲストが、楽しい想い出をつくるためにうごめいているわけです。もちろん大人気なのは、アトラクション!そしてお腹を空かせた大人にはレストラン!フードワゴン!どこを見渡しても行列です。でも、何故待つのが分かっていてアトラクションに並ぶのか?今は、予め決められた時間にアトラクションにいけば、スムーズに乗車できるチケットもありますが、より多くの方に楽しんでもらう為に、同時にいくつものチケットを取得することはできないルールもあります。奇しくも手にできなかった場合、並ぶほか方法はありません。では、簡単にここで問題です。皆さんがアトラクションの列に並んでいるとき、入口から、乗車後の出口までに一体どれくらいの従業員(私は関東関西どちらのテーマパークも経験しているのでキャストという呼び方とクルーという呼び方があるため、本文では従業員と表現します)と接しているのかわかりますか?私が勤務していたアトラクション全ての平均で、7~9人の従業員と接しています。どうです?覚えてないでしょう?そんなものです。覚えている方がいたら、それはもう、従業員にとって優しさあふれる方か、ものすごく並んでいるときにお暇だった方か・・・もの好きな方・・・ゴニョゴニョまぁ、ほとんどの方は数えることはないと思います。┃残りの115分――では、初めに私が言っていた、ゲストが言ってくれている『あ~、楽しかった!』『最高だったな!』『もう一回乗ろう!』という言葉。この言葉が示す部分はどこなのでしょうか?並ぶ前の120分という待ち時間を見た時の、なんとも言えないやるせない気持ち?それとも、並んでいるときの目の前のグループに可愛い子が・・・・。それとも、イケメンが・・・。それとも、乗るときから降りるときまでの気持ち?もうお分かりかと思いますが、正解は目の前のグループに可愛い子が・・・違う違う失礼。いざ、乗り場について、今から乗るライド(乗り物のこと)が目に飛び込んできたときから始まり、降りて従業員に手を振られ、お連れ様と乗っているときの興奮を話しているときまでが、最初の『楽しかった』という部分にあたるのではないかと思います。シングルライダーの人はって?・・・そりゃね・・・グループの・・・。さて、この興奮し楽しいという感覚にしてくれる時間。ものの5分程度です。残りの115分は?普通、これだけ待ってたったの5分程度で終わり、大満足や感動を得ることができる体験がありますか?ここで、ある!と答えられると、そこまでなのですが・・・。ない!と思う方が多いと信じて・・・。そこには、残りの115分の待ち時間をも忘れさせてしまうくらいの感動体験を届けることができる、綿密に考えられたオペレーションがあります。これがテーマパークの感動を呼ぶ、アトラクションオペレーションの最大の特徴です。このオペレーションを応用すれば、レストランや美容業、医療についても感動を生み出す接客オペレーションを作り上げることができます。