『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』



原題:About Time
監督:リチャード・カーティス
製作:ティム・ビーバン、エリック・フェルナー、ニッキー・ケンティッシュ・バーンズ
製作総指揮:リチャード・カーティス、ライザ・チェイシン、ライザ・チェイシン、アメリア・グレンジャー
脚本:リチャード・カーティス
撮影:ジョン・ガレセリアン
美術:ジョン・ポール・ケリー
衣装:ベリティ・ホークス
編集:マーク・デイ
音楽:ニック・レアード=クロウズ
製作年:2013年
製作国:イギリス
上映時間:124分

オフィシャルサイト



イギリス南西部コーンウォールに住む青年ティム(ドーナル・グリーソン)は、両親と妹、そして伯父の5人家族。

どんな天気でも、海辺でピクニックを、週末は野外映画上映を楽しむ。風変りだけど仲良し家族。

しかし、自分に自信のないティムは年頃になっても彼女ができずにいた。

そして迎えた21歳の誕生日、一家に生まれた男たちにはタイムトラベル能力があることを父から知らされる。

そんな能力に驚きつつも恋人ゲットのためにタイムトラベルを繰り返すようになるティム。

弁護士を目指してロンドンへ移り住んでからは、チャーミングな女の子メアリー(レイチェル・マクアダムス)と出会い、恋に落ちる。

ところが、タイムトラベルが引き起こす不運によって、二人の出会いはなかったことに!

なんとか彼女の愛を勝ち取り、その後もタイムトラベルを続けて人とは違う人生を送るティムだったが、やがて重大なことに気がついていく。

どんな家族にも起こる不幸や波風は、あらゆる能力を使っても回避することは不可能なのだと。

そして、迫られる人生最大の選択・・・。



『ラブ・アクチュアリー』『パイレーツ・ロック』リチャード・カーティス監督作品。

やっと見に行けました。郊外のシネコンにて鑑賞。

なんという幸福感だろう。それは、前2作を初めて見たときのあの感動と同じ。いや、それ以上かもしれない。

監督第3作目となる本作の題材は“タイムトラベル”。

決して嫌いな題材ではない。『ミッション:8ミニッツ』『LOOPER/ルーパー』のように、深い感動をもたらしてくれる良作もある。

しかし、難点もある。突飛な設定を飲み込めるか否か。そして、難解な展開にノリきれるか。この2点に左右されることも多い気がするのだ。

しかも、リチャード・カーティス監督作となれば不安倍増・・・。

彼の得意分野は、俗に言う“群像劇”。『ラブ・アクチュアリー』では聖なる夜を迎えるカップルたちを描き、『パイレーツ・ロック』では海上からロックを届けるDJたちを描いた。

群像劇×タイムトラベル・・・「頭がパンクするって!絶ッ対無理!!」

・・・と、見る前は思ってました。

が。間違いでした。

本作を見ていて、ふと思い浮かべた作品。それは『エターナル・サンシャイン』。ミシェル・ゴンドリー×チャーリー・カウフマンによる恋愛映画の金字塔(ごくごく私的だが)。

破局を迎えたひと組のカップル。失恋の痛みを忘れるために、ふたりは記憶をひとつひとつ消していく。破局からスタートしたふたりの旅は、やがて出会いの場面へと辿り着く。

「この記憶だけは守りたい・・・!」いかにかけがえのない相手だったかに気づいたふたりに、思わぬ奇跡がおとずれる物語だ。

本作との共通点。それは“追体験”。

“タイムトラベル”という能力がそれを可能にはするんだけど、大切なのはそこじゃない。その能力を、何のために使うか。誰のために、誰を想って使うのか。

ぼくは、劇中のティムの数々の決断に何度笑い、そして何度泣かされたことか。

「今日という一日を何度も繰り返す。そうすれば、不安や緊張から解き放たれ、人生を楽しむことができるはずさ」

ぼくに“タイムトラベル”なんて能力はないけれど、今日という一日を大切に生きようと思う。

鑑賞後、恥ずかしながらなんだか久しぶりに恋がしたくなった。きっと大切な人がいる人は、今すぐにでも抱きしめたくなるだろう。

自分という人間が、そして、いつもままならない自分の人生が、ちょっとだけ愛しくなる。素晴らしき人間讃歌。