あの日ぼくがくちゃくちゃとペパーミントガムを噛みながら視線を泳がせているとき
きみは数学の教科書に火をつけ、マッチの先が静かに燃えるのを眺めていた
大きな瞳で めらめらと燃える火をとらえた君の瞳は
まるで小さな火の玉みたいだった
ぼくたちは、たぶんフリョウヒンで
でもおとなになれば完成品になれるというわけでもないということを、ぼくたちはなんとなくわかっていたから、
もう、逃げるしかないっておもった
オンボロの車
エンジンをかける
オイルの匂いが鼻にきて
助手席のきみが ちゃかちゃかと飴玉を歯でなでながら笑った
きみとなら
どこまでもいきたいのに
いきどまりがこわくて
みうごきがとれないんだ
どこまでもなんて どこにもないみたいで
ぜんぶ ぼくたちのりそうで
ただしいやさしさなんて この世のどこをさがしても見つからないかもしれない
そんなのばかみたいに さびしいよな
それでいて きみだけが やさしい
なにも望みすぎないから
彼女の手を少しでもながく
握っていられますように
ぼくら、ただしいことはできないけど
愛することはできるね
もうすぐつくよ
夜の闇が届かないくらい
朝焼けのまぶしい場所で
ふたりぼっちになれたなら

