シリウスへの翼~瑠璃色の雫~#32 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

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J事務所所属、気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります

あの事件から1週間後
俺は無事に退院する事が出来た


「お世話になりました」


     「ありがとうございました」


     <はい。あぁ、でもいくら傷口が塞がったとはいえ
       まだあまり無理はしないでくださいね>


「はい、わかりました」


     <では、気を付けて・・・>

「はい」

    
     「潤くん・・・行こ?」


「うん」


俺と大野さんはどちらからともなく手を繋ぎ
見送ってくれる看護婦さんと担当医の人に頭を下げた

看護婦さんたちはみんな俺達の事を微笑みながら見ている
俺は少し照れくさかったけど貴方に1秒でも多く触れて居たかったから
そのまま手を繋いで病院を後にしたんだ


     「潤くん鞄・・・」

「え?いやいいよ、自分で持つよ」


     「だめ~!
      潤くんは退院したばっかりなんだからおいらが持つの!」


「いや・・・いいよ」


     「ぶうっ!こらっ潤!
      たまにはおいらの言う事聞きなさい!はいっ!!ちょーだい」


「・・・・・・・はい・・」


     「よろしい・・・んふふ」


「なんだかな~(笑)」


今日の大野さんは何だか少しテンションが高い
俺の手から半ば強引に鞄をもぎ取ると
嬉しそうに鼻歌を歌いながら俺の横で歩いてる


俺達は家に帰るまでずっと手を繋いでた
まるで本当の恋人の様に・・・


     「はい、潤くん・・・どうぞ・・・」


「あ・・ありがとう・・・・・って、えっ!?」


     「「「退院おめでとうございま~す!!」」」

パンパンッ♪

大野さんに促され部屋の中へ入り
リビングへと続くドアを開けた瞬間にクラッカーの音が鳴った
真っ暗だった部屋の電気が付けられると
そこにはお祝いムードで飾られたテーブルと
楽しそうに笑うルカとテオの顔があった

「ルカ!テオ!久しぶり!!元気にしてた?」


     『はい!ごらんのとおり2人の共元気です!!』
     『 ♡♡♡ 』

     「んふふ・・・ビックリした?驚かせようと思って準備してたんだ~
      ルカ!テオ!バッチリだよっ大成功だ♪」


     『やった!!あははっ・・・』
     『 (*^▽^*) 』


「そういう事だったのか~やられた・・
 ありがとう凄く嬉しいよ♪」


     「潤くん見て?ほら!これおいら達で準備したんだよ
      料理はルカが作ったから安心して?
      お料理すごく上手なんだから・・・ね?」


     『 ( *´艸`) 』
  

「そうなの?やった!じゃ早速食べようよ
 俺お腹空いてたんだ~」


     「うん♪じゃ、みんなすわって?みんなで食べよう!」


     『は~い♪』
     『 ♡ 』


俺はまさか皆が家で待ってくれているなんて思ってもなかったから
本当に凄く嬉しくて思わず涙が出そうになった
おいしそうな料理が所狭しと並んでいるテーブルでは
皆が笑いながら楽しそうに食事をしている
そんな光景を見ているだけで俺は嬉しくてとても幸せな気持ちなった

でも1つだけどうしても気になる事があったんだ


「ねぇ・・・お祝いしてくれるのはありがたいんだけど・・・」


     「ん?」


「これ・・準備するお金はどうしたの?
 大野さんお金持ってたっけ・・・?」


     「あぁ・・・それなら心配しないで?
      おいら、自分で描いた絵を売ったんだ
      ルカとテオに教えてもらいながら・・・ね~?」


     『はい・・、そうなんです・・・モグモグ』


「絵を・・・売ったの?」


     「うん。だってずっと持ってたってしょうがないでしょ?
      売れば少しでもお金になるし、絵はまた描けばいいし・・・
      おいらに出来る事って言えばこれくらいしかないから」


「・・・・・・・・」


     「だからおいらこれからこうして仕事するよ
      毎日絵を描いて、売って、そしてまた新しい絵を描く・・・
      おいらも楽しいし、ちょっと潤くんの負担も減るし一石二鳥だよ♪」


「いいの・・・?ホントにそれで・・・」


     「うん、いいの!おいらもう決めたの!
      おいらも働いて潤くんと一緒にここで暮らすんだっ」


「大野・・・さん」


     「え?ダメ?怒っちゃった?」


「・・・・・・ううん、嬉しいの」


     「・・・・?」


「俺、そんな風に大野さんが思ってくれるだけで本当に嬉しい
 ありがとう・・本当にありがとう・・・」


     「うん・・・良かった潤くんが喜んでくれて
      ほら食べて?たくさんあるんだから・・・
      ルカ、テオたくさん食べてねっ♪」


     『はいっ』
     『 ♡♡♡ 』


俺は大野さんの気持ちが分かって本当に嬉しかった
こんなに幸せな気持ちを味わったのはいつ振りだろう
あぁ・・・そうだ高校の夏休みの時以来だな
皆で伊豆で花火をした時以来だ・・・あの時は本当に楽しかった
相葉さんや和と一緒に泊って、大野さんと翔さんが一緒に・・・

一緒に・・・・笑ってて・・・・・


「・・・・・・・・」


      「・・・・!?どうしたの?潤くん・・・?
       具合悪い?ちょっと休む?」


「大野さん・・・・」


      「ん・・・?」


「あの・・・・」


      「・・・・・・?」


俺のせいで一瞬気まずい空気が流れた
そんな空気を察してくれたのか
ルカとテオが急に帰ると言い出したんだ



     『・・・・・・・』
     『・・・・・あ、あの・・・・』

    
     「ん?どうしたの?」


     『俺達明日も仕事で朝早いのでそろそろ帰ります・・・』

   
     「え?そうなの?
      もうちょっとゆっくりしていけばいいのに・・・」


     『いえ・・・
      ジュンさんも退院したばかりでお疲れのようですし
      早めに休まれた方がいいと思いますので・・・』

     
     「・・・・・。うん、そうだね・・・
      分かったありがとう。今日は本当に助かったよ楽しかった
      またいつでも遊びに来て?待ってるから・・・」


     『はい、ありがとうございます。ではまた・・・
      ジュンさん、お大事に・・・ゆっくり休んで下さいね』
     『 (*^_^*) 』


「あ、あぁ・・・ありがとう
 今日は嬉しかった。
 ホントまたいつでも遊びに来て?待ってるから・・・」


     『はい・・ありがとうございます。ではまた・・・』
     『 ♡ 』


そう言って2人は仲良く手を振りながら部屋を後にした
つい今まで賑やかだった部屋が急にガランとして
何だかちょっと寂しく広くなった

俺はついいつもの癖で空いている皿を重ねてシンクへ運ぼうとしてしまう
そんな俺を見た大野さんは慌てて俺の手を止めた


     「あ、あぁ・・・ダメダメ
      潤くんはそんなことしなくていいからベッド行って休んで?
      後はおいらがやるからっ・・・」


「でも・・・」


     「いいから、おいらに任せて?
      ほらほら・・・今日はもう休んで・・ね?」


貴方は俺の背中をそっと押しながら寝室へと連れて行く
確かに俺は気怠さを感じていた・・・でもそれは傷のせいじゃない
さっき思い出したあの夏の思い出が俺の胸を締め付けていたんだ


「・・・・、大野さん」


     「ん?なぁに?もしかして傷口が痛むの?」


「ううん・・・違う
 傷口は痛くない・・・痛いのは・・胸」


     「えっ!?胸が痛いの?ど・・どうしよう
      病院に行った方がいいのかな?」


「・・・・・・・」


     「ねぇ潤くん・・・痛いなら病院・・・!!?」


ドサッ・・・


俺は自分の背中を押すその腕を掴んで
目の前にあったベッドへその華奢な身体を押し倒した
貴方は急にベッドへ投げ出されてすごく驚いた顔をしている
そして少し怯えたような眼を俺に向けた


     !!!!?
     「なっ・・・!?潤・・・くん・・・?」


「ねぇ、大野さん・・・」


     「な・・なに?」


「本当に・・・もういいの?翔さんの事、本当に諦めたの?」


     !!!?
     「えっ!?あ・・あの・・・」


「ねぇ・・・本当のこと言って?
 もしかして俺の事や兄貴の事に責任を感じて
 それで俺と一緒にいるって言ったの?」

 
     「そ・・そんな事ない!
      おいらは本当に潤と一緒に居たいと思ったから・・・」


「じゃぁ・・・今から抱かせてくれる?」


     「えっ!?ちょ・・ちょっと待って
      潤くんはまだ退院してきたばかりだし・・・」


「大丈夫、俺が動かなくても
 気持ち良くなる方法はいくらでもあるから・・・」


     「い・・いや・・・あの・・その・・・」


「大野さん・・・、やっぱり無理なんでしょ?
 俺を受け入れる事なんて出来ないでしょ?
 やっぱり貴方には翔さんしかいない・・・・」


     「そんな事ない!!もう翔くんの事なんて忘れた!!
      それよりも潤くん・・・潤くんこそおいらを抱けるの?」


「な・・何?何言ってんの・・・?」


      「気が付いてるんでしょ?もうとっくに気が付いてるよね?
       おいらの背中の傷も、この6年間ラザルに何をされてきたのかも・・・
       ラザルだけじゃない、ジャンとも・・・」


「・・・・・・・」


      「おいらはもう昔のようなおいらじゃないよ?
       無理やり穢されて、何度もこの身体の中に欲望を吐き出されて
       揺さぶられて突き上げられて・・・
       時には口では言えないような恥ずかしい事もされたんだ!」


「大野さ・・・」


大野さんの瞳からポロポロと涙が溢れてはシーツの中へと消えてゆく
震える声で話し続けるその姿はあまりにも悲しくて儚く見えた


      「おいらはもう汚れてるんだよ・・・
       そんなおいらをその手で抱けるの?
       愛する事が出来る?我慢する事が・・・出来るの!?」


「・・・・・、出来るよ
 大野さんの痛みに比べたらそんな事なんてことない」


     「潤・・・・?」


「俺は・・・大野さんさえ傍にいてくれたらそれでいい
 穢されていても、汚れていても・・・心さえあればそれでいい
 でももしその心に俺じゃない人が住んでいたら・・・
 俺は・・・ラザルと同じになってしまう
 貴方の身体だけを欲しがるただのクズ野郎と同じだ・・・」


     「違う!潤くんはクズ野郎なんかじゃない・・・
      潤くんはおいらを大切にしてくれる
      いつも優しく大切なものを扱うようにおいらに接してくれる
      だから一緒に居たいと思った・・・だから・・・」


「だから・・・?」


     「もし潤くんが・・・
      こんなおいらでもいいって言うなら・・・」


「・・・・・」


     「いいよ?おいらを抱いても・・・」


「ホントに・・?ホントにいいの?
 翔さんを裏切ることになるんだよ?」


     「うん・・・いいよ。
      おいらはもうとっくの昔に翔くんを裏切ってる
      今更何も言えないよ・・・。だから・・・好きにしていいよ?」


「・・・・・・・・、大野・・・さん・・・」



ベッドの上にいる大野さんはそう言うと
涙で濡れた瞳をゆっくりと閉じた

俺は小刻みに震えるその身体を両腕でそっと抱きしめ
そしてその柔らかな唇に自分の唇を重ねた・・・