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BLUE CAT(「ゴーストハント」二次小説・イラスト)

このブログは、『Sleeping BLUE CAT』の蒼猫が運営する
「ゴーストハント」の二次小説・イラストサイトです。
たまに、90年代少女漫画ネタ(ゴーストハント含む)も語ります。

(※2017/9から、二次創作は休止しています。再開未定。)

こんにちは。
蒼猫です。
すっかり暖かく、春らしくなってきましたね。


今日は、以前出した同人誌についてのお知らせです。

2013年の夏イベントで完売した「椿姫の棺」の電子版を、
春から始まる『とらのあな』様の電子書籍サービスで扱って頂くことになりました。

配信時期は、詳しく決まっていませんが、詳細が分かり次第ブログでお知らせします。


紙版の再販予定は、今の所ないので、
配信が始まりましたら、読んだことの無い方にも読んで頂けるといいなと思います。



【追記】(2016/7/8)

7月20日から、電子版が配信されるそうです。
販売ページがアップされましたら、このブログでもお知らせします。

【追記】(2016/7/15)

boothでも、電子版の配信を始めました。

作品URLは、以下のとおりです。

「椿姫の棺」
https://blue-cat.booth.pm/items/236460

GH二次小説「椿姫の棺・一章」(8)


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蔵の扉が開くような音が麻衣の耳に聞こえた。


「麻衣、大丈夫か?」


……ぼーさんの声。

「何を呆けている」


 これは、ナルの声?


「平気でっか? 怪我は?」ジョン?


「谷山さん。大丈夫?」


 肩に手のひらのような暖かい物が乗ったのを感じた。これは、芹沢さんの手?

「ねえ。何で電気消しちゃったの? 何も見えない」


 麻衣には暗闇しか見えなかった。漆黒の中に、皆の声だけが降ってくる。


 そこにいるすべての人間が沈黙した。しばしの静けさのあと、一番に口を開いたのはナルだった。


「本気で言ってるのか? 麻衣」


ナルの厳しい声が響く。


「……え?」


 状況が理解できない。自分は何かおかしな事をいっただろうか?


 周りから困惑した気配が伝わってくる。どうなっているのだろう。

 頭が落ち着いてくると、今の状況がおかしい事に気付く。いくら電気が消えたと言っても。こんなに何も見えなくなることはない。


 蔵に入る前の状況を思い出す。あれくらいの暗さなら、電気が消えても目が慣れればうすらぼんやりと物の輪郭くらいは見えてくるはずだ。


 でも、今はそれが一切無い。不穏な風が麻衣の頬をなでる。

「麻衣、どうしたのよ、あんた」


 肩に誰かが手を置いたような感覚。綾子?


ナルの溜息が聞こえた。そして彼は続けた。


「リンを呼んできてくれ。緊急事態だ。麻衣が、どうやら目が見えないらしい」

 麻衣は、光ひとつない暗闇の中で、自分の心臓が大きく脈打つ音を聞いた。そして、悲鳴を上げた。


 暗い闇の中に、人魂のような光や、無数の人の形をした乳白色の影が、至る所に浮遊しているのが見える。


 いくつも。天井から、ロープのような物でつるされているような人影や、農業に使うの鍬(くわ)ような道具で、地面を掘っている影もある。


麻衣の近くに見える人影は、のどのあたりを押さえ呻き声をあげながら麻衣に近寄り、すり抜ける。


「きゃあああああ!!」


「麻衣!?」


 ナルが駆け寄ってきた気配がしたが、姿は見えない。代わりに恐ろしいものばかりが見える。


 なぜ、みんなの姿が見えないのか。代わりに、何故こんな物が見えるのか……。


 わけがわからず目を覆い、その場にうずくまったまま、麻衣は動けなかった。


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GH二次小説「椿姫の棺・一章」(7)


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麻衣達が飛び石を渡り、庭に続く道を歩いて行くと、目の前に大きな蔵が現れた。


「なんか雰囲気ある……」


 蔵を見上げた麻衣のつぶやきに、奈緒が土(ど)蔵(ぞう)の壁をなでながら答えた。奈緒の表情はどことなく暗い。


「この蔵は、監修をした鬼藤氏の家から移築したものだそうです。鬼藤氏の強い希望だったそうです」


「へえ。そうなんですか」

 そのとき、蔵の屋根の下にあいた窓から、人影がのぞいたように見えた。驚いて、目をそらす。


……何、今の。 


 もう一度見る。今度は人影は見えなかった。生ぬるい風が腕をなでたような気がした。


麻衣はかすかに身を震わせた。


 3人は蔵の中に足を進めた。


中は湿気がまとわりつくようにむっとしていて、微かにカビのようなにおいがする。天井に渡された梁には蜘蛛の巣がかかっていて不気味だった。


 蔵の中を見回すと、物が雑然と並べられた中に人形と動く絵が設置されており、おどろおどろしい音声が流れていた。


 奥の壁に、正面に横長の台が設置された、ひときわ大きな椿の絵があった。絵の前まで来た麻衣は、温度計を見て不安げにつぶやいた。


「なんか、ちょっと温度が低いかもしれない」


 麻衣に奈緒が不思議そうな視線を投げかける。視線に気付いた麻衣は説明を始めた。


「霊が出現すると、その場所の温度が下がるんです。だから、定期的にこうやって温度計で測るんですよ」


 麻衣がにこっと笑いかけた、その時だった。パン、と何かが弾けるような乾いた音が何回か聞こえた。

「今、何か音が……」


 麻衣は辺りを見回した。


「家鳴りじゃ無いですか? この蔵は古いですし」


 そうですね、と奈緒に言いつつ、麻衣はナルの顔を見た。ナルも堅い表情で周りを見ている。


……ひょっとして、ポルターガイスト?


「あの……」


 奈緒は何かを言いにくそうにしていた。


「あまり気を悪くしないでほしいんですが……」


「え?」


 麻衣の顔に困惑の色が浮かぶ。


「実は、遊園地側が呼んだ霊能者の方が、もう一人いらっしゃるらしいんです」


「あ、かまいませんよ。そういうことってよくあるんです。依頼者さんも必死だから」


言いながら麻衣は微笑んだ。麻衣の何でも無い様子に、奈緒は安心した様子だった。


――ちょうだい。


――あなたの。


「え?」


 声が背後から聞こえたような気がして、麻衣は蔵の奥を見た。しかし、誰の姿もない。


「麻衣。遅い」


 蔵の入り口から響くナルの冷たい声に返事をし、彼の後を追いかけようとする。


 その時だった。パン、と何かがはじける音が立て続けに聞こえた。そして、ぐいっと後方に腕が引きつるような感覚。続いて激しい痛みを腰に感じる。


 一筋の光も差さない暗闇の中、一歩遅れて自分が蔵の中で尻もちをついたのだと分かる。


 入り口は閉まっていた。おかしい。閉めた覚えなどないのに。外から誰かが閉めたのだろうか?


 中から、何者かに引きずりこまれた? 頭が状況を理解すると、背筋にぞわっと嫌な感覚が走った。


 早鐘のように動く心臓を何とか押さえようとしながら立ち上がり、手探りで扉を探し、取っ手に手をかける。引き戸はびくともしなかった。


「麻衣!! どうした?」


 外からナルの声と、扉を叩く音が響いた。麻衣はこらえて扉をたたいた。びくともしない。


「何で!?」


そう叫んだ瞬間、背後からソワリと冷気を感じた。おそるおそる背後の気配を伺う。


……何かいる?

 にゃーお。


それが猫の鳴き声だとわかるまで、少しの間があった。部屋の奥から冷気が流れてくる。霊が現れると、室温が下がる。さっき奈緒に説明したばかりだ。


 蔵の奥。最初は白い点が見えた。それが二つ、三つと増え、増殖していく。白い無数の粒子が集まり、それが段々人の顔を形作っていく。


 やがて闇の中に浮かび上がったのは、人形のような美しい少女の顔だった。生気を感じない、美貌。白い顔に、雪の上の紅い椿のような唇の紅(くれない)色だけが鮮やかに浮かび上がっている。


 それがスウッと音もなく、床を滑るように近づいてくる。


 逃げろ。体中が振るえ警告を発しているが、体が動かない。叫び声を上げたいのに、喉から漏れるのは震える息だけだった。


――ちょうだい。


 鈴のころがるような声が聞こえた。


――あなたの、からだ。


 麻衣のすぐ近くで、少女の白い顔が微笑む。


 少女の差し出した白い手が顔に触れ、自分の体にズブズブと沈み込んでゆく。


 ぞわり、と指先から麻衣の皮膚に寒さが伝染し、それが全身に広がっていく。がたがたと震えだして止まらない自分の体をぎゅっと抱いたが、その震えが止まることはない。体が言うことをきかない。体が人形のように硬くなっていくのがわかった。


目の前が真っ暗になると同時に、頭の中にいくつものイメージが浮かぶ。


――雪化粧をした椿の咲く庭。

――雪の降る空。



――泣き叫ぶ、男の顔。


……これは、一体?


 闇の奥で少女が微笑むのが見えた気がした。


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つづき→【GH二次小説「椿姫の棺・一章」(8)】


※この小説は、8月18日コミックシティ大阪で委託販売予定の、GH二次創作小説「椿姫の棺」の一章です。 試し読み用に、一部公開しています。


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