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第一部

第一部ではまず序論が進む筋道を説明する。『百科全書』の目的が二つあり、一つは「百科全書」として、人間知識の順序と連関とをできるかぎり明示すること、二つめは、「学問、芸術、工芸の合理的辞典」として各学問および各技術について、それの土台たる一般的諸原理、およびそれの本体と実質をなす最も本質的な細目を含んでいることと述べる。そのために諸知識の系統と家系を吟味することが必要と述べている。これが第一部の目標である。そのために、ダランベールは、意志の作用をなんら加えずに無媒介に受け取る知識(直接的知識)はすべて、感官によって受け取る知識に還元され、ゆえに、すべての観念は感覚に負っていることを挙げて、議論を始める。そして、観念の相互伝達が社会形成の起源であり、社会形成とともにまた言語が生まれねばならなかったという。そうした観念の相互伝達によって次第に緊密になる社会だが、そこから引き出す効用を自分自身のために増大することをもとめ、他人と闘わなければならないため、全員が同じ分け前をあずかることはできないという。そして、全員が社会の効用に同じだけもつ権利が弱肉強食によって犯され、そこから自然に道徳的善悪という概念が生じたという。彼はそこから議論を展開させ、身体の維持という必要性が個人の発見と他人との交渉によってまかなわれることから、農業、医学などの生存に必要な技術が生まれたという。ここから彼は諸学問の生成過程に関する説明を始める。彼は自然学、幾何学、算術、代数、力学、天文学が生まれた経緯を次々と説明する。彼はこのように学問は自然科学、ならびに数学から始まったと指摘している。それから、こうした知識を獲得する仕方および自分のもつ思想を相互に伝達しあう仕方そのものを簡単な技術に整理したものが生まれ、それが論理学と名付けられた。ここで注意したいのは、この全知識の鍵とみなされるべき学問は人間の発明序列の首位を占めなかったという点である。そこから次に生まれたものとして、文法、雄弁術、歴史、年代学、地理学、そして政治学を挙げている。