



真夏特有の蒸し暑く寝苦しいある夜、ふいに目が覚めた。
まだまだ起きる時間には早過ぎるはずだ。
遠くから国道を走る大型ダンプのエンジン音が響いてくる。
再び目を閉じ少し伸びをしてみると、左手の指先に何かが触れた。
気になってチラリと目をやると、人影のようなものがユラリユラリ
左右にゆっくり揺れている気配がした。
驚いて飛び起きようとしたが、体の自由が全く利かない。
いや、体が自分の意思を拒否していると言ったほうが正しいのか。
『これが金縛り?』
疲れが溜まっているだけだろうと再び眠りにつこうとした時、
ある事に気がつき愕然とした。
ユラユラ揺れているのは自分の体ではないか!?
布団に横たわっているはずの俺が、なぜ??
しかもその揺れは、自分の意思とは関係なく次第に激しさを増している。
まるで何者かに無理やり揺すられているかのように。
『・・・・・いよ!・・・・いよ!』
誰かの叫び声が聞こえると同時に、全身に鈍い衝撃が走り確実に覚醒した。
そう、ベロンベロンに酔っ払ってマンションの自分の部屋まで帰る途中で
力尽き、階段の途中でしゃがみこんだまま眠ってしまい、そのまま下まで
転がり落ちてしまったのだった。
『だから危ないよって注意してたのに!』
住人の通報により駆けつけたらしい若い警官が、半分呆れながら
声をかけてくる。
体の痛みなど軽く吹き飛ばすほどの自分の醜態を恥ずべく、
照れ隠しで俺は警官に不本意だとばかりに呂律の回らない言葉で呟いた。
『この階段と違うねんけどなぁ・・・』