沖田さん 今日はご命日 | 虚構の部屋

虚構の部屋

この世のすべては虚構。でも、虚構のなかにも真実はある。

艶が~るのファンアートを描いています
2.5次元に生きる美和の自室。時に荒野にも繰り出しつつ
ここでは”艶が”関連の独り言、お話し、絵などを徒然に更新します


本日5月30日は、沖田さんの旧暦のご命日です(´;ω;`)


慶応4年5月30日(1868年7月19日)。


誰にも看取られることなく、ひとりきりで最期を迎えた彼(´;ω;`)


当時、労咳(肺結核)は、不治の病だったとはいえ、

それでもごくわずかに助かった人もいたらしく、

比較的病気が発覚したのが早期だった彼も、

静かに療養すれば、もっと長生きできたかもしれませんよね・・・。



それでも、そうしなかったのは、

彼にとって、唯一無二の存在だった近藤さんと土方さんが作り上げた

新選組というものを、自分も当然守るべく全力を尽くすことに、

何の疑問もなかったからでしょう(´;ω;`)



何だか勝手に色々想像して泣く自分…(´;ω;`)←重症





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【 おはよう 】




青とも、緑ともつかない、夜明け前の空の色。

暗い部屋に、徐々に白い朝日が薄く差し始める頃、私は決まって目が覚める。



隣で、静かに寝息を立てて眠る貴方。

ずっと下がらない微熱のせいか、呼吸は相変わらず浅い。

朝日のせいじゃなく、血色の悪さから白く浮かぶその頬を、そっとなでてみる。

鳶色の柔らかな髪をすくいあげて滑り、それをそっと耳にかけたところで、

私の右手は貴方の熱い掌に捕まった。




「・・・・起きていたんですか?」




はい、と柔らかく微笑んだ貴方は、私の手をつかんだその左手をそっと引き寄せる。

そのままバランスを崩したような形で、あおむけに寝ていた貴方の胸に、私は閉じ込められた。




「いつもそんな風に、私より先に起きて、いたずらしているんですね。」



ふっ、と笑みとともに貴方が漏らす熱を含んだ吐息が、私の前髪にかかる。



「・・・いたずらじゃありません。」





・・・・・・貴方の、体温を確かめているの。





そんなことが言えるはずもなく、私は貴方の胸に顔をうずめる。



また少し痩せた身体。

気づきたくなんかないのに、こんな風に現実は私に突きつけられる。

静かに、ゆっくりと打ち続ける鼓動に、

貴方をここに繋ぎとめるものが、どんどん頼りないものになっている気がする。



ふいに熱くなる瞼をぎゅっと閉じ、小さなため息を飲み込んで。




虚構の部屋



毎日、・・・覚悟はしている。

・・・それなのに。

やっぱり怖い。

どうしようもなく、怖い。



たまらなく胸が苦しくなって、貴方の寝間着の衿元を、きゅっと掴んだ。



“ただ、ここに居て欲しいだけ。他には何も望まないのに。”



たった一つの願いも、もう叶うことはないと知っている。

さらさらと、私の握った手のひらから零れ落ちていく貴方の命を、

私はもう…、ただ、泣きながら見ているしかないのだ。



けれど。

それでも私は祈り続ける。



“これ以上、遠くへ行かないで。私を・・・一人にしないでよ・・・”



まるで、懇願するかのように。



「・・ふふ。甘えん坊だな、〇〇は。まるで猫みたいだ。」




きっと貴方は、私のこんな気持ちをすべて知っていて。

私が寂しくならないように、私が泣いたりしないように、

そうやっていつも軽口ばかり。




「そんなこと言って。私を抱き寄せたのは総司さんの方でしょう。」




涙を、かろうじて瞳の中に引きとめて、上目遣いに見上げた貴方の顔。

徐々に明るくなり、今は十分に朝日に埋められた部屋でも、

にじむ視界のなかでさえ、その頬は青白い。




そうだったかな、なんて、貴方はわざと とぼけながら、

その微熱をもった唇で、私の額にそっと口づける。




「・・・・おはようございます。今日は朝餉、召し上がれそうですか?」




神様なんて信じないけど、

今朝も貴方におはようを言えたことに、密かに感謝して、

私は朝餉の準備に向かう。




さっき確かめた貴方の体温を、名残惜しく、褥(しとね)に残して。






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改めて、ご冥福をお祈りします。


今頃は生まれ変わって、

丈夫な体で、やりたいことをして、素敵な恋をしてるといい。


・・・うん(´;ω;`)