君の誕生日

君は何処に居たんだろう



誰かと笑ってた?



君の隣で笑うのは

君の誕生を心から祝えるのは

あたしとあの人



なのに



君の誕生日には

必ずあたしたちが傍に居れたはずなのに



なんでだろう

なんで引き離されちゃうんだろう



君や

あたしや

あの人のこと

何一つ知らないくせにね



君の誕生日を

心から感謝してるよ

だって

君が生まれていなかったら

あたしたちは出会えなかった



あたしは

君が大好きだよ

愛してるよ

心から



君が居ないと

あたしは生きていけない



あの日

君と出会ったあの日

君は学校帰りのままでやってきて

だから

君はとても

醜い姿だった

それでも

君は笑っていて

ちょっと転んだだけだと言って笑って



でも

あたしはわかってた

あたしにも経験があったから



あたしを見つけて

君は駆け寄ってきた



「一緒にやろうか?」

って



いつも一人だったから

どこでもいつも一人だったから



でも知ってた?



君があたしを見つける前に

あたしは君を見つけてた

ずっと見ていたけど

あたしは声を掛けられないでいた

怖かったから



だけど

君はあたしに声を掛けて

そして仲良くなった



君はいつも傍に居てくれた

辛いときはいつも

君の言葉は

いつもあたしを安心させてくれた

君が髪を撫でてくれたら

あたしは眠れない日々から解放された



あの人との出会いも

君が一緒だった

あの人も

あたしたちと一緒だった

環境や心の闇



君は本当に

そういう人を見つけるのがうまい



いや

そういう人に見つけられてしまうのかもしれないね



君と

あたしと

あの人



いつも一緒だった

いつもいつも



でも

君はいつも

どこかに逃げてしまう

するりと



光を見せては

するりと



そんな君を

とても憎くも思うけれど



それでも君を欲しいと思う



繋ぎ止めるためなら

なんでもした

なんでも



その度に君は帰ってきてくれて

傍に居てくれた



そして誓う

もう離さないって



そして願う

もう何処にも行かないでって



それでも

何処かに行ってしまうのだけど



ねえ

君は何処?



とても寂しいよ



あの時のように

一緒に居てよ



あの人もね

君の誕生日を心から祝ってたよ



愛してるって



君へのプレゼント

二人で選んだんだよ



喜んでくれたらいいな



心からおめでとう

心から愛してる



誰よりも一番







ゆっくりと

心の奥に刺さるように



締め上げるように

でも

包み込むように



君は優しいから

止めを刺すのはいつも自分で



それで

罪を赦してもらえると思ってる



自分を限界まで追い詰めて



ねえ

それって自己満足よね



あたしもあのひとも

そんなこと望んでいない



ただ

帰って来て欲しいだけなの



君が今

うずくまって眠れないように

あたしもあの人も同じ



救って欲しいの

君があたしたちを壊したのだから



優しい君は

いつものように悲しい笑顔で

そして

壊れていく



ねえ

魔法の言葉は効いたかな



帰って来て

そして

あたしとあの人を抱き締めて

悲しい笑顔を見せて



一緒に眠ろう








耳を塞いで

目を閉じれないで過ごしてるかな



あの頃に戻れたら

なんて今更思わない

そんなの

ありえない事だもの



あたしたちも

君も

もうあの頃には戻れない



でも

時間はあの日で止まったまま

みんなね



縛られて生きてる

いや

しがみついて生きてる



あの過去が

あたしたちを生かしてる



君もそうでしょう?



優しい君は

あの日を思い出しては

苦しいってもがいて

悲しいって流せない涙を我慢して

静かに自分に傷をつける



あたしたちは

それを見て安心する



ああ

君はまだ傍に居てくれてるって



あたしたちは

きっと間違ってる



でも

だから何



これが

あたしたちと君との絆で

これが

あたしたちと君の生き方だもの



誰になんて言われても揺るがない



君を一番愛しているのは

あたしたちだもの



君を一番憎んでいるのは

あたしたちだもの



そうやって

生きてきたんだもの



君はどこにも行かない

どこにも行けない



行かせない







なんだろう

今日はとても苦しくて眠れない



でも

夢現の中で

あの頃の君に会ったよ



優しい笑顔だった

あたしたちだけを見ていてくれた時の

あの笑顔だった



救われた気がした



でもそれは

すぐに覚めてしまって

今とても苦しいよ



いっそ

覚めなきゃよかったかな

そうすれば

君はもう幸せになれるのかな



あたしたちを置いて



出会った頃のことも

あの裏切りも

あの出来事も

忘れて



いつか

顔も思い出せなくなって

声も思い出せなくなって

君の中から

あたしたちはいなくなる



言ってたよね

大事な親戚のお兄さんの声を

ついに声まで忘れてしまいそうだって

恋しいって



人はそうやって

人の心から居なくなるんだね



あたしたちも

きっとそうなるんだろうか



そして君は

どこかで誰かと笑っているんだろうか

短い時間の中で



そんなの嫌だ



嫌だよ



そっと

傷跡をえぐってあげるよ



あたしたちを忘れないように



何度だって



今日はなんだか

すごく苦しくて

すごく寂しいよ

とても



なんでだろう



君が離れて行きそうだからかな



離れて行かないで

置いて行かないで



ねえ

声を聞かせて







あたしは惨めで

でも

そんなあたしより惨めな君を見て

あたしは救われた



君を見て

あたしはほっとした



あたしはまだマシだって



そして

思ったんだよ

人は儚くて

人は愛しいものだって



どんなに頑張っていても

どんなに我慢しても

どんなに人の顔を窺っていても

君は幸せにはなれなかった



自分を傷つけてでしか生きていけない君を

あたしは愛しいと思った



そんな君が

一人じゃないよってあたしを救ってくれたから

だから

あたしは生きていけているのに



君はどこに行こうとしてるの?



あの人も同じ



君が拾ったあたしたちを

簡単に捨てていってしまう



ねえ

どこにいるの?



さみしいよ



一人じゃないよって

言いに来てよ



救ってよ