1)問題解決はチーム力
 かかわり方のうまいスタッフはもちろん居ます。トラブルを速やかに抑える技術のなるスタッフも居ます。観察力のするどいスタッフも居ます。しかし、見方を変えてみましょう。
 問題行動を速やかに抑える名人がいる現場では、その人がいる故に、未だに頻繁にトラブルが起き続けているかもしれません。確かに、トラブルが起こってからの対応は適切です。でも、トラブルが起こる回数は減っていません。予防されていないのです。
 もう1つ別の見方をしてみます。今の現場では、一人の努力で解決する程度の問題行動しか存在しないのかもしれません。今度新たに入る利用者さんは、これまで速やかにトラブルを抑えてきた有能なスタッフでも太刀打ちできないかもしれないのです。
 問題解決には、指導や援助を行う人のチームが必要です。一人の名人の努力で解決するわけではありません。

2)優秀なチームの特徴
◆問題行動に執着しない
 優秀なチームは、問題行動そのものよりも、対象となる人がどのような日常生活を送っているのかに注目します。本人の興味や関心があるものごと、適切な行動レパートリー、人とのコミュニケーション方法など、問題を起こさない場面でいる様子を知りたがります。
 
◆一人ひとりの特徴をつかんでいる
 同様に、このようなチームでは、利用者一人ひとりの障害特性や個性を理解する力に長けています。多くの優秀なチームは、その人の生涯特性や能力といった、一人の包括的な情報を整理することから問題解決を始めます。チームプレイを前提に、沢山の人が問題解決に関わってきた実績がなせる技です。
 
◆チームの力量を知っている
 優秀なチームは何でも解決できるとは考えていません。チーム全体の力量を性格に把握しており、チームの得意な点と同様に限界も知っているのです。問題解決へ向けての計画は、チームで実行可能なものを選択しています。

◆変化を恐れない
優秀なチームは変化を恐れません。仮説や計画の変更、実施手続きの変更といったチーム内で完結する変化から、職員配置や日課の変更など、チーム外の変化を求めるものまで、まさに多種多様な変化が存在します。もちろんチームメンバーの変更もあります。優秀なチームは、このような変化に合わせて、常に最善の策を講ずる力を持っています。
 
◆長期的なゴールを共有できる
 どんなに短期間で具体的な計画であっても、長期的戦略とその方向性がチーム内で一致していなければ実行が非常に難しいものです。優秀なチームとは、この長期的なゴールについても、機会があるごとに議論し、一定の方向性を決めているものです。
 
 
 Plan、Do、See(計画・実行・評価)をチームで繰り返すことで、利用者の問題行動は確実に減っていきます。そして同時に、このチームは、問題解決をする力が確実に上昇していきます。
 
<長期的な展望を持った計画を実践するポイント>
1)さまざまな理論や実践に触れる
2)最新の情報をチェックする

志賀 利一「発達障害者の問題行動 その理解と対応マニュアル」