それでは、債務整理 の基本、「引き直し計算」のポイントについてご説明いたします。

■金利の高い業者の借金が減る
上記金利を上回る高金利の業者との取引(途中で借り増し等があっても大丈夫です。要は「借りたり返したりの期間」という意味です)がある場合には、本来であれば支払う必要のなかった利息を支払い続けてきたことになるので、引き直し計算によって借金が減ります。

■取引が長ければ長いほど借金が減る
高金利の業者との取引が長ければ長いほど、長期にわたって余分な利息を支払い続けてきたことになりますから、その分引き直し計算によって借金が大きく減額されます。

■ご本人様が記録を保管している必要はない
過去の取引を計算し直すわけですから、当然そのためには業者との過去の取引の詳細(いついくら借りて、いついくら返してきたか)がわからなければなりません。
現実にこれらを全て記録・記憶している方はいないでしょう。
しかし業者はこういったデータを全て保管しており、手続きに際してそのデータを開示させますので、手元に過去の取引の資料等がなくても全く問題はありません。

■もともと金利の低い業者の借金は減らない
一部の業者や銀行等、そもそも上記金利よりも低い金利で貸付を行っていた場合は、引き直し計算をする余地がありませんので、この手法により借金が減るという事は残念ながらありません。
借金整理 (=債務整理)にはいくつかの方法がありますが、その全てに共通して、まず最初に行うのが引き直し計算と呼ばれる作業です。
全ての借金整理の基本と言うべき作業です。

■引き直し計算とは?
金銭の貸し借りについて発生する利息については、利息制限法という法律によって、借り入れされる金額に応じて下記の通り上限が定められています。

しかしながら、実はこの上限を超えた利息を設定しても、罰則規定はありませんでした。
その結果多くの消費者金融やクレジットカード会社は上記の上限を超える20~29%といった高金利を設定してお金を貸し付けていました。

これに対し近年、最高裁判所の判例等で利息制限法の上限金利を超える利息は支払う必要はない(なかった)ということが事実上確定しました。

そこで、上記金利を上回る高金利を設定していた業者については、過去の取引をもう1度利息制限法で計算し直すことが可能となりました。
すなわち、「最初から利息制限法に定めた金利(15~20%)で取引していたとしたら今の残額はいくらなのか」を確定させるわけです。

この「利息制限法に基づいた計算のやり直し」のことを引き直し計算と呼びます。
去る平成22年4月19日をもって、日本信用情報機構の信用情報から「契約見直し」の情報が削除・廃止されました。

従前は「引き直し計算をすれば過払いであるにもかかわらず、約定残高ではまだ借金が残っている状態」で手続きをすると、この「契約見直し」という情報が登録されていました。

これがその後の与信審査にどのように影響するかは審査機関次第でしょうが、少なくとも「過払金請求をした」という事実が信用情報として残ってしまうことは確実でした。情報が残る以上、それが審査に影響する可能性もゼロではないでしょう。

しかし今後は、現在借金が残っていても、実は引き直し計算をすれば過払いだったという場合には何らの情報が登録されることはありません。

自営業者の方等で、今後も融資を受ける可能性が高い場合、「今後万が一のときに融資が受けられないのは困る・・・」と手続きを躊躇されていた方には朗報ではないでしょうか。

※本情報はあくまで「手続きをすれば過払いだった」という場合に限ります。整理をしても借金が(減りはしたものの)残ってしまった場合には、やはり債務整理 をした旨が信用情報に登録されますのでご注意下さい。

なお、ご自身がすでに過払いなのかどうかは、専門家に相談することでおおよその目安ぐらいはわかるでしょう。しかし、詳細はあくまで取引履歴を取り寄せ、引き直し計算をしなければわかりません。

万全を期したい方は、まずはお近くの専門家に借入先や取引年数、取引途中での完済の有無等を、わかる範囲で整理してからご相談してみることをお勧めします。