【前回までのあらすじ】
強い協力活動を喚起するものに、自己効力感があり、エースの活躍に自己投影し代理的な体験できることと同盟員のサポート行動がマッチすれば、それはエース級の自己効力感を満たし好循環になる可能性を示唆しました。

さて、facebookに見られるSNSの「いいね」などは、アイデンティティの表出と承認欲求 の心理テクニックを利用したものと言われています。gyazoやブログに「どや~」と超絶カードを掲載するのもこのような動機と考えるのが普通ですが、今回は少しだけ詳しく見ていきたいと思います。

アイデンティティの表出とは、自分の評判を高めたい、尊敬されたい、地位を獲得したいという動機づけです。たとえば、オープンソース・ソフトウェアの最初の開発段階においては、開発者同士の仲間からの評判獲得が開発への積極的参加の動機づけとなっている(田中 2002)ことが指摘されています。これは、「技術がある」「知識がある」と尊敬されることは仕事上でも直接利益をもたらすためだと言われています。ブラ三で、こういったことが直接利益をもたらしている事例は存じませんが、あってもおかしくないなと思っています。

一方、支持できないという実証結果も多数発表あるものの、日本で特に有名なマズローの自己実現理論のなかに、社会欲求と承認欲求というものがあります。

社会欲求とは
自分は社会に必要とされている、社会的な役割があるという感覚。
情緒的な人間関係・他者に受け入れられている、どこかに所属しているという感覚

承認欲求とは、自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求(Wikipedia 自己実現理論)です。健全であれば、さらに自己尊重感、技術や能力の習得、自己信頼感、自立性などを得ることで満たされ、他人からの評価よりも、自分自身の評価が重視されるようになると、マズローは指摘しています。

これらをみると、欲求が上位にいく過程で、他者からの評価の肯定的なフィードバックがあることに気づきます。社会であったり、集団という言葉使われています。ブラ三においては、「同盟」であったり、【 】★を君主名につけたりする集団とか軍団があったりします。その中での他者からの評価あるいは、集団内、同盟内のアイデンティティの表出は重要な動機となり得ます。

前々回のエントリーでコンサマトリー動機づけを紹介しました。

育成談義自体を楽しむというたわいもない会話(コンサマトリー性)の行動は同盟における協力行動と位置付けられるし、ブラ三を続ける動機の一つになると説明しましたが、このことは、上述の「情緒的な人間関係・他者に受け入れられているという感覚」を他の同盟員に与えることができる、つまり情緒的なサポート、資源提供とも言い換えることができます。

集団レベルには習慣的で長期的な協力パターンが埋め込まれていて、それをどのように活用するか、あるいはできるかが同盟員個人にとっては重要で、同盟としてはそれをどのように配分・提供するかによってそれぞれ個性というか文化の違いがあるのだろうと思います。