イングランドのメガソーラーの3分の2が払っている“あまりに重い代償”

国力の低下につながりかねない
 
 
農地として優秀な場所へのメガソーラー建設には疑問が投げかけられている Photo: Getty Images
 
 

 

BBC News(英国)ほか

 

Text by COURRiER Japon

 

 

大規模太陽光発電所(メガソーラー)は再生可能エネルギーの促進やエネルギー自給率の向上に効果的だが、広い土地を用意するにあたっては代償が伴う場合がある。

日本では、森林や湿地を破壊してのメガソーラー建設が「本末転倒」であると批判されているが、短絡的なメガソーラー建設が批判されているのは海外でも同じだ。

英国では、メガソーラーが国力の根本に関わる問題を引き起こすかもしれないとの声があがっている。
 

良質な土地


約100年の伝統がある英国の環境保護団体「CPRE」の調査によると、イングランドで稼働中のメガソーラーの約3分の2が、農地として生産性の高い場所に建設されていると判明した。

2025年7月に発表された同団体の報告書では、現在稼働しているサッカー場1300面分のメガソーラーのうち、59%は生産性の高い農地に位置している。さらに、全体の31%が、国の基準で「最も良質で最も多用途」な土地に該当するという。

政府は、「最も良質で最も多用途」な農地でのメガソーラー建設を推奨しないとしているが、一律に制限する規則はない。そのため、英国各地でこれに該当する土地を含む計画申請が提出されつづけているようだ。

メガソーラーは、最大60年間稼働する。気候変動による不作、国際情勢の緊張、保護主義の高まりなどによって食糧自給の重要性が増すなか、それほど長期間、良質な農地を別の用途に使ってしまうことは、英国の食糧自給に深刻なダメージを与えるとCPREは警告する。

また、ある地方議員はBBCに対して「コンクリートの撤去費用を払う企業が存在するかどうかは、まだ誰にもわからない」と述べ、稼働終了後、すぐに農地が回復する保証がないとも指摘している

 
 
 
 
 
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最大39万kW...Jパワー、北米にメガソーラー初単独開発

2025年09月28日テクノロジー

 

 

 

 
 

イメージ

Jパワーは米国テキサス州に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設する。(イメージ)発電能力(交流出力)は最大39・4万キロワット。すでに工事に着手しており、2026年11月の稼働を予定。出資比率は100%で、同社にとって初めて単独で開発するメガソーラー案件となる。サイト面積は約14平方キロメートルという広大な敷地で、同社によると、全米に約440ある出力10万キロワット超のメガソーラーの中でも上位20件に入る規模だとしている。

Jパワーは脱炭素に向けた長期ビジョンに沿って、米国事業のポートフォリオ再編を目的に、20年から太陽光発電所の開発を行っていた。

米国でもデータセンターや次世代半導体工場などの建設が進み、脱炭素電源への需要が拡大しており、主力のガス火力発電所から再生可能エネルギーへの移行を進める

 

 

 

日刊工業新聞 2025年9月26日

 

 

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米加州、世界最大規模の「ソーラー+蓄電池」承認

新たな認証プログラムの下で初の許可事例

Junko Movellan

 

ジャーナリスト

 

米加州、世界最大規模の「ソーラー+蓄電池」承認 | 日経クロステック(xTECH)

 

 

2025年6月12日、カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)は、州の「オプトイン認証(Opt-In Certification)」プログラムに基づく初の認可案件として、「ダーデン・クリーン・エネルギー・プロジェクト(Darden Clean Energy Project=DCEP)」を承認した。

 完成すれば、DCEPは世界最大規模の蓄電池併設型メガソーラー(大規模太陽光発電所)プロジェクトとなり、クリーンエネルギー分野におけるカリフォルニア州の革新性とインフラ整備能力を示す象徴的存在となる。

GW級の太陽光と蓄電池

 DCEPは、農業生産が不可能となったカリフォルニア州中部・フレズノ郡西部の9500エーカーの土地に建設される予定だ。約310万枚の太陽光パネルを備え、連系出力1150MW(1.15GW)の太陽光発電施設と、最大出力1150MW(1.15GW)、容量4600MWh(4.6GWh)のエネルギー貯蔵設備で構成される(図1)。これにより、約85万世帯に4時間分の電力供給が可能となる。

 

 

 

 

図1

 

図1●CECの「オプトイン認証」プログラムで承認されたダーデン・クリーン・エネルギー・プロジェクト(DCEP)の概要

 

 

●CECの「オプトイン認証」プログラムで承認されたダーデン・クリーン・エネルギー・プロジェクト(DCEP)の概要

(出所:CEC)

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 事業主体は、米クリーンインフラ企業インターセクト・パワー(Intersect Power)の子会社、IPダーデン I(IP Darden I)である。インターセクト・パワーは現在、稼働中または建設中のメガソーラー2.2GWと蓄電池2.4GWhを保有し、2025年には新たに太陽光4GWと蓄電池10GWhの着工を計画している。これによりエネルギー資産規模は約90億ドルに達する見込みだ

 

 

 

 

許認可手続きを統合

 DCEPが認可されたオプトイン認証プログラムは、州議会法案に基づき創設された制度で、一定条件を満たすクリーンエネルギー事業に対し、州レベルでの統合的な許認可手続きを可能にする。これは、州上院法案により定められた「2045年までに小売電力をゼロカーボン100%に」という目標達成を後押しする仕組みでもある(図2)。

 

 

 

 

図2

図2●100%ゼロカーボンに向けカリフォルニア州で稼働するメガソーラー

 

●100%ゼロカーボンに向けカリフォルニア州で稼働するメガソーラー

(出所:Intersect Power)

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地域社会と経済に波及効果

 オプトイン認証プログラムを通じた承認プロジェクトは、地域社会と経済的利益に関する合意を提示する義務がある。CECは、「建設や運営が、敷地および関連施設に対する許可権限を持つ地方自治体に、プラスの経済効果をもたらすこと」を承認条件としている。

 DCEPの主な地域還元策は以下の通り。「今後10年間で200万ドルの地域投資(市民活動支援など)を実施」「建設期間(1.5~3年)を通じて2000人以上の熟練労働者を雇用」「35年間の事業期間で、地元経済に1億6900万ドルの効果を見込む」――。

 CECのノエミ・ガヤルド委員は、「今日のクリーンエネルギー事業は単にメガワット(規模の電力)を供給するだけでは不十分です。地域で新たな価値を創出する必要があります。DCEPプロジェクトは州のエネルギー目標を進めつつ、地域の労働者や住民に利益をもたらす好例です」と述べた。

 DCEPの建設は2025年末に開始され、2027年末から2028年初頭に全面稼働を予定している。

 

 

 

加州のクリーンエネルギーが加速

 DCEPの蓄電システムは、昼間の余剰電力を蓄え、需要が高まる夕方や発電量が減少する時間帯に放電することで、州の電力供給を安定化させる。

 カリフォルニア州はすでに蓄電容量で米国内の州でトップ、米以外の国で見ると世界では中国に次ぐ規模を誇る。CECによれば、州の蓄電容量は2018年の500MWから2025年第1四半期には1万5700MW(15.7GW)以上に増加し、さらに2027年末までに8600MW(8.6GW)が新たに稼働する予定だ(図3)。

 

 

 

 

図3●カリフォルニア州で稼働する大規模な系統用蓄電池

 

図3●

カリフォルニア州で稼働する大規模な系統用蓄電池

(出所:Intersect Power)

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 再生可能エネルギー設備については、2024年には過去最大の7000MW(7GW)を送電網に追加し、過去5年間では累計2万5000MW(25GW)を増設した。2025年も5月末までに151日のうち138日(91%)で、1日の一部にクリーン電力100%を達成している。

 主力は太陽光で、発電事業用太陽光の容量は累計21GW、分散型太陽光は19GWが稼働している。CECの予測によると、2025年にカリフォルニア州の電力網は1日平均7時間、100%クリーンエネルギーで稼働するという。

 このペースが続けば、2045年目標である「2045年までに小売電力をゼロカーボン100%」は前倒しで達成される可能性が高い。

Junko Movellan

太陽光発電産業ジャーナリスト。業界での十数年の経験を生かして、2013年より、米国と日本の太陽光発電の政府政策、川下市場トレンド、電力自由化に関する記事を米国 、日本、そしてヨーロッパのメディアに執筆している。大学院で国際経営学修士を取得後、日本の太陽電池メーカーの米国拠点で、Market Development Analystとして北米市場の開拓に携わる。その後、米国の調査会社に入社してSenior Analystとして数々の米国太陽光発電市場分調査・分析,関連レポートの執筆、コンサルティングプロジェクトのリードを担当し、現在に至る

 申請対象は、指定された非化石燃料発電所、エネルギー貯蔵プロジェクト、および関連する製造・組み立て施設に限られる。具体的には、50MW以上の太陽光または陸上風力発電所、200MWh以上の蓄電容量を持つエネルギー貯蔵システム、関連する特定の送電線などが含まれる。

 法律では、特定の例外を除き、申請が完了と認定されてから270日以内に環境審査を終えることが義務付けられている。

 カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事はDCEP承認の発表で次のように述べた。「今や世界最大の蓄電池併設型メガソーラープロジェクトを有して、カリフォルニア州はこれまで以上のスピードで必要なクリーンエネルギー設備を構築しています。昨年は過去最多のクリーンエネルギー容量を追加し、雇用を創出し、地域社会を支援しながら、よりクリーンで信頼性の高い送電網を整備しました」