坂倉準三の名建築「旧上野市庁舎」が再生、ホテルや観光案内所が先行オープン

中東 壮史

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

 

坂倉準三の名建築「旧上野市庁舎」が再生、ホテルや観光案内所が先行オープン | 日経クロステック(xTECH)

 

 

三重県伊賀市の中心市街地内に立つ「旧上野市庁舎」(坂倉準三設計、1964年竣工)が、公共図書館とホテルを主軸とする観光拠点施設「旧上野市庁舎 SAKAKURA BASE」へ生まれ変わった。2025年7月19日に観光案内所や物販、カフェが開業し、同月21日にはホテル「泊船(はくせん)」が開業した。残る伊賀市中央図書館は26年4月の開業を予定している。

 

 

 

「旧上野市庁舎SAKAKURA BASE」を東側から望む(写真:日経クロステック)

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 SAKAKURA BASEは、伊賀市がPFI(民間資金を活用した社会資本整備)事業の一環で整備したものだ。事業名称は「伊賀市にぎわい忍者回廊整備」。旧庁舎の改修と、25年8月27日に同市内で開業予定の「伊賀流忍者体験施設」の整備を核に、街の活性化を目指す事業である。

 

 市が22年に公募型プロポーザルを実施して特定した事業者は、人材派遣会社のヒト・コミュニケーションズを代表企業とする「伊賀マネジメントグループ」だ。設計事務所のMARU。architecture(マル・アーキテクチャ、東京・台東)が構成員に名を連ねる。

 

 

 

 

外観ではコンクリート打ち放しの列柱が目を引く(写真:日経クロステック)

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 SAKAKURA BASEは地下1階・地上2階建てで、延べ面積は約6070m2

 

 

断面形状には緩い斜面地を生かしたスキップフロアを採用しており、1階には一段高い中2階がある。先行してオープンした観光案内所やカフェ、物販、ホテルの受付はこの中2階にある。ホテルの客室は2階だ。1階と中2階の大半を占める図書館には、26年2月ごろから本棚に本が入り始め、同年4月の開業に備える。

 

 

 

2025年7月19日に先行オープンした物販施設「伊賀百貨 Souvenir Shop」。伊賀の伝統工芸や特産品などを販売している(写真:日経クロステック)

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25年7月19日に先行オープンしたカフェ「CROSS CAFE」。地元の会社が運営する(写真:日経クロステック)

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 2階に入るホテルは全19室の客室から成る小規模高級ホテルだ。中庭状の屋上庭園を共用廊下がぐるりと囲み、廊下の外側に客室が並ぶ。運営は船谷ホールディングスグループ(三重県伊勢市)が手掛ける。同グループの構成企業である船谷建設(同)はPFI事業者の構成員で、施工も手掛けた。

 

 

 

 

 

25年7月21日に開業したホテル「泊船」の受付。中2階のエントランスを入るとすぐ目の前にある(写真:日経クロステック)

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ホテルへは中2階北側に新設した階段でアプローチする(写真:日経クロステック