津田沼駅前再開発は2000億円超に膨張で中断、建設費高騰で大型案件に逆風続く

小山 航

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

津田沼駅前再開発は2000億円超に膨張で中断、建設費高騰で大型案件に逆風続く | 日経クロステック(xTECH)

 

 

 

建設費の高騰などを背景に、大型再開発プロジェクトが逆風にさらされている。野村不動産が千葉県習志野市のJR津田沼駅南口で進めようとしていた再開発は中断に追い込まれた。同社は建設費の高騰に加え、設計・施工を担う特定業務代行者が決まらず、当初のスケジュール通りに事業を進めることが困難になったと説明する。

再開発で建て替える予定の複合施設「モリシア津田沼」と習志野文化ホール(写真中央の低層建物)。モリシアは2025年3月30日に閉館し、文化ホールは23年4月1日から休館している。25年6月4日撮影(写真:日経クロステック)

再開発で建て替える予定の複合施設「モリシア津田沼」と習志野文化ホール(写真中央の低層建物)。モリシアは2025年3月30日に閉館し、文化ホールは23年4月1日から休館している。25年6月4日撮影(写真:日経クロステック)

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津田沼駅南口地区第1種市街地再開発事業のイメージ。2023年11月時点(出所:習志野市)

津田沼駅南口地区第1種市街地再開発事業のイメージ。2023年11月時点(出所:習志野市)

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 市と野村不動産がJR津田沼駅南口で進める再開発事業は、老朽化した複合施設「モリシア津田沼」と併設する習志野文化ホールを解体し、高さ187mの住宅棟と商業施設やオフィス、ホールを含む複合施設棟を整備する計画だ。駅前広場の拡張や歩行者デッキの整備による歩行者ネットワーク強化で、駅前のにぎわいを創出する狙いがある。

住宅棟と複合施設棟の断面イメージ。2023年11月時点(出所:習志野市)

住宅棟と複合施設棟の断面イメージ。2023年11月時点(出所:習志野市)

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 市は2023年6月に、野村不動産と再開発事業に関する確認書を締結。25年7月に千葉県の事業認可を受け、26年4月には解体工事に着手する予定で事業を進めていた。建物の完成は31年を見込んでいた。

 野村不動産が市に示した総事業費は23年4月時点で約1400億円。その後、建設費の高騰などにより24年4月時点で約1620億円に増加した。この時点では、両者は事業を進める前提で協議を進めていたという。ところが、25年1月には事業費が約2060億円まで膨れ上がった。

 市によると、野村不動産が都市みらい推進機構(東京・文京)に委託して特定業務代行者(施工会社)を募集したところ、唯一手を挙げた企業が提案した工事費が、野村不動産の想定を大幅に上回っていた。この工事費を基に、同社が内容を精査して市に提示した金額が2060億円だったという。

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2025/04/04