東急不動産を提訴 世田谷の欠陥マンションの区分所有者、建て替え撤回は「不誠実」
木下 順平
日経クロステック/日経アーキテクチュア
東急不動産を提訴 世田谷の欠陥マンションの区分所有者、建て替え撤回は「不誠実」 | 日経クロステック(xTECH)
東急不動産が販売したマンションで多数の欠陥が判明した問題が、裁判に発展した。管理組合と区分所有者6人は2025年6月4日、東急不動産を相手取り、建て替え義務があることの確認などを求め、東京地方裁判所に提訴した。
原告の1人で管理組合理事長の三身太郎氏(左)。2025年6月4日の提訴後の記者会見で、資料を手にマンションの欠陥を説明した(写真:日経クロステック)
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「不誠実なやり方に納得がいかない」。管理組合の三身太郎理事長は、提訴後の記者会見で、欠陥発覚後の東急不動産の対応に怒りをあらわにした。
問題となっているマンションは、東京都世田谷区に立つ地上8階建て、全49戸の「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ」。設計と施工に東急建設が携わり、1998年に竣工した。訴状によると、東急不動産は欠陥が発覚した後、一旦は建物の建て替えという解決方法を提案。管理組合や区分所有者と合意していたが、2024年に突如撤回した。
多数の欠陥が発覚した「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ」の外観(写真:日経クロステック)
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原告側は、建て替えを拒絶することは著しく信義則に反し許されないとして、東急不動産に建て替えの義務があることの確認や、建て替えに向けて管理組合が負担した費用約5800万円の支払いなどを求めている。
東急不動産は25年6月5日、日経クロステックの取材に対し、「訴状が届いていないためコメントできない」と回答した。
訴状などによると、問題の経緯は次の通りだ。
1階の住戸で床や壁にカビが発生したことを受け、管理組合が自主的に調査を実施。調査結果を踏まえ、19年に東急不動産が調査を開始したところ、基礎梁(はり)のコア抜きによる鉄筋切断や、構造図と実際に設けた構造スリットの位置不整合、大梁におけるスリーブの過密設置など、重大な欠陥が相次いで発覚した。
地下ピットでは、複数箇所で基礎梁をコア抜きし、鉄筋を切断・損傷していた(写真:東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ管理組合)
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耐震性不足や測量ミスが相次ぎ発覚、東急不動産のマンション買い取り提案に住人反発
東京都世田谷区内のマンションで、耐震性の不足や真北測量の誤りによる斜線制限違反などが相次ぎ発覚。東急不動産は区分所有者に買い取り・解体を提案したが、一部の所有者は反発している。
2025/01/16