万博のアンゴラ館で建設業許可ない会社が工事関与、工事費の未払い疑いも

奥山 晃平

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

万博のアンゴラ館で建設業許可ない会社が工事関与、工事費の未払い疑いも | 日経クロステック(xTECH)

 

 

 

大阪・関西万博が開幕した2025年4月13日の翌日から休館が続くアンゴラ館。このパビリオンの工事に従事していた大阪府内の会社が、建設業法に基づく許可を受けていないことが分かった。この会社が下位の下請けに工事費を支払っていない疑いもある。

大阪・関西万博のアンゴラ館。「事業を実施するための技術的な調整」を理由に休館が続いている(写真:日経クロステック)

大阪・関西万博のアンゴラ館。「事業を実施するための技術的な調整」を理由に休館が続いている(写真:日経クロステック)

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 大阪府建築振興課建設指導グループによると、

 

25年5月初旬に「アンゴラ館の工事費で未払いがある」と、アンゴラ館の内装工事に下請けとして携わっていた会社から相談を受けた。

 

相談があった会社の上位下請け

 

府が調べたところ、

建設業許可を受けていないことが判明した。

 

 

 工事費未払いの疑いがある会社より下位の下請け会社らは、

工事費の支払いを求めて「被害者の会」を25年5月27日付で設立した。

会の代表を務める男性は同月30日に会見を開き、

「勤務先の会社に約4300万円が支払われていない」と訴えた。

 

 

 建設業法3条では、

軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、

建設業の許可を受けなければならないとしている。

 

その「軽微な工事」というのが、

 

次の3つ。

 

延べ面積150m2未満の木造住宅の工事、

 

あるいは請負金額が1500万円未満の建築一式工事、

 

1件の請負金額が500万円未満の専門工事だ。

 

アンゴラ館の工事はこれに当てはまらないと見られる。

 

 

アンゴラ館の外観(写真:日経クロステック)

アンゴラ館の外観(写真:日経クロステック)

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 軽微な工事の規定を上回る工事を請け負う場合は、

国土交通大臣または都道府県知事の許可が必要だ。無許可で工事すると、営業停止など処分の対象となる。

 

 

 建設業許可を受けていない会社に工事を発注した会社も、処分の対象となる可能性がある。

 

建設業法28条1項6号に違反した場合、1年以内の営業停止処分となることもある。府の建設指導グループは「引き続き調査を進める」とコメントする。

 

 

 大阪府の吉村洋文知事は25年5月23日の会見で、

「民間同士の契約ではあるが、工事費が支払われるよう寄り添って進めていく。

法に触れる場合は厳正に対処する」と述べていた