トヨタ新東京本社が入居する「京急品川開発」着工、駅前に3500億円の巨大施設
山﨑 颯汰
日経クロステック/日経アーキテクチュア
トヨタ自動車の東京本社の移転先になる、品川駅前の大規模再開発が本格的に始動した。京浜急行電鉄とトヨタは2025年5月31日、共同で進めている「京急品川開発プロジェクト(品川駅西口地区A地区新築計画、仮称)」に着工した。オフィスの他、ホテルや商業施設、音楽イベントに対応したホールなど多彩な施設を駅前に整備する。29年1月に竣工し、同年度に開業予定だ。
「京急品川開発プロジェクト(品川駅西口地区A地区新築計画、仮称)」の完成イメージ。建物は地下4階・地上29階建てで、トヨタ自動車の新東京本社などが入居する予定(出所:京浜急行電鉄)
[画像のクリックで拡大表示]
新施設は、かつて複合施設「品川グース」があった品川駅西口前に建つ。地下4階・地上29階建てで、高さは152m。敷地面積は2万3584m2、延べ面積は約31万1800m2。構造は鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造だ。基本設計は日本設計、実施設計と施工は大成建設が担当する。京急は新施設の整備で、京急本線品川駅の1日当たりの利用者数が5000人以上増加すると見込んでいる。
計画の総事業費は、約3500億円と巨額だ。24年3月に京急が計画を発表した時点では約2400億円としていたが、建設工事費の増加によりわずか1年強で約1100億円も事業費が膨らんだ。
2025年5月23日に開催した起工式の様子。京浜急行電鉄の川俣幸宏社長とトヨタ自動車の佐藤恒治社長がくわ入れした(写真:京浜急行電鉄)
[画像のクリックで拡大表示]
建物の外観は、米国の建築設計事務所KPFが手掛ける。デザインコンセプトは「Flow(流れ)」で、東京湾からの風の通り道を確保するため、建物の角を曲面にする予定だ。低層部にフレア形状のひさしを設け、雨風を防げる快適な空間を確保する。
ライティングデザインはシリウスライティングオフィス(東京・港)が担当する。低層部の広場や歩行者通路などでは樹木をライトアップし、夜も滞在したくなるような心地よい空間を演出する。
夜の外観イメージ。建物を囲うように並ぶ植物をライトアップする(出所:京浜急行電鉄)
[画像のクリックで拡大表示]
ランドスケープデザインはプレイスメディア(東京都小平市)が手掛ける。大規模なイベントに対応できる広場や桜や石垣を生かした歩行者空間などを整備する。品川駅と施設をつなぐ「国道上空デッキ」と接続する空間も設け、駅からのスムーズな動線を確保する。
大規模なイベントに対応する広場のイメージ(出所:京浜急行電鉄)
[画像のクリックで拡大表示]
桜が並ぶ歩行者空間のイメージ(出所:京浜急行電鉄
トヨタ新東京本社が入居する「京急品川開発」着工、駅前に3500億円の巨大施設 | 日経クロステック(xTECH)