シナモン、一部の処方薬と相互作用を起こす可能性 新研究

CNN.co.jp

シナモンは一部の処方薬と相互作用を起こす可能性があることが新たな研究で分かった

 

 

(CNN) 

 

 

シナモンは多くの料理に用いられる人気スパイスだが、各地の文化の伝統医学で利用されてきた長い歴史がある。現在では、シナモン製品は糖尿病の治療や減量の促進、花粉症その他の炎症性疾患の緩和など、様々な健康状態の改善を目的にサプリメントとして販売されている。 

 

 

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だが、どれだけシナモンを取れば過剰摂取に当たるのか。シナモン製品の過剰摂取による悪影響はあり得るのだろうか。

 

 

学術誌「フードケミストリー:モレキュラーサイエンス」に掲載された研究によると、シナモンは処方薬の代謝に影響を与える可能性があることから、注意が必要になる。

 

論文の著者らは、特に他の健康疾患がある人を念頭に、シナモンを含む物質の過剰摂取を控えるよう警告している。

 

 

 今回の研究結果とシナモン摂取で重要なポイントについて解説してもらうため、

 

CNNのウェルネス専門家で救急医、

ジョージ・ワシントン大学の非常勤准教授も務めるリアナ・ウェン氏に話を聞いた。

 

 

ウェン氏は以前にボルティモア保健当局の責任者を務めた経歴も持つ。  

 

 

 

CNN:シナモンとは何か? どこから来て、どういった有益な健康効果が見込めるのか? 

 

 

ウェン氏: シナモンとは、ニッケイ属の木の樹皮を乾燥させたスパイスを指す。

米国立衛生研究所(NIH)傘下の国立補完統合衛生センターによれば、

北米で販売されている最も一般的なシナモンは、

「シナモマム・アロマティクム」の木から取れるカッシアシナモン。

 

「真性シナモン」とも呼ばれるセイロンシナモンは、

「シナモマム・ベルム」の木に由来する。

 

 

 一部にはシナモンサプリが

糖尿病治療や減量に役立つ可能性を示唆する研究もあるが、

そうした効果の検証にはさらなる研究が必要だ。 

 

 

同様に、セイロンシナモンを配合した点鼻スプレーが

アレルギー性鼻炎に有効な可能性を示唆する暫定研究もあるが、

治療に使えるか確認するには追加研究が必要になる。 

 

 

国立補完統合衛生センターは

「どんな健康疾患であれ、シナモンの使用を明確に支持する研究はない」と

指摘している。

 

 

 

米食品医薬品局(FDA)は、

いかなる健康疾患の治療にもシナモンを承認していない。 

 

 

 

CNN:シナモン摂取の潜在的なリスクについて既に分かっていることは? 

 

 

ウェン氏: カッシアシナモンには

血液をサラサラにするクマリンが高濃度で含まれている可能性があり、

 

セイロンシナモンにも微量のクマリンが含まれる場合がある。

 

既に抗凝固薬を服用中の人がクマリンを大量に摂取すれば、

出血リスクが高まる可能性がある。 

 

加えて、クマリンと肝臓の間には相互作用があることが知られている。

 

クマリン含有量の高いシナモン製品を長期使用すると、

肝臓病を抱える人に健康リスクをもたらす可能性がある。

 

 

国立補完統合衛生センターはさらに、

シナモンが抗がん剤やニコチンと相互作用する可能性について想定する「理論上の理由」があると述べている。 

 

 

CNN:今回の新研究では何を調べたのか? 

 

 

ウェン氏:今回の研究では、

シナモンの主成分である「シンナムアルデヒド」について調べた。

 

研究者はまず、

胃液と腸液を検査することで、

シンナムアルデヒドが経口摂取された場合にきちんと吸収されるかどうかを調査。この結果、空腹時と食後の両方の体液において、

シンナムアルデヒドが100%腸管吸収される形態になっていることが判明した。つまり、空腹時でも食後でもシンナムアルデヒドは吸収されやすいことが想定される。

 

研究者は続けて、シンナムアルデヒドが「ケイ皮酸」という

別の化合物へ速やかに代謝され、

薬物代謝に影響を与える複数の受容体を活性化することを突き止めた。

 

 

 こうした薬物代謝への影響を踏まえ、

著者らは過剰摂取によりハーブと薬物の相互作用が起こる可能性があると結論、

 

追加研究を呼び掛けている。

 

 

関連する声明で

研究チームが指摘しているように、こうした研究が完了するまで、

シナモンをサプリとして摂取したい人は注意を払い、

使用前に医師に相談することが推奨されている。

 

 

 

 CNN:注意が必要なのはどういった人か? 

 

 

ウェン氏:研究チームによれば、

シナモンサプリを試す前に注意が必要な慢性疾患には、

 

高血圧や

 

糖尿病、

 

がん、

 

関節炎、

 

ぜんそく、

 

肥満、

 

HIV/AIDS

 

うつ病などが含まれる。

 

 

 私なら抗凝固薬を服用中の人

(例えば、心臓病や脳卒中の既往歴がある人だ。心疾患や脳卒中歴があり服用する人)

や、肝臓で代謝される薬、ウコンや高麗ニンジン、イチョウ葉などシナモンと相互作用し得る他のサプリもリストに付け加えたい。

 

 

 CNN:コーヒーやパンケーキに振りかけるのはどうか? 

それも心配する必要があるのか? 

 

 

 

ウェン氏: 研究チームは、

料理にシナモンを振りかける通常の使い方なら問題を引き起こす可能性は低いと

明言している。

 

 

研究者が警告しているのは

「過剰摂取」だ。

 

今回の研究は

シナモンの過剰摂取量を調べる目的で設定されたわけではなく、

明確な定義は示されていない。

 

過剰摂取という言葉はおそらく、

シナモンサプリのようにシナモンが濃縮された製品を長期間使用すること、

 

例えばシナモンカプセルを

何カ月も毎日摂取することを指すと考えられる。

 

 

 シナモンサプリの摂取を検討する人は

必ず医療従事者に相談して、

薬と相互作用する可能性がないか確認する必要がある。

 

 

シナモンサプリの効果を裏付ける明確な証拠がない

 

ことも認識すべきだ

シナモン、一部の処方薬と相互作用を起こす可能性 新研究(CNN.co.jp