田町駅周辺600人以上が線路動かす、週末実施した羽田空港アクセス線工事
門馬 宙哉
日経クロステック/日経コンストラクション
田町駅周辺600人以上が線路動かす、週末実施した羽田空港アクセス線工事 | 日経クロステック(xTECH)
JR東日本は週末の2025年4月19~20日、羽田空港と東京都心を結ぶ新線「羽田空港アクセス線」の整備に向け、田町駅(東京・港)周辺で大規模な線路切り替え工事を実施した。線路に600人以上の作業員が入り、既設の線路を手作業で動かし、新線のための場所を確保。作業に伴い山手線と京浜東北線の一部を運休した
同工事では、京浜東北線南行き(大船方面)と山手線外回り(品川・渋谷方面)の延長720mにわたる線路を最大で2.6m動かした。工事の内容は次の通りだ。
山手線は事前に、電車が駅で折り返す引き上げ線を撤去し、既設線路と並ぶように線路を新設。今回の工事で、新設線路を挟むように田町駅に入ってくる線路と同駅ホーム側の線路をつなげた。残った山手線の一部は位置を少し変え京浜東北線南行きの線路とし、こちらも両側の同線とつないだ。
今回の切り替え工事の概要。上は工事前、下は工事後の線路。京浜東北線南行きと山手線外回りを山手線内回り側へ移すように線路を動かした(出所:JR東日本)
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作業員が入る経路を増やし時間短縮
営業中の線路に挟まれながら作業するため、大きな重機を入れる場所が無く、現場に入れる機械は線路を持ち上げる装置などに限られた。移動させる線路の端を切断した後、機械で線路を持ち上げながら、人がバールやスコップを用いながら手作業で動かした。
線路を手作業で動かす様子。2025年4月19日に撮影(写真:日経クロステック)
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JR東日本建設工事部の原田慎一マネージャーは「営業中の線路に挟まれている2線を同時に切り替える工事は珍しい。工事の規模が大きく、時間内に作業する必要があった」と話す。線路を動かす作業員がホーム以外からも線路に入れるようにするなど、いち早く作業を開始できるよう工夫したという。
他にも線路移動に伴い、人などが通る架道橋の橋桁を移動させ、田町駅にあるホームの形状を変更した。電気工事も行うため、工事全体では同社社員も含めて約1500人の作業員が参加した。
今後、今回の工事で不要になった京浜東北線南行きの既設線路を撤去し、その場所に東海道線上りの線路を移す予定だ。そうして空けた場所に羽田空港アクセス線を通し、東海道線の上り線と下り線にそれぞれつなげる。
羽田空港アクセス線整備における田町駅周辺工事(出所:JR東日本)
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今回の工事で整備を進める羽田空港アクセス線の東山手ルートは、東京駅と羽田空港を乗り換えせずに18分ほどで結ぶ。23年6月に工事を開始し、31年度の開業を目指している。
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2023/01/20