トランプに一目置かれるための「報復」
だが、そんな石破総理の姿勢を見て、元財務官僚で嘉悦大学教授の高橋洋一氏は呆れる。
「なぜ報復に出ないのか、意味がわかりません。相手が関税をかけたら、交渉のきっかけを作るために報復する。これが外交の作法のはずです。
もちろん、関税をかけることは自由貿易を阻害して、国際平和を脅かす、よくないことです。でもトランプ大統領が関税を課すのですから、仕方がない。早く報復に動かないと交渉になりません。これからは、どんどん米国に付け入られることになるでしょう」
日本が報復に動けば、逆にトランプから一目置かれるかもしれない。経済産業研究所コンサルティングフェローの藤和彦氏はそう指摘する。
「私もデジタル課税をするべきだと思います。日本はあまりにもデジタル分野が弱い。官公庁もクラウドサービスをAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)に頼っている現状で、日本は早く自前のITプラットフォームを育成しなければいけません。そのためにもデジタル課税は有効です。
そもそもトランプ大統領も米国の製造業を復活させるために相互関税をかけると言っています。自国の脆弱になった産業のために関税をかけているわけです。日本も同じことをやればいい。日本が脆弱なデジタル分野で海外のサービスに課税しても、トランプ大統領は文句を言えないでしょう。互いに丁々発止のディールを戦わせれば、むしろトランプ大統領から『そうきたか』と感心されるのではないでしょうか