極右大統領」誕生阻止掲げるマクロン氏、有罪判決でも強気のルペン氏徹底抗戦…フランスで激しいつばぜり合い

読売新聞

 

 

「極右大統領」誕生阻止掲げるマクロン氏、有罪判決でも強気のルペン氏徹底抗戦…フランスで激しいつばぜり合い

 

 

 

パリ=梁田真樹子】フランスで極右の流れをくむ右派政党「国民連合」(RN)の実質的指導者マリーヌ・ルペン氏の被選挙権を5年間停止する有罪判決を受け、RNは6日、パリで集会を開き、2027年の大統領選でルペン氏の出馬を目指す姿勢を鮮明にした。マクロン大統領率いる中道勢力や左派勢力はそれぞれ集会で「極右大統領」の誕生阻止を掲げ、つばぜり合いが激しくなっている

 

 

 

 

 

6日、パリで開かれた右派政党「国民連合」の集会に参加するルペン氏(手前左)とバルデラ党首(右隣)=AP

 

 

 

 

 「これは魔女狩りだ。法の支配にも民主主義にも背く政治的決定だ」

 ルペン氏は大規模集会で判決を強く批判し、約1万人の支持者を前に徹底抗戦する構えを強調した。

 ルペン氏の強気の背景には、3月31日の判決後も大統領選に関する世論調査の支持率で自身がトップに立っている事情がある。仏世論調査会社エラブが今月5日に発表した調査結果では、第1回投票の投票先として36%がルペン氏と回答し、次点だった中道の少数政党を率いるエドゥアール・フィリップ元首相の24%を引き離した。

 来年夏に見込まれる控訴審の判決で被選挙権の停止が解除されれば、ルペン氏に出馬の道が開かれる。RNはルペン氏への世論の支持を見せつけ、有利な状況を作り出したい考えとみられる。1審判決が維持されると、ルペン氏に匹敵する後継者が不在のRNには致命的な打撃となる

 

 

 

これに対し、昨年夏の国民議会(下院)選挙で一定の協力を行った中道と左派は、議会では連立を組まず、大統領選でもそれぞれ候補を立てる意向だ。いずれも衆目一致する候補を絞りきれていない。

 マクロン氏が創設した中道政党「共和国前進」を母体とする「再生(ルネサンス)」は6日、パリ近郊で集会を開いた。代表のガブリエル・アタル元首相は「RNは裁判官や制度を攻撃している」と非難した。仏憲法の規定で大統領は3選が禁じられており、マクロン氏は次期大統領選に出馬できない。中道ではフィリップ氏とアタル氏が大統領選の有力候補とされるが、決め手に欠けている。

 急進左派政党「不服従のフランス」(LFI)などもパリ中心部で集会を開き、支持者が「極右に法を作らせてはいけない」などと気勢を上げた。LFIを率いるジャンリュック・メランション氏も集会に参加した。ただ、国民議会選で連合を組んだ左派政党間でも、LFIの路線に対して穏健な社会党が距離を取り、温度差が表面化している